新緑の季節に 日本の「木の文明」を考える(平成22年6月1日号)

更新日:2020年10月01日

森の中の小平の「岩谷堂」の写真

5月5日、小平の「岩谷堂」に行きました。深い山林に囲まれた一直線の急な参道沿いに、苔(こけ)むしたたくさんの石仏が安置されていて、一種独特の神秘的な場所です。ここは古くから修験道(神仏習合の山岳宗教)の修行の場であり、また特定の宗教宗派にかかわらず、人々が古くなった石塔や石仏を奉納してきた霊地でもあります。このようなパワースポットで自然の恵みに感謝しながら森の精気を深呼吸し、とても爽快(そうかい)な気分になりました。
5月16日には県の植樹祭が総合公園で行われました。今年で61回を迎え、年々参加者も増えて大きなイベントになっています。それだけ人々の環境保全への願いが強くなってきたことの表れでしょうか。しかし木を植える、森(杜)を育てることは単に自然環境を良くするというだけでなく、私たちの心をより豊かにする意義もあるようです。
大木にしめ縄を張って敬う宗教観を持つ日本人にとって、森や山林は魂のふるさとなのでしょう。世界の四大文明がすべて森を破壊してきたのに比べ、我々の祖先は縄文の昔から森と共存し、独特の「木の文明」を築き、しかもその影響は今日まで続いています。たとえ森を開墾して田畑を作っても、ビルが立ち並んでも、鎮守の森(杜)には手をつけないことが今でもルールです。「トトロ」は子どもたちに大人気。森の精霊は今も生きているのです。また、最近では再び木造建築の良さが見直されてきています。
今、外材の流入で日本の林業は衰退し山は荒れています。国土の7割が森林である日本。このままで良いはずがありません。一方、世界では砂漠化が進んでいます。森林に精霊の存在を感じ、森林を守り育て、それと共存する日本の「木の文明」をあらためて見直し、新しく発展させることは地球の未来に対する我々の大きな責務でしょう。

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