成年後見事業の拠点機能組織の早期形成について(平成28年8月4日回答)

更新日:2020年10月01日

意見・提言

 成年後見制度の経過については、平成12年4月から介護保険法に基づく介護制度が導入されました。時を同じくして平成12年4月成年後見制度が施行され、民法第7条等に「法定後見制度」が規定され、新たに「任意後見契約に関する法律」も施行されました。

 今日は、正に超高齢者社会を控え『自らの意思を持って人生の自己実現』をはかることが困難な市民が増加しつつあります。本市においては、平成24年10月から本庄市シルバー人材センターにおいて埼玉県シルバー連合主催による『成年後見養成講座』が55歳以上の市民を含めて実施されました。また、平成24年度から社会福祉協議会において法人による成年後見事業が多少の障害を乗り越えて開始されました。また、市民レベルでは、直接東京大学の「東京大学政策ビジョンセンター研究センター」による学校教育法第105条の規定に基づく125.5時間に及ぶ『市民後見人養成講座』の受講生や、埼玉県シルバー連合主催の『成年後見養成講座(東京大学同等カリキュラム)』の受講生等によって、平成24年度から平成25年度にかけて、この狭小の地域に篤き志を持った3団体の市民後見NPOが誕生しました。

 一方、市行政では、もっぱら高齢者や障がいのある方の担当部署による首長申立の法定後見がささやかに行われていました。昨今の本市の成年後見事業状況は、本庄市シルバー人材センターにおいては、4年を経過して研究課題に止まり、県内新座市シルバー人材センターでの昨年の法人成年後見受任したことと比べ、法人による成年後見の事業化について足踏み状態であります。また、本庄市社会福祉協議会においては、施設入所の方や、病院入院中の方の財産管理業務の対象者に止まり、社協事業活動によるアウトリーチ(地域へ出向く)の結果として、今後一層必要とされる在宅での身上監護対策には及んでおりません。社協職員のみによる法人の成年後見事業展開は、職員の人的担保が無い限り当然限界があるのが現状です。県内外の他社協は、職員の増員要請が困難な状態から、後見支援員制度を採用してニーズに対応しているのが基本的方針です。

 平成27年度における電話による回答では後見支援員制度は実施できないとの見解でありました。では、どう対応をするのでしょうか?いずれにしても、市民が安心安全で日々の生活を送るためにも、成年後見に関する基本的或いは各分野に通じた専門知識と経験と篤き志を持った集団、目的と実行力を持った機能組織が必要不可欠です。よって、後見対象者の意思決定の欠如状態から終焉を迎えるまでの生活設計を組織(一担当者の判断ではなく)として協議して、個人の尊厳を護り、人生の自己実現(社会生活、権利義務の実現『納税を含む』)を後見するための機関として、本庄市地域の社会資産を活用すべく地域の基軸となり、成年後見事業を継続して良質で安定した成年後見事業を提供できる組織の早急な構築を願うものです。

 具体的には、後見案件に対し

  1. 誰を後見人として選任推薦するのか?
  2. どのように後見活動を行うのか?
  3. 対象者の体調の推移にどう対応していくのか?
  4. 終焉の時はどうするのか?
  5. 後見人活動軽減対応や経済的困窮者に対する対応等。

 以上を組織的に検討する機関の設立が急務と思います。最終的には、公権力行使が必要となる案件が予想想定されることを考慮し、市行政組織内に位置づけられ設置すべきと考えます。是非とも早期対応をお願いいたします。

回答

 本市においても、全国的な状況と同様に、急速な高齢化に比例するように認知症高齢者が増加し、高齢者の単身化も進んでおります。特に、団塊の世代が75歳以上となる2025年には、大幅な増加が見込まれます。このような中、判断能力が低下した、あるいは不十分な方の権利行使を支援する成年後見制度の普及促進と、その運営体制の強化は、緊急の課題であります。特に、成年後見制度の強化に当たり最も重要な施策は、被後見人に対する身上監護という重要な職責を担うことの出来る人材の育成と、制度の普及啓発だと考えております。

 このような中、本市では、市民後見人を育成、支援するために関係機関、関係団体と連携しながら、次の施策を重点的に推進しています。先ず、市民の中から後見人として活躍する意思のある方を対象とした、市民後見人養成のための基礎講座とその後のフォローアップ講座を開催しています。これは、市社会福祉協議会へ委託し、平成26年度から実施しております。本講座の修了者は、昨年度で総勢60人を超え、本市における市民後見人の育成状況については一定の成果が出てきていると認識しています。次に、市民の相談の場を設ける事はもちろん、市民後見人養成講座の修了者に実践の場を提供し、その能力の向上を図ることも目的として、社会福祉協議会と連携とした成年後見相談事業を行っています。今後、同事業において、先述の講座修了者も相談員として活躍されることを期待しているところです。今後、後見人の選任を行う家庭裁判所や、成年後見分野における専門的な知見を持つ、弁護士会、司法書士会(リーガルサポート)、社会福祉士会や、市内で成年後見の普及啓発に積極的に取り組んでいるNPO法人等とも連携を図りながら、成年後見制度の体制整備を推進すると同時に、本市の権利擁護体制の拡充に向けての研究を進めてまいりたいと考えております。

(平成28年8月4日回答)

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