「女性型脳」が必要とされる時代(平成19年6月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。6月1日、今月の月いちメッセージをお送りします。
去る5月27日に滋賀県の嘉田由起子知事が本庄文化会館で講演されました。当日、私も冒頭の挨拶でステージから会場を見渡すことができたのですが、1,200席の会場は満席で、立ち見の方が鈴なりでした。後で聞くと、約1,700人の来場者があったとのことです。女性が多く、お年寄りの方から若い人までいらっしゃっていました。
私は嘉田さんの講演を聞きながら、時代が確実に変わってきたなあ、と感じました。これまでの日本社会は大量生産、大量消費、人間のあくなき活動が、自然の営みより優先される時代がずっと続いてきたし、また、今でも続いていると言えます。しかし、少なくとも嘉田さんは、明確にそのような時代に疑問符を投げかけ、多くの県民の共感を得て、知事に当選しました。これは高度成長期のような保守対革新というイデオロギー的対立とも全く異なる、政治の新しいダイナミズムを感じさせるものであります。その証拠に、今度の県議選でそれまで極少数であった知事支援派の議席が過半数になりました。嘉田ブームは一過性のものではなく、これまでの社会のあり方で、本当に人々は幸せになれるのか、という疑問を多くの人々が感じていることを、示しているのだと思います。
さて、いまや男性にも女性にも、「女性型の脳」が必要とされる時代が来た、と言われています。藤村正宏氏の書いた『なぜ彼女はこの店で買ってしまうのか』という本を最近読みました。この本の中で藤村氏は「マスの時代の終焉」と言っています。例えば、マスマーケティング、つまり千差万別の消費者ニーズを勝手に一くくりにして扱う手法をとり続けている企業は完全に時代遅れであり、藤村氏は例としてダイエーの失敗をあげています。また、マスコミについても、いまやインターネットの普及により、一方的な報道が決して真実ではないことも多くの国民が知り始めています。これもマスの時代の終焉(しゅうえん)といえるでしょう。このような、なんとか売ろう、なんとか買わせよう、また、一方的に情報を流し、プロパガンダで人々を従わせようとするやり方が優先されてきた社会では人間が幸福になれないとみんなが気付き始めている。藤村氏はこのような社会のこれまでの風潮を一言で「男性脳が支配してきた社会」であると定義づけます。今までの社会の特徴は、端的に言って「押し付け、奪い取り、支配する」やり方であり、もはやそれは行き詰まりを見せている、この危機を乗り越えるものが「女性型の脳」の発想であるというのです。奪い合うよりも分かち合う、支配するよりも共生する、この考えから言えば、人間の欲望の極大化を目指すのではなく、自然との共生を考え、環境に配慮するという先ほど紹介した嘉田知事の政策は、まさに男性型の脳ではなく、女性型の脳の発想から生まれたものであるといえるでしょう。単純に男の脳対女の脳という図式には反発を覚える方もいらっしゃるでしょうし、また、その定義づけもかなり断定的ですが、それはそれで一つのお話として許してください。
また、藤村氏はこれからのマーケティングには「恋愛力」が必要であると言っています。つまり、何が何でも買わせようとするより、まず相手に自分の会社や商品を好きになってもらおうとすること、そこに新しいマーケティングの世界が開けていると言っているのです。考えてみれば、情報にしてもそうです。如何(いか)に論理的に正しくとも、情報を一方的に流すだけのプロパガンダ的やり方に対し、今の人々は胡散(うさん)臭さを感じています。それよりも対話など、双方向の情報交換をして感覚的に納得してこそ始めて人は動くし、また、真の情報を得たと感じるのではないでしょうか。まさにこの「恋愛力」は、論理を好む男性型脳より、感性を大切にする女性型脳の動きそのものであり、マーケティングのみならず、これからの社会の動きを考える上で、非常に大切なキーワードではないかと私も思います。
ちなみに藤村氏は、これからのマーケティングは女性に愛されなければ成功しないと説き、そのための5つの法則を掲げています。ちょっと紹介しますと、「論理」で売るな!「直感」で売れ! 「攻撃」で売るな!「防御」で売れ! 「結果」で売るな!「過程」で売れ! 「明確」で売るな!「曖昧」で売れ! 「中心」で売るな!「周辺」で売れ!となっています。
私は、決してこの本のセールスマンではないのですが、これからの行政を考えたときにも、この女性型脳の発想は大切ではないかということを感じました。先日の嘉田知事のお話を聞いて、より一層その思いを強くしました。
昨日、部課長会の歓送迎会に出席したのですが、女性の部課長さんは3人です。これから本庄市役所もさらに女性の部課長をはじめとする管理職が必要とされてくるでしょう。女性型の脳の発想が求められている時代です。男性もそうですが、何より元々そういう発想を持っている女性が生き生きと活躍できる市役所になってほしいと思いました。
最後になりますが、6月1日から塙保己一先生遺徳顕彰会の会員募集が始まります。個人会員年会費1,000円ですので趣旨をご理解の上、多くの皆さまに会員になっていただきたくお願い申し上げます。
それでは以上で今月の月いちメッセージを終わらせていただきます。今月もお仕事頑張ってください。

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