「戦後70年とは言うけれど…」 (平成27年8月分)

更新日:2020年10月01日

 みなさんおはようございます。暑い夏が続いております。体調には充分気を付けてください。8月は戦没者を追悼し平和について考える月です。戦後70年についての私の見解を広報ほんじょう8月号の市長コラムに書きましたのでご一読ください。
 さて今日は別の視点から語らせていただきます。それは、戦後70年とは言うけれど、実は日本は今から20年前、つまり戦後50年の平成7年、1995年あたりを境に時代が大きく変わった、そのことをしっかり見つめなければならないということです。
 もっと言えば、我々は戦後何年という言葉を発した時に、ともすれば日本社会は戦後ずっと同じ時代の中にいる、という錯覚に陥ってはいないか。その錯覚に陥らずに、今を生きる我々の時代を見つめ、未来を切り拓くためにはそれまでの古い常識・価値観を転換すること、パラダイムチェンジを恐れてはならない、ということです。
 具体的な話をします。戦後50年の1995年は、いわゆるバブル経済の崩壊を経て、社会不安が高まるなか、阪神淡路大震災とオウム真理教による無差別殺人事件が起こり、人々に世紀末を感じさせた年でした。実は、戦後ずっと増え続けてきた日本の生産年齢人口は、この年の8726万人をピークに減少し始めたのです。これは日本の歴史において大変重要な転換点です。あれから20年。生産年齢人口は昨年10月の総務省推計で7785万人。ピーク時と比べて約1000万人減少しました。働き手の人口の増加局面と減少局面とでは、全く社会の様相が異なります。にもかかわらず、戦後ずっと同じ時代が続いているという感覚を持ち続けるようでは、未来への処方箋は生まれません。
 現在叫ばれている地方創生は、まさに日本の人口問題へのアプローチですが、実はすでに20年前から問題は始まっていたのです。ここに来てやっと政府も人口問題を正面から課題として取り上げ、地域の将来に責任を負う自治体が市民や企業と共に、出生率上昇のための挑戦をすることになりました。我々も大変ですが、むしろこれこそまさに「自ら」の問題として取り組むべきでしょう。
 地方創生は国民の勤労のあり方にも大きな転換を迫るものです。生産年齢人口が多い時、働き手は猛烈に働ける男性だけで充分足りていました。だから男は仕事、女は家庭、そして男は朝早くから夜遅くまで働くことが常識でした。ところが今や人口は減少し続けており、高齢化が進行しています。だからさまざまな人の力を活かさないと社会が維持出来ません。女性の力が必要であり、また子育て中の人、親の介護をしている人、あるいは障害のある人、そして一度リタイヤした人など、個人のライフスタイルを重んじつつ、社会をみんなで維持して行くために、労働環境、勤労形態を過去の常識にとらわれず変えていくことが必要でしょう。
 もう一つの時代の転換についてお話しします。それは情報化です。今や誰もが世界の情報を瞬時に受け取れる時代となりましたが、実はインターネットが急速に普及したのが1990年代の後半、今から約20年前からです。インターネットの普及の前は、世の中の情報というものは、口コミ以外はまさにマスコミや行政の広報などによって「もたらされる」、一方通行のものでした。それが今や、個人が大量の情報を取捨選択しながら得られ、一方動画まで使って自ら情報発信できる時代です。
 ところが世間では依然として旧態依然の錯覚がまかり通っているようです。例えば、マスコミなどの世論調査は依然として昼間の時間に個人の住宅に電話でアンケートを実施するような方法が多いようですが、これでは受話器を取るのは年配の人がほとんどであり、果たして本当に世論調査と言えるのか大きな疑問です。若者の意見の収集に更なる工夫が必要でしょう。
 また、行政あるいはマスコミの間に、我々が国民に情報を「知らせてやる」のだ、という意識が強いとしたら、それも最早大きな勘違いです。むしろ国民の一人一人に向けてしっかり情報公開を行い、社会の行く末について自ら考えていただくべきです。
国民の情報発信力をどうやって活かすかも考えるべきでしょう。例えば本市においては、はにぽんプラザの観光映像は市民の手作りです。そのような志ある市民と自治体が良きパートナーシップを醸成させて行く事例は他にも沢山できるのではないかと思います。
 以上、今回私は、20年くらい前からそれまでとは全く異なる時代に我々はいるのであり、古い常識・価値観の転換、更なるパラダイムチェンジの必要性を、生産年齢人口の面と情報化の面からランダムに語らせていただきました。時代の様相を深く考察し、まず自らの意識を他に先んじて変え、いまそして何より未来の市民に対し責務を果たす本庄市行政でありたいと思います。
 以上で月いちメッセージを終わります。暑い日がつづきますが、どうぞみなさん身体を大切に。今月も頑張りましょう。

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