「結い」と「土徳」のまちを訪れて(平成20年12月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。12月1日、今年もあと1か月です。月いちメッセージを送ります。
まず、先月行われた水洗化率向上に向けた取り組み、皆さまお疲れ様でした。ある議員の方から、二人一組で回っている姿を見て、「思わず応援の言葉をかけた」、「この取り組みは必ず市民から評価される」、とお褒めの言葉をいただきました。市長への手紙でも同じような声をいただいていますのでお伝えいたします。
また、先月28日にはインターハイの実行委員会解散総会が行われました。決算も努力の結果出費を大幅に抑えることができ、かつ大きな事故も無く、子どもたちを含め市民の大きな協力が得られた素晴らしい大会でしたと、監査役また高体連の方からお褒めの言葉をいただきました。関係者に心から感謝します。
さて、私は去る11月10日、富山県の「南砺(なんと)」という市に行ってきました。今日はそのお話をします。南砺市は富山県の南西にあり、8つの町村が4年前に合併してできた人口5万7千人、面積670平方キロの新しい市です。合併前の8つの町村の内、800人しかいない一番小さな「利賀(とが)」という村の出身で、合併後南砺市の市議会議員をしていた田中みきおという方が市長選に出ることになり、その応援に行ってきたのです。田中さんは現在46歳、かつて利賀村役場の職員として地元の青年団をまとめ、演劇やそば祭りなどさまざまなイベントで内外の多くの観光客を呼び込んできた実績があります。彼の仲間と、私の仲間との間に長い交流があり、そのご縁で、10月末に田中さんの応援団が私を訪ねて来られ、ぜひ南砺まで応援に来てくれないかと頼まれたのです。なにしろ一番小さな村からの立候補で、相手は現役の副市長。勝ち目は無いけれど、全国にも若手の市長がいるということを選挙民に知ってもらいたいのでぜひ、ということでした。最初はどうしようかと思いましたが、私は彼らが持参したパンフレットを読んで、この人物に大変興味が湧(わ)いたのです。
そのパンフレットに書いてあったことは、田中さんは利賀村の念仏道場の跡取りであり、代々「結(ゆい)」これは「結ぶ」と書くのですが、「結」と呼ばれる地域共同体のリ-ダ-を勤めてきたということ。この「結」によって、南砺の民衆は、500年にわたって平等で民主的な共同体を営み、美しい「土徳(どとく)」を創り上げ、この土徳とは土に道徳の徳と書くのですが、その「土徳」に今も育まれていること。このような、ご先祖から賜ったみんなの智恵と願いを真心で結び合わせる力をもって、南砺市を、8つの旧町村の良さを活かしながら一つの「結」と考え、衰えつつある民衆共同体の力を活性化し、結集したい、という内容でした。私にとって、この「結」あるいは「土徳」という言葉は、初めて知った言葉でした。
この「土の香り」のするパンフレットの言葉にひかれて、仲間といっしょに応援に行ってきました。10日は月曜日でしたが、特に公務も無かったので一日休みをいただき、前日の日曜日の真夜中に利賀村に着き、その夜は青年団のみなさんと熊鍋を囲みながら懇談しました。翌日朝からご本人といっしょに夜まで計6か所で応援演説をして、本庄へとんぼ返りしました。田中さんとは演説の合間にさまざまな話ができました。
私も始めて知った言葉でしたが、「結い」とは、合掌造りの家々を毎年村中で出て一軒一軒修繕する、そのつながりを言うそうです。さらに「土徳」という言葉、いわく翻訳しがたい言葉ですが、民芸学者の柳宗悦(やなぎむねよし)が、富山県のこの地域に生きる敬虔(けいけん)な人々の様子を表現するために生み出した言葉だそうです。確かに、向こうの方々とお昼をいっしょに食べたとき「いただきます」と言って皆が合掌する姿は、実にサマになっていました。さまざまな職種の青年団のみなさんですが、合掌した瞬間、静寂な間があったことが大変印象的でした。かの有名な棟方志功も、富山のこの地方に疎開してから、それまでの作風ががらりと変わって、あの偉大な棟方芸術が生まれた、と言われています。「土徳」の反対語は「拝金主義」と言えば、何となく分るでしょうか。田中さんは別れ際に、もし当選したら、今後、日本人の精神的な“よりどころ"になるようなまちづくりをするのが夢ですと語ってくれました。
大方の予想を覆して、田中候補は見事に当選を果たされました。私自身、今回の応援をきっかけに、個人レベルでの信頼関係ができました。新市長もこれからが大変でしょうが、結と土徳に根ざしたまちづくりに大いに期待したいですし、私自身も、人が人を育て、人が地域を育て、地域が人を育てるという、南砺の地域性をもっと知り、学んでゆくことは、本庄市の協働のまちづくりに必ず有益なヒントがあると思います。今後この縁をどう展開できるか、楽しみです。
以上で本日のメッセージを終了します。いよいよ今年もあと一月ですが、どうぞお体気をつけて、年末頑張ってください。

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