「振り込め詐欺を許さない」(平成26年11月1日号)

「こちらは防災本庄です。本庄警察署よりお知らせします。ただいま市内のご家庭に、息子や孫をかたる、振り込め詐欺の電話がかかってきています…」
今や毎日のようにこのような防災行政無線が市内に鳴り響いています。これは実際に振り込め詐欺と思われる電話を受け取った市民が、警察に連絡をした後だとお考えください。
「母さんオレだよ」と電話をかけ、交通事故でケガをさせた相手との示談、あるいは会社の金の紛失、などの理由で「今すぐ現金が必要」と相手をだまし、銀行振り込みや直接の受け取りなどで高額の金をうばう振り込め詐欺。今やその手口も多種多様で、しかも1人でなく組織的に行われているようです。
私がこの詐欺を絶対に許せないのは、親の子を思う、祖父母の孫を思う、その善良な気持ちを逆手に取るからです。だまされた被害者に聞くと、みなさん異口同音に、絶対我が子、我が孫と思って疑わなかった、と言われる。それはそうでしょう。我が子、我が孫と信じた瞬間、人は「何とかせねば」という一途なスイッチが入ってしまうのです。それが親であり、祖父母だと思います。
だまされた人が悪いという言い方を、私は取りませんし取れません。それよりもこのような卑劣な犯罪に手を染めている輩を絶対に許してはならないという正しい怒りが、もっと社会全体に必要なのではないかと思います。
子を思う、孫を思う親や祖父母の気持ちを無にしない世の中づくりを、我々は真剣に考えた方が良いでしょう。自分の権利を主張することばかり教え、親の恩に報いることを教えない、偏った世の風潮が長らく続いた結果、このような犯罪が起きやすい世の中になったと私は思います。家族のつながりをもっと強くする世の中にしていかねばならない、あの忌まわしい防災行政無線が流れるたび、そう思うのです。
みなさん、両親やおじいさんおばあさんと、コミュニケーションを取っていますか?
更新日:2020年10月01日