たばこ・禁煙について考えましょう
5月31日~6月6日は禁煙週間です!
- 禁煙週間:5月31日~6月6日
- 世界禁煙デー:5月31日
令和4年4月から成年年齢は引き下げられましたが、「たばこは20歳から」です。喫煙を開始した年齢の早さが、あらゆる死因との因果関係にあることが報告されています。
たばこを吸っている本人よりも、その煙にさらされている周りの人の方が、濃度の高い有害物質を吸ってしまうことが分かっています。
想像してください。もしも自分のたばこのせいで、自分だけではなく大切な家族や友だち、誰かが病気になってしまうとしたら…。
健康増進法の一部が改正され、望まない受動喫煙を防止するための取り組みはマナーからルールへと変わりました。(令和2年4月1日に全面施行)
改正法の3つの基本的な考え方
- 「望まない受動喫煙」をなくす
- 受動喫煙による健康影響が大きい子ども、患者等に特に配慮
- 施設の種類・場所ごとに対策を実施
この機会に喫煙による健康への悪影響を理解して、自分と周囲の人の健康も守ることを目指しましょう!
たばこの煙について
たばこの煙には、発がん性物質が60種類以上!!
たばこの煙には約4000種類の化学物質が含まれていますが、その中にはニコチンやタール、一酸化炭素等の有害物質が約200種類も含まれています。
さらには、なんと60種類以上の発がん性物質も含まれていることが分かっています!
たばこに含まれる有害物質の例
- アセトン→ペンキ除去剤
- ヒ素→アリの駆除剤
- ブタン→ライター用燃料
- カドミウム→車のバッテリー
これらの物質は、煙の通り道(くち・のど・肺)はもちろん、消化管(食道・胃)、肝臓、腎臓などの多くの臓器に影響を与えます。
さらにがん以外にも、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心疾患、脳卒中、生活習慣病(高血圧、糖尿病、脂質異常症)などのさまざまな病気の原因になることが分かっており、その悪影響は全身に及びます。
副流煙・受動喫煙について考えましょう!
副流煙とは、たばこを吸う時に発生する煙のうち、たばこの先端の燃焼部分から立ち上る煙のことをいいます。そしてその煙には、発がん性物質やニコチン等の有害物質が、主流煙(喫煙者本人が吸う煙)よりも数倍も多く含まれています。
受動喫煙は危険です!
他人のたばこの煙を自分の意思に関係なく吸い込んでしまうことを受動喫煙といいます。
実は吸っている本人よりも、その煙にさらされている周りの人の方が濃度の高い有害物質を吸ってしまうことが分かっており、非喫煙者は、少しの煙の量でも大きな健康被害を受けるとの報告もあります。
受動喫煙が周りの人に与える影響として、肺がんや虚血性心疾患などのリスクを上げ、子どもには、乳幼児突然死症候群(SIDS)や喘息などの健康被害を及ぼします。
3次喫煙をご存知ですか?
3次喫煙(サードハンドスモーク)は、受動喫煙とは異なり、たばこの火が消された後にその場に残った化学物質(残留物質)を吸うことをいいます。ご家族のために室内では、たばこを吸わないようにしている方も多いと思いますが、たばこの煙の残留物質は衣服や髪の毛等に付着しやすく、屋外で喫煙をしてその後すぐに室内に入ってしまうと、一緒に有害物質も運んでくることになります。このように分煙では、完全に有害物質を取り除くことができません。
たばこを吸っていると、知らず知らずのうちに家族や大切な人の健康を害している危険性があるということをこの機会にいま一度考えてみてください。そして、自分のたばこの煙を周りの人に吸わせないようにしましょう。

他にも知ってほしい!たばこについて
軽いたばこに惑わされないで!
「ライト」、「マイルド」などのたばこの種類がありますが、タール量やニコチン量が少ないから大丈夫。以前吸っていたものよりも小さな数字にしたから健康的。などと思ってはいませんか?
残念ながら、数字が小さいから害が少ないとはいえません。煙を吸い込む回数が増える、吸う本数が増える、根元まで吸うなどの行動をとってしまうと、結果的に有害となってしまうのです。
たばこを吸っていると手術ができないことがある!?
たばこを吸っていると、外科手術を受けた際に創傷部位の感染や壊死などによって傷の治りが遅れたり、術後の呼吸器合併症のリスクが増加します。そのため、手術の前には禁煙期間を設けられることもあります。たばこを吸っていたからすぐに手術が始められない。そんな状態は避けたくありませんか?
ニコチンの依存性によりやめにくい!!
ニコチンは、たばこへの依存性を高める化学物質です。強い心理的欲求や精神依存をもたらすことが分かっており、たばこを断つことの難しさは、薬物依存と同程度ともいわれています。
加熱式非燃焼タバコ(電子たばこ)って安全?
