孤立しない社会へ (令和元年6月分)

更新日:2020年10月01日

 おはようございます。6月になりました。今月の月いちメッセージをお送りします。
 元号が令和と改められてひと月が過ぎました。改元は単に元号がリセットするだけでなく、我々の社会のあり方についてもリセットする機会ではないかと私は思います。前の時代からの良きものは継承し、悪しきものは改める、もちろんすぐに何かが変わるわけではありませんが、そういう心構えがまずは大事なのではないかと思います。
 では平成はどういう時代で、令和の課題は何か。さまざまなことが言えると思いますが、私なりに一言で申せば、平成とは「個人、個性の尊重がうたわれつつ、孤独、孤立が進んだ」時代だったと思うのです。昭和に比べて平成の時代は人間一人一人の人権やその人なりの個性を尊重することが、あるべき社会的価値観として定着した時代と言えるでしょう。しかし一方、核家族化、一人世帯の増加、婚姻数の減少、さらにはひきこもり、孤独死など、平成時代の社会現象を表す言葉には、人間関係が希薄になったコミュニティや家族、そして一人一人の孤立に関係するものが少なくありません。
 このような社会の流れは、令和においても、このままでは更に加速することが予想されます。しかしそれで本当に良いのでしょうか。元号が改まった今こそ、そうなってしまう未来ではなく、あるべき未来を思い描くことが大事だと思います。
 私から言わせれば、令和の時代は、一人一人の個性が尊重されると共に、一人一人が社会から孤立しない、そんな世の中をどう目指すかが大切なのではと思います。
 こういうと、孤独な人生を楽しんでいる人もいるのだから、マイナスイメージだけで語るのはいかがなものか、という声も聞こえそうです。最初にも言いましたが、一人一人の個性、これはその人の生き方がまさに個性ですから、反社会的なもので無い限り、最大限尊重されるべきと思います。
 問題は、いわゆる「生きづらさ」を抱えて孤立孤独に陥っている方々の場合です。人間の幸不幸は多分に主観的なものですが、その人なりの生きづらさというものは、端からは身勝手、わがままに見える場合もあるかも知れませんが、実は当事者にとっては辛く苦しいものです。
 福祉の現場でさまざまな方々のさまざまな状況に直面しているみなさんにはお分かりと思いますが、例えば発達やコミュニケーションに課題がある方の場合、特に就労、仕事に就くという点において、私は今の社会は、さまざまな人間の特徴を受け止めるだけのキャパシティ、許容力が無くなっているのではと感じます。昔であればこの子の適性に応じた仕事があったかも知れないが今は探すのが難しい、そんな悩みや相談を実は私自身も受けているところです。
 令和の世の中はAIの時代になります。規格大量生産型の労働ばかりか学習能力が必要とされる作業も、人工知能にとって代わられる可能性が大です。そのような時代にあって、さまざまな能力、さまざまな個性にあった職業選択は可能でしょうか。可能にしなければならないと思います。
 ダイバーシティという言葉があります。多様性と直訳され、これにマネージメントが付くと、ダイバーシティ・マネジメントとなり、これは人々の多様性を組織の活性化のために活かそうという人材活用の言葉です。実はこのような考え方は我が国にも昔からありました。社会や、自分たちが属する組織を構成している全ての人々の多様性を肯定しつつ、一人一人が孤立しない社会づくり、組織づくりには何が必要か。私は本庄市という地域社会、また市役所という組織の長として、この令和の時代、そのことを常に心がけて行きたいと思います。そしてみなさんにも一緒に考えていただきたいと思います。
 答えは簡単ではありませんが、一つだけ言えるのは、人間は何らかのつながりを求めている存在であり、人と人とのつながりが人間の幸福を得る大きな前提条件であること。そして人間には、自分が何かのために役立っているという充足感が大切であるということです。生きづらさを抱えながらも孤立しないというのは、このような心の持ち方を、当事者が出来るか否かだと思います。それには周りの力も必要です。
 今日は令和の時代の課題ということで、大きなテーマをみなさんに投げかけさせていただきました。個性が尊重されつつ、孤立しない社会づくり、どうぞ一緒に考えてください。
 以上で本日の月いちメッセージを終わります。梅雨時、体調には気をつけて頑張ってください。

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