「地元の教育」にそれぞれの立場からの参加を(平成18年12月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。今年も師走に入りました。今月の月いちメッセージをお送りします。今日はちょっと長くなりますがよろしくお願いします。
11月は学校関係で残念な事件が立て続けに起こり、つらくそしてあわただしい一カ月でした。特に教育長をはじめ、教育委員会の皆さま方は本当に大変だったと思います。今後ともさまざまな面での対応にご苦労いただくかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
今回の一連の事件を通じて、多くの方々から今の学校教育のあり方や問題点など、実にさまざまな報告、意見、批判や激励などをいただきました。私自身、今率直に感じるのは、小中学校の児童生徒、そしてその保護者は、自分あるいは自分の子どもが、学校でいじめや暴力に会わないだろうかという不安感を強く抱いており、また、先生方も学校あるいは自分のクラスの中に、そういう事件が起きるのではという不安感を抱いているということです。あらためて考えると、これは大変なことであります。もちろん、これまでこのような問題についての取り組み、解決に向けた努力は長年なされてきました。しかし、時代が進めば進むほど、結果として事態は悪いほうに向かっているといわざるを得ません。年々子どもの自殺が、いじめが、暴力沙汰(ざた)が起き、そして、それらは複雑化し、また陰湿化し、また凶暴化しているのです。マスコミの責任も大きいと思います。今回の一連の事件で、マスコミによる一種意図的な報道に、地域全体が振り回されてしまう状況もつぶさに見せ付けられました。とはいえ現代社会は、好むと好まざるとに関わらず情報化社会です。情報を的確につかみ、正しい内容を正しく流す努力をあらゆる場面に想定してゆかなければ、何事もうまく進まないのが現状です。むしろこのような時にこそ、今学校の中がどうなっているのか、しっかりとした実態把握がなされ、それが外にキチンと公表されることこそ、まず第一になさなければならないことであると思うのです。先月私は「見える化」といいましたが、まさに見えることによって、いじめや暴力の実態がどうなっているか、どの程度のことがどこで起きているのか把握が可能になる同時に根も葉もない噂は、本当に噂だったのだと認識され、あらぬ風評も収まるでしょう。学校がどうなっているのか、市民全体で情報の共有化がなされることが必要と感じています。
もちろん、実態把握は第一歩であり、それだけで事は解決しません。教育現場の問題は、学校だけに原因があるとする考えは間違っています。むしろ、家庭環境や地域全体の環境悪化の結果でしょう。これらは経済状態が二極化していることも原因の一つですが、むしろ時代が進むにつれて、家族という単位がどんどんバラバラになる傾向があり、モラルの低下傾向に拍車がかかっていることも確かです。家庭というもの、ファミリーという一番最小の、しかも一番強固であるべき単位が崩れ、子育て放棄のような状態、虐待を受けている子も増えています。そのような環境に育った子が、学校で自分より弱いものにはけ口を求める。これでは学校でいくら先生方が努力しようとも、その努力には限界があります。現在の日本の子育て、教育環境のゆがみの根本的な解決を目指すのであれば、それこそ戦後、これまで日本が歩んできた社会づくりの方向そのものを一度洗い直すぐらいの必要があると私は考えます。端的にいえば、法的、制度面の変革を伴った、家族、家庭の絆を強固にしていく政策を、政治の力で打ち出していくことしかないと思いますが、それは今私一人が叫んだところで何も変わりません。国の方針が変わることを待っているだけでは何も始まらない、今こそ地域に住む私たちが出来るところから、改革の努力をする必要があると考えます。
これまで行政の学校教育への関わり方は、これは教育委員会の所管だからということで、特に市長部局は触れない傾向が強かった、また教育委員会でも、学校のことはプロに任せればよいとしてきた傾向があったようです。しかし、今や保護者や生徒が、現実にいじめや暴力に会っている、また、会わないだろうかという強い不安感を抱いているのです。この不安感を取り除くことは大きな行政課題ではないでしょうか。教育委員会の所管であろうがなかろうが、今こそ、これほどまでに市民からの強いニーズに正面から向き合わなければ、市長として、また、本庄市行政としても、その役割を果たせているとはいえないのではないか、そう強く感じております。もちろん、マスコミが騒ぐように、何でも行政のせいにする傾向は改めねばなりません。しかし、行政としてまだやるべきことがあるのではないか、現実に市民は不安に思っている。やはり市民のための市役所であり、何かできることがあるはずだ。そう問いかけたいのであります。
これほど学校関係で事件が立て続けに起きたときも無いと思います。であれば、今こそ大きな改革のチャンスととらえ、全市あげて出来る限り市民のニーズに応えられる状態を目指して、安全な環境の学校づくりに取り組んでゆきたいと考えます。幸いにして現在の教育委員さんは、自ら学校に出向き、意見交換をし、実態把握に努め、今回の一連の事件に率先して取り組む姿勢でいらっしゃいます。今後教育委員さんには、校長先生をはじめ現場の先生の声、PTAなど保護者の声、そして地域の声を聞きながら、ぜひとも改革の方向性を模索していただきたいですし、市長としてできる限り応援しようと考えております。
そして職員の皆さまにもぜひお願いしたいのは、教育委員会、市長部局を問わず、地元の教育についてどう取り組むか、それぞれの立場から、また、立場を超えて、職員としてもまた一市民としても、真剣に考えていただき、出来る範囲での行動を起こしていただきたいのです。特にお子さんが学校に行っている職員のみなさんには、ぜひとも男女を問わず、地元のPTAの会合に積極的に出ていただきたくお願いします。それ以外の職員の皆さまも、何か一つでも地元の教育環境、子育て環境の向上につながる行動をとっていただきたくお願いいたします。今、自分が進めている行政政策について、それを青少年の健全育成にどうしたらつながるか問い直すのも良いでしょうし、一市民として、朝夕生徒に声をかけるのもよし、近所にどういう児童生徒がいるか把握しておくこともよし、子育て中の若い保護者の相談相手になるのもよし、地域活動に積極的に参加するのもよいと思います。私も私なりの関わり方として、今後、中学校訪問などを開始していきたいですし、また市長としてどこまで教育に関われるか、ぎりぎりの線までこだわっていこうと考えております。一人ひとりが地域の教育、子育てにこだわりを持ち、その成果があげられる本庄市にしていきたいと考えております。
本日は少し長くなりましたが、以上で月いちメッセージを終わらせていただきます。年末、お体に気をつけてお仕事頑張ってください。

この記事に関するお問い合わせ先

企画財政部秘書課秘書係
〒367-8501
埼玉県本庄市本庄3丁目5番3号
電話:0495-25-1154
ファックス:0495-21-8499
メールでのお問い合わせはこちら