全体の幸福のための大切な公金(平成20年10月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。10月1日本年度も、もう折り返し地点に来ました。今月の月いちメッセージをお送りします。今日は、本市の財政状況について考えてみたいと思います。
本庄市は去る9月24日に、法律に基づき財政の健全化判断比率をホームページ上で公表しました。さて、その結果ですが気になる点のみ申し上げると、実質公債費比率が15.0パーセント、将来負担比率が112.7パーセントとなり、いずれも早期健全化を計らなければならない数値にはまだ遠いものの県内他市との比較では、実質公債費比率は高いほうから4番目、将来負担比率が高いほうから8番目となりました。いわば、黄色信号に近い青信号といえます。
このような指標は、これまでも「起債制限比率」などがありましたが、下水道会計などは計算の対象外でした。いろいろ理由はあるでしょうが、そもそも全体像を見ないで財政が健全かどうかを計るのはおかしい、私自身そう感じておりました。この度の制度改正で自治体財政の全体をベースに数値化を行うシステムがスタートしたことは、当然であると思います。
同時に私は、このような指標はその背景まで見ないとダメだと感じております。特に実質公債費比率について申し上げれば、この数値はその局面における自治体の借入金の償還、いわば借金返済の度合いを示すものであり、自治体の陰の努力までが分かる数字ではありません。例えば、個人でも企業でもローンを返すときに、体力のあるうちにたくさん返すなど努力している場合もあります。自治体も同様です。本庄市は、昨年5億円も支出して土地開発公社から用地の買戻しを行いました。いわば、体力のあるうちに改革を進めたのです。買戻しは当然実質公債費比率に反映され、数値は上がります。残念ながら数値の上昇だけ見れば、市にとってはマイナスイメージです。悔しいですが、やるべきことはやらなければなりません。
いずれにしても、例えば別の指標である将来負担比率とセットで考え、あるいはまた指標の数値だけでなく実際の市全体のいわゆる借金の総額や今後の見通しなどを全体的に見ていくこと、このような俯瞰的(ふかんてき)な視点が、これからの自治体財政を考えるには必要不可欠ではないかと思うのであります。ある局面のみ見て、数値が低いから安心だとか高いから不安だとか、その背景を見ずに判断するのは危険だと考えます。
現在、平成19年度の決算認定を議会に付議しております。決算規模は一般会計、特別会計、水道会計、開発公社合わせて490億8,477万1,000円です。この決算の数字で本庄市のいわゆる借金の全体像を申し上げますと、平成19年度借入金残高については総額で384億1,032万3,000円。ちなみに平成18年度では、404億4,775万7,000円ですからマイナス20億3,743万4,000円となりました。そして一般会計、特別会計、水道会計、開発公社の新たな借り入れ合計額は57億1,770万円、償還つまり返済の総額は89億4,354万5,000円。このうち元金は77億5,513万4,000円。残りは利子で11億8,841万1,000円もありました。
概算の数字で荒っぽく流れをまとめれば、平成18年度本庄市は総額404億円の借金残高を抱え、去年は新たに57億円借りて89億円返した、ここだけ見れば借りた金額と返した金額の差はマイナス32億円、しかし、返したうちの利子分12億円は借金残高の圧縮にカウントされない、よって平成19年度の借金残高は対平成18年度比マイナス20億円の総額384億円となったということです。このような数字は、ぜひセットで覚えていただきたいと思います。とはいえ、言葉は消えてしまいます。後でこの原稿を市のホームページに掲載しますからぜひご覧ください。それにしても、改めて償還額の利子の多さに驚かされます。
私は、これからは行政運営ではなく行政経営だと常々申し上げておりますが、市職員の皆さまには改めて市の財布は一つであると認識し、お金の流れについてその全体像を押さえて欲しいのです。地方交付税は減り、扶助費は青天井、モノの建設よりその維持管理にばく大な費用がかかり、しかも学校や広域消防の施設など建て替えねばならない施設もある、また将来への投資も必要です。市財政の全体の出し入れの中に、各課の事業の予算配分も行われ、また我々の人件費も含まれるのです。すべては関連しているのであります。
このような時代、市民の皆さまからお預かりしている大切な公金を限られた予算の中で、借入金の償還を行いつつ、どのように効果的、効率的に全体の幸福のために活(い)かしていくのか、市役所の自律的な力量がますます試されていると言えるでしょう。
以前に私は、鳥の目・虫の目・魚の目というお話をしましたが、財政全体を俯瞰的な鳥の目で見つつ、それぞれ担当する事業については虫の目を持って細かい点にも気を配り、さらにこれからの世の流れを読む魚の目を持って、事業の工夫改良を進めていただきたい、ということを改めて皆さま方にお願いし、本日の月いちメッセージを終わります。今月もお仕事頑張ってください。

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