最近、加熱式非燃焼たばこ(電子たばこ)に注目が集まり、喫煙されている方の中には、紙巻たばこ(従来のたばこ)から電子たばこへ切り替える人や、紙巻たばこと電子たばこを使い分ける人もいるのではないでしょうか。
電子たばこを使用されている方の中に、電子たばこのほうが紙巻たばこより安全と思っている方はいませんか?
加熱式非燃焼たばこ(電子たばこ)とは
加熱式非燃焼たばこ(以下、電子たばこ)とは、 たばこ葉やたばこ葉を用いた加工品を燃焼させず、専用機器を用いて電気で加熱することで煙を発生させるたばこです。加熱の方法や温度などは製品ごとに異なります。
葉たばこを使用した電子たばこの特徴
紙巻たばこと同程度のニコチン摂取
葉たばこを使用した電子たばこの喫煙によるニコチン摂取量は、紙巻たばこの約8割程度とされています。
ただし、喫煙者はニコチンの血中濃度が一定に達し満足感が得られるまで吸煙を続けるため、結果的に体内に摂取するニコチンの量は紙巻タバコと同じです。
禁煙のつもりが、かえってニコチン依存を助長
「電子たばこで禁煙できる」と思っている方はいませんか?
日本や諸外国での調査では、紙巻たばこと比較して電子たばこを使っている人のほうが、かえって喫煙から離れづらくなっているという調査結果があります。
また、電子たばこでもニコチン依存症を起こすことも分かっています。
電子たばこは受動喫煙の心配はない?
電子たばこは、紙巻たばこに比べ臭いがほとんどしないものもありますが、少なくとも喫煙者が吐き出す呼気には紙巻たばこと同程度の量のニコチンが含まれ、それが周囲に出ています。電子たばこを吸う際にも、受動喫煙の可能性があることを覚えておきましょう。
電子たばこについても考えましょう
電子たばこを長期に摂取した場合の有害性はまだ確認されていなく、リスクが科学的根拠で証明されるためには、長い年数の調査が必要と考えられています。
厚生労働省も電子たばこについて調査をし、下記のように報告しています。
---以下抜粋---
加熱式たばこの主流煙に健康影響を与える有害物質が含まれていることは明らかであるが、販売されて間もないこともあり、現時点までに得られた科学的知見では、加熱式たばこの受動喫煙による将来の健康影響を予測することは困難。このため、今後も研究や調査を継続していくことが必要。
このように電子たばこの使用者と周囲の人への安全性も証明されていないことから、電子たばこを使用するうえでも紙巻たばこと同様に慎重に使用することが重要です。
禁煙を始めませんか?
たばこが体に悪い…。きっと誰もが思っているのではないでしょうか。しかし、「すぐに禁煙をしなくても大丈夫。」、「これからすればいい。」そう考えてはいませんか?
今大きな問題が見られなくても、このままたばこを吸い続ければ、あなたの生活にさまざまな影響をもたらすかもしれません。
禁煙週間をきっかけに禁煙を始めましょう
禁煙はいつから始めても遅くありません。「禁煙は大変」と思っている方も多いかもしれませんが、禁煙方法の1つに、禁煙外来を受診し医師のサポートや薬を用いる方法もあります。禁煙を考えている方は、禁煙外来に相談してみましょう!
(注意)禁煙外来を実施している医療機関においても、取り扱い医薬品の供給状況により、治療をできない場合があります。
禁煙の効果(禁煙による健康改善)
タバコをやめた時点から、さまざまな効果を実感できます。また、禁煙を続ける事ができれば、タバコでダメージを受けた体も健康に近づいていきます。
あなたの健康のためにも、大切な人のためにも、さっそく禁煙を始めましょう。
禁煙の効果(喫煙年数や禁煙期間等により個人差があります)
禁煙直後
- 家族や周囲の人が受動喫煙を受けるリスクがなくなる
- 衣服や部屋、車にタバコのにおいがつかなくなる
禁煙数日後
- 味覚や嗅覚が鋭敏になり、食べ物をおいしく感じるようになる
- 目覚めがさわやかになる
- 肌の調子がよくなる
- 口臭がなくなる
禁煙数か月以降
- せきや喘鳴などの呼吸器症状が改善
- 免疫力が回復し、かぜやインフルエンザなどの感染症にかかりにくくなる
- 肺機能の改善や虚血性心疾患、脳梗塞のリスクが減少
- 肺がんのリスクの低下
その他
- ニコチン切れによるストレスがなくなる
- 禁煙成功により自信がつく
禁煙達成には周りのサポートも大切です
禁煙に成功しても、3分の1の人は1年後までに再び喫煙しています。
禁煙成功の一番大切なコツは、何度でもチャレンジすることです。いつまでも禁煙できないのは意志ではなくニコチン依存のせいなのです。周囲の温かい関わりの有無が禁煙達成に大きく影響しますので、ご家族をはじめ、周りの人も禁煙を目指している人に寄り添ってサポートを続けることが大切です。

更新日:2025年04月02日