吉田市長4期目就任に伴う訓示を行いました(平成30年2月5日)

更新日:2020年10月01日

日の丸国旗と市章の前に立って演壇で市長就任訓示を述べている吉田市長の写真

 みなさんおはようございます。先ほど市民ホールで多くの皆さまにお出迎えをいただき、四期目がスタートしました。振り返れば、平成17年7月に旧の本庄市長に就任し、7ヶ月後の本庄児玉合併当時から今にいたるまで、全く脇目も振らずに突っ走ってきたというのが率直な感想です。そして気付けば合併から12年。これまでみなさんに支えていただいたことに心から感謝申し上げます。

惰性からの脱却

 私は現在50歳になりました。世間で言えば働き盛りの真っただ中です。しかし市長としてはすでに四期目。合併前の7ヶ月を加えれば五期目です。組織は同じ人間が長くその長を務めていると、長個人も、また組織も、これまでの経験の蓄積が功を奏する場合もありますが、同時に長年にわたり習慣づいたことが惰性になります。そして世間からは、あの人は、あの組織は惰性でやっている、というレッテルを張られがちです。惰性で仕事をしている、しているように見える人間や組織は、いつしか人々からの信用を落とす、また落としていることに気付かないものです。
 私は今回も前回同様無投票という形で信任を得ました。これは市民のみなさんから「引き続きしっかりやれ」と期待されていることの現れ、とポジティブにとらえる一方、市民の皆さまの視線は、二期目、三期目の時よりはるかに厳しくなっていると認識しております。
 みなさんが好むと好まざるとに関わらず、市長と市役所は一心同体であるし、世間もそう見ております。「吉田市政」という言葉がまさにそれを指しております。今後の私吉田信解そして本庄市政は、「惰性でやってはいないか」という厳しい視線にさらされ、寄せられている期待は簡単に失望に変わる可能性が高いということ。これが現実、客観情勢であることをまず認識すべきと私は思います。
 のっけから厳しい分析を申し上げましたが、そういう状況をもとより覚悟の上で、私はこの「惰性」からの脱却を常に留意し四期目に臨んでまいります。どうぞこの市役所を支えるみなさんも私と共に、覚悟を持って臨んでください。惰性からの脱却、そして惰性と思われてしまうことからの脱却、私も率先しますので、みなさんも私と共に留意して仕事に臨んでください。

