不確実な未来を切り拓くボート(平成30年5月分)

更新日:2020年10月01日

 おはようございます。5月1日、今月の月いちメッセージをお送りします。この4月で新しい部署に配属されたみなさん、また新入職員のみなさん、一ヶ月を振り返ってどうだったでしょうか。おそらく新しい環境に戸惑いつつ、新しい仕事に追われ、それぞれ慌ただしく過ごされたことと思います。
 今年は「磨く」を一年間のテーマに掲げさせていただきました。本日もそれに関連した私自身の思いをみなさんにお伝えします。
 みなさんは次のような格言を聞いたことがあるでしょうか。「人は後ろ向きに未来へ入っていく」。これはフランスの詩人、ポール・ヴァレリーの言葉です。もう一度言います。「人は後ろ向きに未来へ入っていく」。これは一体どういう意味でしょうか。
 我々は果たして、自分の未来を、将来を、自分の目の前に広がる光景として見ながら前に進んでいるのでしょうか。実はそうではありません。未来、将来というものは、実際に本当の姿が目の前に見えているわけではなく、あたかもボート漕ぎのように、進行方向に背を向けてオールを漕ぎ、過ぎ去っていく光景が記憶として残る中で、我々は未来へ進んでいる、ということです。
 これは人間存在についての鋭い指摘だと思います。我々にとって、未来というものは全く不確実なものです。
 ただし私はここで、所詮未来なんて分からないのだから努力しても無駄、などと悲観論を振りまくつもりはありません。そのような考えでは、はっきり言って我々の仕事は成り立ちません。
 我々の周りには、解決しなければならない現世の課題が山のように転がっておりますし、今から手を打っておかなければ後々大きな問題となる事も沢山あります。
 不確実性の高い、保証のない未来、後ろ向きに入って行かざるを得ない未来ではあっても、だからこそ、どうしたらより良い未来にすることが出来るか、少なくとも自治体行政に携わっている者は、常にそれを意識したいものです。
 自分および自分の組織が携わっている仕事において、何が市民にとっての理想の形か、あるいは何が解決すべき課題で、どうすれば解決出来るか、しっかり調査研究し、方法が定まったら実践する、全体の奉仕者というのはそういう役割を担っているのです。
 見えない未来ではあるけれど、想像することは出来ます。想像をやめてしまったところに未来は拓けません。ではより確実な想像が出来るようになるためにはどうすれば良いか。
 ボートの話に戻りますが、私は市役所も職員という漕ぎ手のいるボートに似ていると思います。各部局、各課、各係に至るまで、組織として仕事をするところはやはりそれぞれボートと同じだと思います。
 競技用のボートはコックスが前を向いて指示を出します。これは組織における長の役割でしょう。現実は皆と同じ、未来が絶対確実に見えているわけではありませんが、他の漕ぎ手よりも未来を見通す想像力を磨いていかねばなりません。
 漕ぎ手は単にコックスの指示に従うだけでなく、それぞれの位置に与えられた漕ぎ方つまり自分の役割をしっかり磨きつつ、全体が一致協力して漕いでいくことが求められます。
 そしてボート漕ぎは確かに進行方向に背を向けているとは言え、周りの景色をよく観察していれば、自分が、自分たちがどういう方向に進んでいるのか見当はつきます。
 ボートの今の位置はどこか、進む方向が間違っていないか、速度はどうか、自分を含め漕ぎ手の状況はどうか、等々、組織の目的やあり方をみんなで共有する努力を重ねることで、たとえ背を向けて進まざるを得ない未来とはいえ、それを想像できる力は相当磨かれる、その上で、勇気とチャレンジ精神を持って、未来を恐れず皆でしっかりボートを漕ぐことです。ボートのあり方だけを議論して、オールを漕がない、それではボートの存在意義そのものがないと思います。
 私自身も、市役所というボートがしっかりした方向へ向くよう、みなさんの力をいただきながら全力で未来を想像し、方向性を間違えないよう判断し、そして勇気とチャレンジ精神を持ってみなさんを鼓舞していくことを改めて誓うものです。
 以上、本日は「人は後ろ向きに未来へ入っていく」だからこそ、というお話を申し上げました。
 これにて今月の月いちメッセージを終わります。連休はぜひしっかりリフレッシュし、五月病にもどうか気をつけて、これからもお仕事頑張ってください。

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