組織の危機管理のあり方(平成19年3月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。3月1日、今月のメッセージをお送りします。
先月は組織の危機管理について深く考えさせられた一か月でした。すでに新聞記事になり、また、庁議でも報告してありますので皆さまご存知と思いますが、広域組合での一連の出来事に私自身、心身ともに費やした感があります。この経験を通じて、あらためて法令の遵守、情報の公開と説明責任、そしてトータルな課題として自治体の危機管理のあり方について、深く学ぶ機会を得ることができたと感じております。本日はそのことをお伝えしようと思います。
結論から申し上げますと、組織の危機管理において重要なポイントは、間違いが起きないよう、また、間違いが起きていないか不断のチェックを常に工夫しながら行う態勢づくり、そして、間違いが分かったら直ちに一番正しい方法で是正することのできる態勢づくり、この態勢という文字は体に制度の制を使う「体制」よりも、むしろ態度の態に姿勢の勢、常に臨機応変に状況に対応する身構えという意味での「態勢」を使ったほうが良いと思いますが、そういう態勢づくりに尽きるのではないかということです。
危機管理ということでは、まず、間違いを起こさないように細心の注意を怠らないことが第一で、しかし、人間ですからミスを犯してしまう、ですから不断のチェックが非常に大切でしょう。問題なのは、そういう注意をしてチェックをしていて、さあ実際間違い、過ちに気付いたときに、それを是正する一歩が踏み出せるか、ここが非常に大きなポイントであると感じます。すぐに是正できる軽微なミスなら良いのですが、気付いたときには非常に問題が大きくなっていたということがよくあります。そして、一度走り出したら中々止められないのが組織の動きというものです。また、人間関係などもある、そういう中で、ミスには気付いたけれど、その是正には大きな犠牲が伴うことにもなりかねない。これは私自身身をもって経験いたしました。
ミスをミスと気付いていながら放置してしまい、後で露見し、犠牲がはるかに大きなものとなる、という例は新聞を開けばいくらでも出てきます。連日のように自治体や企業の不祥事が後を絶ちませんが、中でも過ちに気付きながら放置していたこと、そういう事件が一番叩かれています。過ちに気付いたとき、直ちに一番正しい方法で是正していれば、被害は最小限で済んだのでしょう。しかし、それが出来ない例が世間には多いのです、なぜ出来ないのか、代償があまりに大きいと感じてしまうからでしょう。それを放置した方が後でもっと代償は大きくなるのですが、そこまで見えない、見えていても出来ない、意識的に目をそらしてしまうこともあるでしょう。
過ちが分かった以上、放置していてはいけないということを感じていても、そこから一歩踏み出して実際の措置を講ずるためには、やはりそれが出来る組織の態勢が出来ていなければなりません。私が先ほどこの態勢という文字については、ガッチリしたシステムとしての意味の体制、体に制度の制、という文字でなく、臨機応変に事に対応できる身構えとして態勢、態度の態に姿勢の勢という文字をあてるべきと申しましたが、まさにいくらシステムが出来ていてもそれがフレキシブルに働かねば何にもなりません。まず根本に据えるべきは、行政の仕事は住民全体への奉仕であって、法的な正当性に基づいた説明責任を果たさなければならないという意識を、リーダーそして組織が持つことであります。この点は私としても毎朝自分自身に言い聞かせており、今回の一連の出来事についても過ちが分かった時点で直ちに法的に一番正しい方法で是正措置を施し、法令遵守、説明責任の意識を持って事に当たったつもりです。そして、繰り返しますがこれはリーダーだけの課題でなく、その意識を組織として共有できているかどうかであろうと思います。だれもが法令の遵守、住民に対する説明責任を果たしていく、という意識を持って動けるように、恣意(しい)性を排除した仕組みを不断の検証により創り上げて行かねばならないのだと思います。最近、公益通報者保護ということが盛んに言われるようになりました。上司や権力者の恣意性から告発を行った人を守ることに主眼がおかれたものであります。
過ちが分かったらどうすべきか、ということについて述べてまいりましたが、それにしても過ちが分かった段階ではすでに問題は非常に大きくなってしまい、是正措置に多大の犠牲を伴うことが多い。やはり間違いをまずは起こさないような仕組み、態勢、そして常に間違いを小さなうちに見つけ出して是正する態勢が重要なのは言うまでもありません。ほんの些細(ささい)なミスでも気付かないで放置してしまわないよう、皆さま方もどうぞ身の回りをよく点検していただいて、小さなミスも見逃さずに是正措置を講じてください。大きなミスが見つかれば、直ちに上司に報告し、勝手に自分たちだけで考えないで、一番正しい方法、これは法令遵守ということです。そして事の経緯を隠蔽(いんぺい)せずに、なぜこのようなミスが起きたかを人に問われたときにキチンと説明できるようにしておく、説明責任ということですが、そういう態勢を個人個人また組織としてつくっていくことが肝心だと思います。私自身、実地でこれらのことを学ばせていただきましたので、今回あえて皆さま方に申し上げました。
今月もお仕事頑張ってください。

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