今期の公約について

 では続いて、今期のスタートにあたり、改めてみなさんに、今回の選挙において市民の皆さまにお約束した私の公約について、概要と私自身の思いをお伝えしたいと思います。
 お手元にお配りしてあるチラシは、選挙の際に配布した法定チラシですが、その裏面に次世代への約束と題して「10のチャレンジ」を掲げました。4月からスタートする新しい総合振興計画をベースに4年後を見すえて策定しました。これが今期の公約に当たります。策定にあたっては多くの職員のみなさんにもご協力いただき、ありがとうございます。
 この公約を掲げるにいたった背景には、申すまでもありませんが、社会の少子化・超高齢化、人口減少という時代の大きな課題に如何にして取り組むかという問題意識があります。私は4年前、三期目のスタートに当たり、私を突き動かしているものとして、我が国社会の将来に対する危機感と、この状態を何とかしなければならないという使命感、そしてみなさんと共に仕事をする中で物事が前進した時の達成感を挙げました。この思いは今も全く変わっておりません。
 もちろん、4年前と比較して、市政の成果が少しずつさまざまなところに現れていることも実感しております。人口の動態を見ても、転入が転出を上回る社会増の状態はここ2年ほど続いております。
 しかし、目下、我が国社会最大の課題である出生数の減少という問題は、まだ我が本庄市においても回復の目処が立っておりません。そして出生数が増えたからと言って、すぐには増えないのが社会保障を支える生産年齢人口で、これはまだまだ減少する一方です。ですから4年前と比べて、確かにさまざまな課題の解決と、いくつかの成果が上げられたとはいえ、私自身が感じている危機感とそして使命感は4年前に比べて変わっておりません。
 そのような危機感と使命感から、我が本庄市が持てる資源を最大限に発揮して、次世代のために将来にわたり、如何にしたら持続可能な地域社会を築くことができるか、その答えを模索した結果生み出されたのがこの「10のチャレンジ」であると認識してください。
 チャレンジ1、の本庄版ネウボラ推進では、少子化に真正面から取り組むことを宣言しております。近年の本市の傾向である人口の社会増を追い風として、「家庭を持つなら本庄市」を合言葉に子育て世代への一層の支援を図りつつ、一方、止まらない人口の自然減の要因である、低迷する出生率の回復、向上を何としても実現したいという、強い思いを込めました。
 チャレンジ2、の地域福祉は、超高齢化社会への介護・福祉面での対応を中心に、併せて障害者福祉のほか、各施策の推進により、支え合いによる誰もが安心して暮らせる、例えば認知症になっても暮らしやすい、地域社会の実現を目指すこと、このような思いがベースになっております。
 チャレンジ3、の保健・医療では、今後の人生100年時代を見据えて、超高齢化社会への保健・医療面での対応を中心に、併せて救急医療体制の充実と、医師会・歯科医師会等との連携により、身体、口腔、精神という全人的な健康の推進を図ることをうたいました。
 チャレンジ4、の教育・文化では、新しい教育大綱基本方針に掲げる学校教育の充実、生涯学習やスポーツの推進など各分野の実現と、総合振興計画で目標に掲げた「学校が楽しい」と感じる子どもたちの数が増えるよう、将来を支えるひとづくりと、新しい総合振興計画にうたわれた「歴史と教育のまち」の実現に取り組む思いを込めております。
