待ったなしの「環境問題」(平成20年7月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。7月1日の月いちメッセージをお送りします。うっとうしい日々ですが、梅雨は草木にとってはうれしい季節です。先日、東小平の「あじさいの小路20周年記念式典」に参加しました。当日の東小平は、雨で霞(かすみ)が山々から空に向かって立ち昇り、まるで水墨画のような光景でした。式典後、榎峠への林道に車を走らせますと、木立の中は時折霧が立ち込め、これまた幽玄な世界で、フィトンチッドの独特の香りが大変に強く、まるで森の精気に圧倒されるようでした。古代から日本人は山や森、そして大木に「神々」の存在を感じ、それらを畏(おそ)れ敬ってきましたが、この時期の山林に入るとなるほどそのことが実感できます。
さて、林道を走る車の中で、私は安田喜憲という考古学者のお話を思い出しておりました。この方は京都の国際日本文化研究センターの教授で、環境考古学という学問を我が国で初めて提唱された方です。安田教授によれば、日本は縄文時代からの森の文明と弥生時代からの稲作漁撈(ぎょろう)社会の文明の二つを受け継ぎ、森と水の循環を長い歴史の中で維持し、江戸のような大都会においても徹底した資源循環が行われるなど、究極のリサイクル社会を創り上げました。一方、世界の四大文明と言われるものは、いわゆる畑作牧畜文明で、これは森と水の循環を徹底的に破壊して成り立つ文明です。近代文明は、まさにこの畑作牧畜文明の延長にあるもので、日本も明治維新以来、欧米から受け入れその道を歩んで来ました。が、現在我々が直面している環境問題、都市の問題、人間の心身の健康の問題などをみると、もはやその歩みは軌道修正するべきでしょう。21世紀の地球環境問題で一番大きいのは温暖化と、それに伴う水不足であり、あと20年後には40億人が水危機に直面すると言われます。今こそ日本人は、これまで伝統的に持ってきた森や稲作漁撈社会の持つ文明の大きな価値を再評価し、現代のライフスタイルや文明の潮流を作り直すべきであるし、まさにそれが全世界から待望されている、というのが安田教授の主張です。心ある日本人に責任感と取り組む意思を湧かせてくれる主張だと思います。
今までの文明やライフスタイルを一朝一夕に作り直すことは難しいですが、もはや環境問題は待ったなしです。我が本庄市でも環境マネジメントシステムを策定しました。思うに、環境問題への取り組みは、問題を問題として放置せず、課題として真剣に考え、しかも皆が参加してやりがいのある形で進めるべきであります。
洞爺湖サミットが始まります。埼玉など八都県市全体で、7月7日の午後8時から10分間の一斉消灯を行うライトダウンイベントも行われます。皆さまもご自宅において、ご家族と一緒に参加されてはいかがでしょうか。また本庄祇園まつりでは、恒例の「ひろえば街が好きになる運動」も行われます。今後とも市民の意識を高め、取り組む職員も元気になる、そんな環境負荷をかけずに街を心地よくできる取り組みが、皆さまのアイデアで他にもたくさん行われるようになることを期待しております。
最後に、7月28日から埼玉県でインターハイが開催されます。本庄市でも、女子バスケットボール競技が開催され、全国各地から選手や役員・応援団などたくさんの人が訪れることが予想されます。職員の皆さまには、あたたかい歓迎とご協力をお願いいたします。
今月の月いちメッセージは以上です。暑い夏、体を大切にして心は熱く、まちを涼しく美しく市民の為に頑張りましょう。

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