前川正雄氏の講演(平成30年11月分)

更新日:2020年10月01日

 おはようございます。11月1日になりました。今月の月いちメッセージをお送りします。
 昨日はFM NACK5開局30周年記念「あなたの街自慢コンテスト」ラジオCMのグランプリ受賞につき、NACK5本社に行ってまいりました。本日から1年間、1日1回、トータルで350回以上本庄市のCMが流れます。首都圏一円に本庄市のPRが出来ます。これは本当に大きな成果です。本日第1回目が6時28分に流れました。明日は夜の7時55分からです。
 さて、去る10月19日に、早稲田大学本庄高等学院で、株式会社前川製作所顧問、前川正雄氏の生徒に向けたご講演を拝聴する機会がありました。前川製作所は冷凍庫をはじめ食品加工機械などの世界的な機械メーカーです。私は前川顧問とは以前から面識があり、早稲田大学が本庄に環境総合研究センターを設置した頃にもそのご講演を聴きました。その際「日本のものづくりは、消費財はアジア諸国に取って代わられるだろうが、企業相手の工作機械など、生産財のものづくりでは絶対に負けない」と強調されていたことを今もハッキリと記憶しております。あれから15年以上が経ち、果たしてどのような講演になるかと思いつつ聴きました。そして今回も自分自身、なるほどと感じたことがありましたので、以下、講演内容をメモ取りした文章を自分なりに整理して、みなさんにお伝えします。
 ものづくりにおける20世紀と21世紀の違い。20世紀においてモノの価値を表すものとして重要視されて来たのは価格と品質。一方21世紀は価格と品質だけで人々のニーズは満たされない。ではどんなところにニーズがあるのか、それは国によって、世代によって、文化によって、個人によって異なるものであり、21世紀のものづくりとは、このような個別具体的なニーズ、つまり20世紀では表に現れて来なかった社会の奥にある、個々の不満をどうつかむかが大切である。
 20世紀は調査会社やコンサルティングが重宝された。今もまだそうかもしれないが、そういう時代は終わる。世の中の課題は複雑で、答えはすぐ出ない。外のコンサルタントに答えを求めてもダメ。課題に直面する当事者が皆で知恵を合わせて出して行くしかない。自分の今の居場所では見えてこないものを見つける力、これが必要であり、それには実際の変化の現場に身を置き、自分が聞いた知識を、身体を通して経験として身につける、それを一人より二人、二人より三人と、多くの経験を持ち寄り集積していくしかない。これからのものづくりは、素人のお客と一緒になってこちらも暗中模索で製品を開発しなければならない。
 ここまで講演して、前川氏は会場に質問を求めました。すると一人の学生が「日本人は自己主張が弱いと言われますがこれからの国際社会で大丈夫ですか」と質問しました。
 以下、前川氏の答えです。21世紀の製造業、企業向け生産財の最先端は日本企業であり続けると思う。欧米の社会はディベートで勝った方が優先される、しかしそれでは相手の細かいニーズに合ったモノは作れない。AとBがお互いの考えを合わせて行く場合、まず相手の意見を聞く。その際、相手に対して自分が無になれるかが大事。日本人は主張が無いと言われているが、むしろ相手の意見を無になって聴く事が得意であり、21世紀のものづくりの現場に非常に適応できるはず。
 次の質問。「私たち高校生はまだ社会の現場に出ていません。いまの私たちに何が必要と考えますか」
 前川氏の答え。現場に入るということは何も社会人に限った話ではなく、高校生なら、友達と何事かをやっていく、共同作業をしながら、相手と自分のコミュニケーションによって、知識を広める、語彙力を高めることに専念しなさい。同じ言葉でも、自分の認識するリンゴと相手の認識するリンゴは違うということ。リンゴならともかく、もう少し抽象的な概念を表す言葉になると、思い浮かべるものは人によって全く違うということ、ああこの人の言っていることはこういうことなんだ、とお互い理解を深めることで、相手との心地よい空間が生まれ、自分自身の語彙力は高まり認識能力は深まる。そういう営みをどれだけやれるかが、これからの時代を生き抜く鍵だ。
 次の質問。「これからの企業はどうやって時代をリードしていくのでしょうか」
 前川氏の答え。企業が時代の変化を作る、などと思い上がらない方が良い。変化は市場にある。企業が変化を作ることは出来ない。生き物は環境の変化にあわせて自分を変え、生き抜いて来た。自分の特徴を考えつつ、環境に合わせて生き抜いて行くことを考えた方が良い。
 最後の質問「毎日の生活のなかでモチベーションが上がらないのですがどうしたらよいでしょうか」
 前川氏の答え。モチベーションは上げようと思って上がるものではない。さまざまなことをやって失敗して、その積み重ねの上に、これが自分にとって一番好きなもの、それを見つけることが大切。
 講演が終わってから舞台裏で私は前川顧問に、一番勉強できたのは自分かも知れません、とお礼を申し上げました。まさに市役所で、本庄市で、起きているさまざまな課題への対応について、仕事をしてゆく際の心構えにとても参考になるお話、と思ったからです。私はみなさんに前川氏の講演内容のここを大切にしろ、などと言うつもりはありません。そうではなく、気になるフレーズ等ありましたら、後で月いちメッセージのこの原稿を市のホームページから拾って、それぞれ参考にしていただければ幸いです。
 季節も寒くなって来ました。体に気を付けて頑張りましょう。以上で今月の月いちメッセージを終わります。

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