「クレーム対応について聞いたちょっといい話」 (平成29年6月分)

更新日:2020年10月01日

 おはようございます。6月1日になりました。今月の月いちメッセージをお送りします。
 一昨日の本庄法人会総会後の講演会で、クレームコンサルタントの谷厚志氏のお話を聞きました。私自身「なるほど」と共感するお話でしたので、以下その一部をみなさんにお話ししたいと思います。
 世の中にはあまたのクレームがありますが、そもそもクレームとはどういう時に来るのか。谷氏によれば、仕事をしっかりしていない時はもちろん、仕事の効率ばかり追い求めていても、むしろクレームは来る。接客が接客でなく、お客をさばく、こなす、そうなった時こそがクレームを招きやすい。しかも何事も効率よく進めようとすると、クレームへの対応も失敗する、というのです。
 クレーム対応にありがちなパターンとして、とにかく嫌な状況から早く逃げたいから、対応というより手早く物事を「処理」し解決しようとする。そういう場合に最初からつい口に出てしまうのが「二度と同じ事がないよう再発防止に努めます」という言葉。
 これでは絶対うまくいかないと谷氏は言います。その場で解決しようとして、逆に相手をますます怒らせてしまうこと、ありがちなことと思います。
 「まずはクレームを、一部のお客のわがままだと簡単に決めつけない」。そう谷氏は言います。この言葉は自分にとっても重いものがありました。クレーマーというと、理不尽ないいがかりをつけているだけの人ばかりがクローズアップされがちですが、全てをそう見てしまっては本当に不利益を被ってクレームを言ってきた方の存在を葬ってしまうことになります。なお本当に理不尽なクレーマーについては、毅然とした、あるいは一種独特な対応の方法もあるでしょう。これは今回の話とは別であると考えてください。
 では通常のクレーム対応で最も大事な所作は何か。それは「必ずメモを取る、そして聴くこと」だそうです。それはなぜか。「実はクレームをつけて来る人は、まずはなぜ自分がクレームをつけているのか、それを理解して欲しいのだ」と谷氏は言います。メモを取るのはその方のクレームの背景を理解するためです。どうしてその方がそのクレームを言うのか、その事情は何か、本当はどうしたかったのか。そこを理解することこそが真の解決への道だそうです。
 そんな相手の気持ちを理解せず、会社側がまず解決策だけを早く出そうとすると、ああ、この会社は、この人は、今の状況から逃げたいのだな、としか思えず、ますます不信感が増幅する、というわけです。さらに悪いのは、クレームをつけてきている相手の情況、背景を考えずに、こちらが勝手に良かれと思った、自分たちに都合の良い解決策を出そうとすること、これがもっともダメだそうです。
 谷氏は若いころある会社のクレーム担当でした。会社のミスで一週間以内に届くはずの商品が届かないことが判明し、そのことをすでに商品を予約したお客様、ここでは仮にAさんとします。そのAさんに実情を話したところ大変怒られ、しかも谷氏自身が自分に都合の良い解決方法を最初に出したところさらに逆上されたそうです。
 そこで平謝りに謝ったあとメモを取りながら、Aさんがなぜクレームをつけてきているのか丁寧に聞いたところ、実はAさん自身の問題というより、一週間以内に商品が届かなければ、Aさんにとって頭が上がらないBさんという人物から頼まれたことが履行できなくなる、実はAさんはそのことにこそ困り果てていた、ということが分かったのです。
 そこで最終的な解決方法として、Aさんに了解を得て、Aさんのせいではなく会社のせいなのだということをBさんにお伝えし謝罪するということが、社内で議論を尽くした結果の結論となったそうです。
 このように、クレームをつけて来た、まさにその本人の背景を理解しないところにクレームの真の解決方法はあり得ない。そして大切なのは、最終的にはクレームをつけて来た方の立場を守ることを最優先にすべきだということです。
 相手の事情も知らずに最初からあせって「二度と繰り返さないよう改善策を講じます」などと言って火に油を注ぐのではなく、「まずは相手の事情をよく聞いて、心の底から『今回、いかにお客さまにいやな思いをさせたか、そのお立場、お気持ちがよく理解できました』が言えるかが大切だ」と谷氏は言っていました。
 クレームは処理するのではなく、対応するもの。そしてクレーム対応で大切なキーワードは独りよがりな「解決方法」より、まず相手の背景、事情、そしてどうしたかったのかを「理解」すること。
 実は、相手を理解しようと真面目にメモを取る人に対してクレーマーは5分以上わめかない、そしてこちらがメモを取れば取りやすいよう、向こうから話すようになる、とのことでしたので併せてお伝えします。
 以上のお話は谷厚志氏の講演のごく一部ですが、本日はみなさんと共有したいと思い、お話ししました。やはり相手の立場、視点に立つという誠意こそ最も大切だと思いますね。
 これからうっとうしい日々となりますが、体に気を付けて頑張ってください。本日の月いちメッセージを終了します。

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