 チャレンジ5、の市民生活・環境では、超高齢社会における公共交通の利便性向上をはじめ、現在の総合振興計画に掲げる「安全と安心のまちづくり」について今後ともさらなる充実を図ることをうたい、合わせ環境共生都市本庄、次世代にツケを残さない暮らしの実現に向け、眼前に横たわる数々の課題に取り組んで行く決意を込めております。
 チャレンジ6、の産業・定住化では、将来にわたって働きがいのある、稼げるまち本庄を目指し、農業の強靱化と企業誘致・中小企業振興を共に推進し、持続可能な経済振興、さらには人口定住化の更なる促進を図り、若年層や女性の活躍を促し、市の強みである交通の利便性を更に活かした施策を推進する決意を込めました。
 チャレンジ7、の本庄ブランド確立では、せっかくさまざまな資源がありながらも、そのブラッシュアップと対外発信の弱さがまだまだ足りないのが本市のウィークポイントであることから、今後は観光振興計画や総合振興計画の政策連携プランの推進を図りつつ、本格的にシティプロモーションに取り組むことを宣言しております。ぜひみなさんで本庄市を磨き上げましょう。4年後に、自分たちが見ても、外から見られても、磨かれたまちにしたい、多くの市民の願いでもあることを形にしてまいりましょう。
 チャレンジ8、のまちなか再生では、4月からの立地適正化計画のスタートを契機として、本格的にまちなか再生に取り組むことを宣言しております。これはチャレンジ7の本庄ブランド確立とも大いに連動しております。ソフトパワーとハード整備が相まって、本庄市を磨くことになると考えます。4年後に、住む人、訪れる人から、本庄、児玉のまちなかが以前より美しく、訪れたくなる、住みやすくなったと評価される成果がいくつも挙げられるよう、全力で取り組む覚悟を込めました。
 チャレンジ9、の都市基盤整備では、快適でうるおいあるまちを支える基盤づくりとして、懸案事項の各整備事業の加速度的促進のための決意をうたっております。さらにインフラの老朽化対策と、また人口定住にも一定の効果がある、遊んで楽しく心安らぐ公園の整備をしっかりと進める決意を込めております。
 チャレンジ10、の後のために、では、新たに挑むさまざまな施策をうたいました。若者の起業支援、総合振興計画の政策連携プラン、オリンピック・パラリンピックへの対応、市の財政力向上のためのさまざまな新しい企画、そして郡市連携による課題解決と将来へのさまざまな投資。惰性で無い、未来志向の新しい事業を興して行くことを宣言しております。
 これら10のチャレンジを推進するにあたって、そのテーマを「支え合い、新たに挑むまちづくり」と致しました。実は新しい総合振興計画を読んで見ると「支える」という言葉がたくさん出てまいります。これからの社会はまさに「支え合い」こそ一つのキーワードである、そう私自身とらえております。同時に、支え合うだけで終わってはいけない、さらに未来を見据えて、やはり何事にも挑戦する意欲、チャレンジする精神がなければ、新しい時代は開けません。このような思いから「支え合い、新たに挑むまちづくり」とさせていただきました。
 おそらくこれからの4年、さまざまな出来事があると思います。思いもよらぬ危機に見舞われるかも知れませんし、あるいは予想もしなかったチャンスが巡ってくるかも知れません。10のチャレンジに、あるいは総合振興計画に無いからといって、みすみすチャンスを逃すようなことだけは無いようにしたいものです。まずはぜひみなさんと共に、次の世代のことも念頭におきつつ市民の皆さまにお約束したこの10のチャレンジに、みなさんと共にしっかりと取り組みたいと存じます。ご協力を宜しくお願いいたします。

