合併3年目の年を迎えて(平成20年1月分)

更新日:2020年10月01日

新年あけましておめでとうございます。昨年は、合併2年目の1年間を皆さま方の一致協力によって無事乗り越えることができ、市政も着実に進展いたしました。それぞれの職域でご尽力いただき、心から感謝を申し上げます。
それでは年頭にあたり訓辞ならびに所感を申し上げます。本年は今後10年間の本庄市のまちづくりの基礎となる「総合振興計画」の最初の年度が始まります。基本構想に掲げた本庄市の将来像は『あなたが活かす、みんなで育む、安全と安心のまち 本庄 ~世のため後のため~』となっております。この標語が示す、これからの時代のキーワードは、「協働」であります。地方自治の現場における協働とは、あらゆる市民(この場合の市民とは企業や行政も含まれます)が、お互いに手をとりあって自らにまちづくりに寄与していくことです。人任せでなく、まさに「あなた」と「みんな」で創っていくことであります。
私は、今後本庄市の標語・スローガンとして市民の皆さまに熱く伝えていく所存です。また、せっかく多くの方々の手によってつくられたこの標語を、市役所でもそれぞれの組織で活かしていければと願っております。
さて、今年は合併後3年目の年です。組織が新体制へ移行するのは3年ぐらいの時間がかかるといわれ、その意味では本庄市も平成20年は新体制の土台をつくる仕上げの年であり、さらに、同時並行で新しい制度や事業も始まる、そんな大きな変革期の1年になるでしょう。例えば、水道事業などは、まさに21年度当初の統一に向けての大事な1年となります。その他にも、後期高齢者医療制度や特定健診がスタート、ISO自己宣言、17号バイパスの都市計画決定、本庄早稲田駅周辺土地区画整理に伴う暫定駐車場の確保と整備、児玉地域においては防災行政無線が供用開始、また、循環バスも大幅に見直されます。教育委員会においては、昨年市民の皆さま方から頂戴(ちょうだい)した1,100万円を超える教育振興基金の活用、生涯学習計画の策定。また、行政組織面では、今年多くの有為の方々が退職され、一方で本年度中に課長職試験が行われます。そして、昨年末から始まった財政健全化計画、21年度までの3か年で、地方債の繰り上げ償還や借り換えを行い、その条件として行財政のさまざまな改革への努力も求められております。皆さまご存じのとおり、財政は依然として非常に厳しい状況にあります。このままの状態が続けば、財政調整基金を一定金額キープすることすら年々困難になってくるというシミュレーションが出ております。これからも市役所全体でより一層危機意識を共有し、一丸となって「しのいで」行かなければならず、そのために今後ともさまざまな制度や手当てなどの見直しがどうしても必要であることを、ぜひ皆さまにはご理解いただきたくお願いいたします。本庄市を絶対に夕張のようにしてはなりませんし、逆に市民との協働をうたう以上、より信頼され、公正な、そして実行力のある、頼もしい先進的な行政体を目指していくべきであります。皆さまにはそれができると私は確信しております。
ぜひ今年1年、総合振興計画がスタートする中で、日々刻々の課題にしっかり向き合いつつ、大きなスパンで見たとき、新しい本庄市の基礎固めの大事な年であるという思いを持って仕事にあたっていただきたくお願いいたします。
次に、現在の時代状況に対する市長の所感を申し上げます。平成も20年、日本は人口減少や少子化・高齢化、国際的経済力の低下などにより、近代国家として歩んで以降初めて「衰退」という事態に直面し、人々の間には不安感も広がっております。しかし、実は現在の我が国の最も深刻な問題は、社会の衰退そのものよりも、むしろ昭和時代の成功体験が呪縛(じゅばく)となって、人々が衰退しつつある日本社会の現実から目を背けたがっているということではないかと私は感じております。衰退を衰退として直視せずに目を背けていることで、こんなはずではないといったいたずらな不安感や、夢よもう一度といった安易な楽観主義が蔓延(まんえん)しており、それが例えば、昨年1年間を表す言葉「偽」であったように、万事なげやりな社会のゆるみとなって現れているのではないかと思うのであります。
目を世界に転じれば、今や地球的規模での温暖化はより深刻化しており、近代以来の文明社会そのもののあり方が問われる時代が来ております。実は日本社会は、成長という観点から見れば衰退しつつありますが、より地球環境に貢献できる社会モデルを築き、世界に示すことが出来る位置にいるのであり、安定した社会のあり方を創る好機が到来していると考えるべきではないでしょうか。そして、このような時代だからこそ、状況を真正面から受け止めて、積極的に当面の困難に立ち向かい、それを切り抜けていくプロセス自体を楽しむような「タフ」な精神を、一人ひとりが身につけることが求められていると思います。同時に今こそ、本当の幸せは必要以上の物質的豊かさを追い求めることではなく、足るを知り、他人の恩の大きく尊いことを知り、相助け合う感謝の暮らしにこそあることを思い起こすべきと考えます。今までの成長一本槍のパラダイムを転換し、例えば経済の発展も、それを地球環境も含めて人々の幸福をはかるための営みへと内容を変えていくことが必要であります。先般、ヒマラヤの小国ブータン王国が、GNPならぬGNH(=Gross National Happiness)「国民総幸福量」なる指標を出しましたが、大変示唆に富む話題であると思います。
今回の本庄市の将来像には、塙保己一先生が遺した「世のため、後のため」という言葉が入りました。時間的、空間的な、網の目のようなつながりの中で生かされている自分を、感謝の心で公の為に活かしていこうという想いが込められております。小さくは一つ一つの課題から、大きくは地球環境の保全と回復への貢献まで、私たちが未来の子どもたちのためにやるべきことは山ほどあります。衰退の現状から逃げないで、その後の持続可能な活力も、希望も、品格もあるしっかりした社会を創っていきたい、そう思います。
以上、年頭にあたり訓辞ならびに所感を申し上げました。なお、今年は職員の皆さまとのコミュニケーションも今まで以上に密にしていきたく考えております。どうぞこの年頭メッセージへの感想や意見を、自由に庁内LANの私へのメールアドレスで送っていただければ幸いです。私もまだまだ駆け出し市長であります。意気だけは盛んですが、足りないところだらけであります。今年も市民に貢献し、日本に、世界に貢献できる、先進自治体「本庄市」を目指して、自分自身粉骨砕身、先憂後楽の精神で頑張ってまいりますので、職員の皆さま方にはどうぞ温かく支えていただき、またご指導を賜りますようお願い申し上げます。皆さまのご健康とご多幸をご祈念し、以上で年頭の挨拶を終わります。本年もよろしくお願いいたします。

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