最大のステークホルダーは市民(平成19年2月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。2月1日、今月のメッセージをお送りします。
先日、平成19年度の予算査定を行いました。財政調整基金を14億円以上取り崩しての予算編成という厳しい財政状況の中、新年度のいくつかの事業について、廃止も含めた見直しを行い、また、今後のあり方を新年度において検討することを指示いたしました。新年度というと、新規事業にばかり関心が向くものですが、今や市の財政状況にかんがみ、何かを止めることも決断しなければならない時代が来ています。私は年頭の仕事始めのあいさつで、皆さまに「何を為すか、何を為さぬか、そして、如何(いか)に為すか」という意識を持っていただきたいとお願いしました。この、何を為さぬかを決断することは、口で言うのは簡単ですが、実際は辛く苦しいものがあります。
よく市民の方から、「市長、誰が見ても無駄な事業はどんどん廃止しなければダメだ」と言われるのですが、この「誰が見ても無駄な事業というものは実は存在しない」と私は感じています。ある人にとっては無駄な事業だが、違う人にとってはそうではないのです。総論賛成各論反対という言葉もあります。行財政改革は必要だと言いながら、自分の利害が絡む問題になると誰もが神経をとがらせます。こういう状況ですから、特に、各種団体やさまざまな事業に対しての補助金や交付金を縮小、また廃止することは実に難しい。しかし、だからといって、行財政改革のスピードを緩めてはならない、そう私は自分に言い聞かせています。「一人でも反対があれば私はやりません」と発言をした政治家が過去にいたようですが、私から言わせればこの態度は逃げでしかない。大前提として国、地方合わせて未曾有(みぞう)の財政難時代であります。今までの時代の発想を大きく変え、持続可能な地域社会の構築を図るためにも、事業の見直しには不断の努力を重ねていかねばなりません。
大切なのは、事業の見直しについては、誰が、どういう基準で、どのようなプロセスを経て、変えたのか、止めたのか、という説明をしっかり行うことであると思います。また同時に、その説明を行うに当たっては、当該事業の関係者には、特に丁寧に説明する姿勢が必要であると思います。近年、ステークホルダーという言葉をよく聞きます。日本語に訳せば「利害関係者」ですが、意味はもっと広いものがあり、例えば、企業においては株主や投資家ばかりでなく、社内の労働組合や取引先、また広く消費者・利用者なども含まれます。このステークという言葉は、「何かの結果によって失う危険のある大事なもの」という意味だそうです。ですから、企業や行政など、ある組織が下す意思決定によって、自らの大切なものに大きな影響を受ける人々、これがステークホルダーの意味であります。本庄市にとって最も大切なステークホルダーは、もちろん8万3千市民であります。そして、同時に行政の個々の事業には事業ごとに、直接関係を持つ人たちが存在しています。例えば、保育行政であれば保育園児や保護者、そして、各保育園関係者が最も直接的なステークホルダーであり、住民自治に関することであれば、自治会長や自治会の役員などは重要なステークホルダーと言えるでしょう。
当たり前のことではありますが、今後、多くの事業の見直し、特に補助金や交付金の廃止や縮小を考えたとき、そのことを多くの市民全体に説明していくことはもちろん、それによって、特に強く影響を受けるであろうステークホルダーに対する説明もしっかり行うことが大切であろうと考えます。このように言うと、補助金や交付金の縮小や廃止は、その事業に関係が深い人から反対の声が上がりやすいから、早めに伝えてガス抜きをしたほうが良いから、と思いがちですが、利害関係者は全てそういう人だけではありません。自分たちがまさに関係者であることを良く自覚しており、改革の必要性を感じている方も必ずいます。ですから、予算の縮小や廃止については、誠意を持って、理解を求めていく姿勢、たとえ理解が得られなくとも、得ようとする真摯(しんし)な姿勢をもって臨むことが必要でしょう。もしもその事業自体が本当に必要なものであれば、仮に行政が予算を縮小や廃止するとしても、それならば自分たちもこのような工夫をしてみよう、などというアイディアが、またやる気が、ステークホルダーの中から出てくる場合もあります。そういう動きには、やはり行政としてもお金がないならないで、出来る限りのバックアップをしていく必要もあるでしょう。事実、ある団体への補助金や交付金を減額しても、かえって団体の自主性、自発性が高まり、行政がお金をかけなくとも知恵とアイディアを提供する中で、事業自体が盛り上がっているという例があります。
また、逆に関係が深いステークホルダーが改革に反対でも、市全体の観点に立てば進めねばならないことは言うまでもありません。最大のステークホルダーは市民であります。
いずれにせよ、予算を縮小していかねばならない時代だからこそ、説明責任を果たしていく姿勢が今まで以上に行政には求められていると思います。これは、説明する側には気苦労の多い作業であります。関係する職員の皆さまにはご苦労いただくことも多いですが、どうぞよろしくお願いいたします。
本日の月いちメッセージは以上です。今月もお仕事頑張ってください。

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