職員は「自ら」の姿勢で(平成21年1月分)

更新日:2020年10月01日

市長訓示

新年あけましておめでとうございます。本年も1年間頑張って参りましょう。よろしくお願いいたします。
それでは年頭の訓示を行います。
1年前、私はこの場で、合併3年目の平成20年は、新体制の土台を仕上げる年であると申しました。昨年は総合振興計画がスタートし、我々は皆それぞれの職域で市政の進展に尽力してきたところです。特に懸案事項について、担当課はもちろん、ときには全庁一丸となって事業に取り組み、その結果を出すことができました。みなさんに改めて御礼申し上げます。なお、市民生活にいろいろと影響の出るものについては、今後とも行政としての説明責任を果たしていくことが肝要です。この点もしっかりやっていきましょう。
本年、世の中は大きな波乱の年明けとなりました。特に昨年後半からの経済不況は、年末以降一層深刻さを増しております。市役所でも、年末29日・30日、商工課を中心に融資相談窓口を開設しました。併せて生活相談等も含め、関係各課にはご苦労いただきありがとうございます。おそらく、今後さらに企業の業績不振や失業、そして生活困窮者の増加など、さまざまな問題が起きてくることも予想されます。市行政として何をどうすべきか、的確な判断と対応を行って参りましょう。
さて、厳しい経済状況、また少子化・高齢化と生産年齢人口減少傾向の中、持続可能なまちづくりを進めるために、本年本庄市は5つのまちづくりのキーワードを掲げます。

  • 1つ目は「子育て・教育環境の充実したまちづくり」
  • 2つ目は「市民との協働を推進するまちづくり」
  • 3つ目は「安全安心のまちづくり」
  • 4つ目に「活力を高めるまちづくり」
  • 5つ目に「全国に知られるまちづくり」です。

新年度に向け、この5つのキーワードに留意し市政の進展に尽力していきましょう。
その上で、私はここに、我々みんなで本年心がけて行きたいことを掲げさせていただきます。一言で言うとそれは「自ら(みずから)」です。この「自ら」という言葉を、私も自分の胸に置きますので、ぜひみなさんもそれぞれの胸に置いてください。この「自ら」の言葉を掲げる意味について、私なりの思いを交えお話します。
今回のアメリカ発の経済危機は、非常に早いスピードで世界全体に影響を及ぼしました。このことは人類に、改めて経済のグローバル化にどう向き合うかという課題を突きつけたと思います。このような全世界が同時に直面している激しい流れの中で、市民の日常のささやかな、しかし一人ひとりにとってかけがえのない暮らしや仕事をどう維持し守っていくのか、そして家族や社会の絆、国の安全をどうやって守っていくのかが問われています。国際経済をはじめとするグローバル化の激流にしっかり対応しつつ、同時にこれまたしっかりと国民の生活を守っていく、そのような態勢に我が国の政治行政がなっていれば良いのですが、なかなか国も地方もそのための態勢づくりが難しい。なぜ難しいのか、いろいろと原因はあるでしょうが、私は我が国の場合、長い間の外交や国防面でのアメリカへの依存状態にあることが根本の原因ではないかと思うのです。長らく依存していると、依存を依存と思わなくなります。圧力を圧力と思わなくなります。アメリカからの要求を「改革」という名の下に推し進めてきた姿勢に、それはよく現れていると思うのです。
国がそうだから地方行政も、あるいはそれを批判するマスコミも、ひいては我々国民一人ひとりも、政治行政面でいつしか依存体質が習い性になっているように思えます。文化学術面や、かつての経済成長では世界の模範と言われながら、政治行政面が依存体質になっていて現在のさまざまな危機に対応できない。これが残念ながら我が国の今の状況ではないでしょうか。そのような中、近年、地方分権が叫ばれております。私自身、県や国から財源や人的支援もないまま、仕事だけが市に移譲されることを見るにつけ、何のための分権か、疑問に思うときも多々あります。
しかし、その本質を見つめてみるとどうでしょうか。実は真の地方分権とは、先ほど指摘したような日本の政治行政の依存体質を、地方そして国民・市民レベルから変えていく大きなうねりになり得るものではないかと私は考えるのです。地方分権というのは、本庄市なら本庄市として市民のために課題にどう向き合っているか、その覚悟が試されるということです。例えば、こういうことがあります。議会での議論や市民との対話集会で、本庄市の政策を問われたとき、議員や市民に不快感を持たれてしまう答弁というものがあります。それは私や部長が「県や周辺市町村の動向を見てから考える」と答えたときなのであります。これに対して、「本庄市としてはこう考える、今後県や周辺市町村の動向も踏まえ対応する」、これなら納得するのです。このように地方分権が進む現在、自治体には受身でない、能動的な姿勢が求められるのであります。市町村行政も、そしてそこに働く我々一人ひとりも、実はもっと言えば市民一人ひとりのありようも問われるのです。
だから「自ら」なのです。これからの地方行政は、企画力や先見性といったより自発的な力が求められます。今までの前例がこうだからとか、周りがこうだからということを私たちはどうしても気にします。確かに、過去の状況や周辺の動向も判断材料の一部にはなるとは思います。が、これからはぜひ、本来本庄市としてどうなのか考えることが、まず先にあるべきと自ら意識付けをして参りましょう。これからの我々に問われるのは、市政の最先端に働く人間として自らどう考え、行動するのかであると思います。一人ひとりが自ら感性を磨き、自らアンテナを高くし、市民にとって世のため、後のために必要とされているものは何か、主体的・能動的に考えていきましょう。だれだれが言ったからではなく自ら考え、やらされているのではなく自ら行動しましょう。このことをぜひ今年、我々一人ひとりが自ら、胸に問うていきましょう。そしてそのためにも、我々は日々変わってゆくことに躊躇(ちゅうちょ)してはならないと考えます。昨日より今日、今日より明日、より良き方向を目指して、自ら変わっていくことを恐れず、頑張って行きましょう。このような我々の「自ら」の働きが、厳しい時代の中にあっても、市役所を活性化し、市民を活性化し、ひいては本庄市を、それがひいては日本を元気にすることにつながる、私はそう確信します。
最後に、この「自ら」は古いかなづかいでは「おのずから」とも読むことをお伝えしておきます。まさに自ら行うという主体的な意志が、自然に出来るようになる、自ずと出来るようになること、これがプロではないかと思うのです。ぜひ「おのずから」市民のために自然と主体的・能動的に仕事ができる本庄市役所をみんなで目指して、創っていきましょう。
以上、私の年頭の訓示とさせていただきます。私も自ら、頑張ってまいります。本年もよろしくお願いいたします。

注釈:今月の「市長の月いちメッセージ」は、平成21年当初にあたり行われた「市長訓示」となります。

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