塙保己一先生の遺徳顕彰会が発足(平成19年8月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。本日8月6日は広島原爆の日です。先ほど私も黙祷(もくとう)をささげて参りました。さて、今月は所用により月いちメッセージを本日お送りさせていただきます。また、今回から業務開始時間の前に行うことに致しましたのでご了解ください。
まず、先月の29日の参議院議員選挙の開票作業について、選挙管理委員会をはじめ、携わっていただいた皆さま、お疲れさまでした。特に今回は開票作業の迅速化を私からお願いし、作業方法も今までとは異なる中、頑張っていただき有難うございました。終わったあと何人かの方から感想を聞きましたが、いくつか課題があるようです。選挙管理委員会へのご意見を私からもお願いしたいと思います。これから知事選も行われますので、また皆さま方のご尽力を重ねてお願いいたします。
さて、先月26日には塙保己一先生の遺徳顕彰会が発足しました。生涯学習課をはじめ多くの皆さまに準備など頑張っていただき感謝いたします。
この遺徳顕彰会発足に際して、私なりに塙先生の遺徳顕彰の本質は何かを考えました。顕彰事業自体はさまざまだと思います。例えば本庄早稲田駅前に銅像を建てたいなどの意見もあり、これも郷土の偉人を分かりやすく内外にPRできる事業であろうと思います。いずれにせよ事業内容は多岐にわたって良いと思います。
ただ、私はその本質は何であるべきか、しっかりつかんでゆきたい。遺徳顕彰の本質、それはその人物の精神を後世に伝えてゆくことなのであろうと思います。では、塙保己一の精神とは何でしょうか。
弟子の中山信名という人が書いた『温故堂塙先生伝』という伝記に、次のようなことが書いてあります。大変信心深かった保己一先生は、お金もない自分は神仏の計らいで勾当(こうとう)という盲人の高い位につくことができ、この後おそらく検校(けんぎょう)の位にもつけることだろうと述べた後で、こう言っているのです。「しかれども、そは一身のはかりごとぞかし。あはれ世のため後の為にもならんことをなしてん」つまり位に就くことは一身のはかりごと、それよりも「世のため後の為に」なることをしたいのだと言っているのです。私は長谷川典明元神泉村教育長からこの伝記の文章を紹介され、「ああ、これだ」と感じました。この平易な言葉の中に、塙保己一先生の非常にスケールの大きな精神を感じたのであります。
先生の代表的業績である『群書類従』の編纂、これは当時の書物の百科叢書(ひゃっかそうしょ)であります。書物が貴重な時代、一部の寺社や武家や公家の館に眠っている古今の文書を、先生は借り受けて照合し編纂し、版木にして広く誰もが読めるようにし、古代からの日本の姿をありのままに後世に伝えようとしたのであります。世の中全体のための学問を確立し、後世のための学問を確立したこの業績。まさに「世のため後の為に」というこの言葉こそ、塙保己一という偉人の精神をそのまま表したものであるといえるでしょう。なお、『群書類従』に塙保己一本人の文章は一片も入っておらず、また、自分自身で莫大な借金をしてこの事業を行ったということ。私はこのような事実を知れば知るほど、塙保己一という人物の大きな志、スケールの大きさに感動してやまないのであります。
今や日本社会は、まさに一身のはかりごと、つまり「自分のために」こそが一番の価値であるということが当然視され、その分人間が矮小化してしまっております。こういう時代だからこそ、大きな志を成しとげた塙先生の業績と、その精神を広めることは大変意義があると思います。そして私たち自身が、たとえ少しでも「世のため後の為に」という気持ちを持ち、実践することこそが、とりもなおさず先生の遺徳を世に広め、顕彰することの一番の本質ではないか、私はそう確信しているところです。
今月の月いちメッセージは以上です。大変暑い日々が続きますがどうぞお体気をつけてお仕事頑張ってください。

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