如何に磨くか

 さて、今年の標語は「磨く」です。仕事が惰性にならぬよう、惰性と見られぬよう、みんなで仕事により一層の「磨き」をかけてまいりたいものです。そこで後半のお話は、いかにして仕事に磨きをかけるか、四期目のスタートは良い機会だと思いますので、みなさんに私なりの考えをお話させていただきます。特に本日集まっているのは係長以上のみなさんです。フロアーメンバーではない、部下や後輩を持つ中堅以上のみなさんを意識したお話として聞いていただければと思います。
 さて、如何に仕事に磨きをかけるかです。私はみなさんのような専門職ではありません。一つ一つの仕事に対してはみなさんこそプロです。しかし市長という総合職として、みなさんの仕事を見ながら、こんな磨き方もあるのではないか、ということをお話させていただきます。
 市役所の仕事は何よりも正確さが求められています。行政の仕事に間違いがあってはならず、正確性は第一義的に重要です。しかし正確性だけで今の、またこれからの行政が立ちゆくかと言えば、なかなかさまざまな課題に対応しきれないのが今の時代です。また、組織の中で専門的に仕事をしていると、どうしても主観的な見方が強くなりがちです。正確さを求めながら、自分のあるいは同じ組織内での主観的な解釈で物事を進めようとして、結果として仕事が上手く進まない、というようなケース、どうでしょうか、みなさんの周りにも往々にして起きている出来事ではないでしょうか。
 そこでみなさんには今回、一つの視点と三つの心がけ、ということを提唱させていただきます。
 まず、一つの視点とは、これは客観的な視点、第三者の視点ということです。そして三つの心がけとは、1にスピード、2に創造力、そして3に思い、ハートです。
 客観的な視点とは、簡単に言えば「独りよがりはやめましょう」ということです。自分だけの、自分たちだけのやり方で良し、としないということです。もちろん人任せでない、自ら決めるのだという精神は大事です。ただ、最終的に自分で判断するその前に、自分たちだけの見方でなく、社会的に見て、第三者が見てどうかという視点を持ちましょう。
 その上で、三つの心がけです。まずはスピード。日進月歩の世の中です。正確性は第一義ですが、やはり仕事をスピーディに、です。世間では「時は金なり」です。市役所のルールだから、とか、我々の流儀はこれだから、とスピードを意識しない仕事の仕方が、市内企業の経済的損失につながっているかも知れませんし、市民にとってつかめるかも知れない幸福を奪うことになっているかも知れません。そういうこともあるのだと思ってください。我々が正確かつスピードを意識して仕事をすることで、市内企業の利益が増大し市民の幸福が増す、ぜひ、そう認識し、改善すべきは改善していただきたくお願いします。
 続いて創造力です。物事を創り出す方の創造力と頭に思い描く方の想像力、二つありますが、頭の中に思い描くだけで終わらずにそれを実際に実現する力を指す創造力を、ここでは挙げたいと思います。AIの時代、人間の仕事はどんどん機械にとって代えられる時代が来ております。市役所の仕事もおそらく単純作業はますます省力化されるでしょう。しかし、現実の世の中は全く複雑な課題ばかりです。これはAIにはなかなか解決できない。やはり人間のさまざまな経験や、また新しいことを拒否せずに受け入れる柔軟性、そして未知の分野にチャレンジしてみようという意欲、さらに感性を磨くことで得られるひらめきなど、それらによって培われるのがこの創造力です。
 普段の何気ない仕事の中にも、もっと工夫改善して、より職場の負担を軽減し、さらに市民の利便性を高めることができる、一人ではなかなか思いつかないけれど、組織としてそんな創造力が働くよう、特に係長以上のみなさんには心がけていただきたいです。
 それにはワイガヤ主義が良いと思います。私はこれまで12年かけて、庁議の内容をできるだけワイガヤ主義になるよう心がけて来ました。決めるまでは皆で議論する、アイディア出しをする、そして決まったら皆で責任を持って動く、そういうコミュニケーションを働かせるなかで、組織としての創造力を磨くよう心がけてください。
 そして三つ目の最後、思い・ハートを熱く、を心がけていただきたいのです。どんなに正確で早くそして創造力を発揮した仕事であっても、その仕事にかける熱い思いや、市民のためにという強い使命感、困っている方に寄り添う優しい思いやりの気持ち、そんなハートが無ければ、市役所の仕事は市民にとって、単に冷たい、寒々しいものになってしまうのです。ぜひそんな事の無いよう、私と共に、世のため、後のため、現在そして将来の市民のため、熱いハートを持ち続けて、一緒に頑張ってまいりましょう。
 以上、自分自身を客観的に見つめること、そして正確性はもちろんのこと、これからはスピード、創造力、そしてハート、これらを心がけていただきたく、みなさんに提唱いたします。
 さて、最後になりますが、部下を持つみなさんに対して、特に一言申し上げたいと思います。みなさんは日々、どうしたら部下が言うことを聞いてくれるか、どうしたら職場の雰囲気を活性化できるか、いろいろと悩みながら仕事をされているのだろうと思います。お疲れさまです。私は人間がリーダーシップを発揮するためには、まず自ら人に働きかけをすることが第一歩だと思っております。その基本は、やはり挨拶だと思います。まず部下に対して積極的に挨拶することを、ぜひ係長以上のみなさんに、改めて提唱いたします。挨拶はコミュニケーションの基本中の基本です。
 今年の標語は「磨く」ですが、どんなに立派な志を持っていても、それを磨く努力が無ければ人間は惰性に陥り堕落するということです。日常の挨拶に、その人間の志を磨く姿勢は現れます。挨拶一つ満足にできない職員が、どうして市民から信頼されるでしょうか。率先垂範、明るい職場づくりの第一歩は、挨拶です。ぜひみなさんには気持ちのよい挨拶が交わされる空間づくりに自ら努めていただきたくお願いします。
 長い間お話させていただきました。昨日と今日、市政に対する熱い思いは全く変わりませんが、しかし四期目ということでしっかりと自分自身にリセットをかけ、惰性に流れず、率先垂範、独りよがりにならず、正確性とスピード、創造力と熱いハートを胸に、みなさんと明るいコミュニケーションを交わしつつ、市民に皆さまにお約束した公約の実現に全力を尽くし、合わせ市役所内にあっては、全体の総覧者として、職員一人一人が輝いて働ける職場づくりに全力を尽くします。
 改めて、現在そして後世の市民のために、この身を捧げる覚悟を宣言して四期目スタートにあたっての訓示といたします。みなさんどうぞよろしくお願いいたします。

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