「防災の日」(平成21年9月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。9月1日、今月の月いちメッセージをお送りします。まずは、八都県市合同防災訓練、また同日の選挙事務に携わった方々、お疲れさまでした。
さて、本日は防災の日に関連したお話をします。先般8月6日、私は埼玉県危機管理防災部の主催による「トップフォーラムin埼玉」に参加してまいりました。これは阪神・淡路大震災で得られた経験と教訓をベースにした実践的な災害対策専門研修であり、特に市町村長を対象に、大災害時に自治体トップとしてどのような対応が求められるのか、またどのように行動をすべきかを学ぶ研修でした。
特に、自治体の災害対応における問題点とその克服について、示唆に富む内容であったと感じております。
自治体の災害対応でしばしば見られる光景は、会議が単に状況の報告のみにとどまっているということだそうです。簡単な例をあげます。災害対策本部で、例えば、「本日の食糧は5000人分用意してあります」という報告があった場合、「そうですか」で終わらせてしまうのではなく、「では、避難所に何人いるのか、その量で足りるのか」という問いが発せられなければ、その情報は生きてこないということです。
「今、何が問題なのか、これからどのような問題が生じるのかという、問題の把握と将来予測についての共通認識を持つためにも、会議を報告の場に終わらせてはならない」、これは確かにそう言えると私も納得しました。各担当者が単に「頑張ります、あるいは頑張っています」という報告だけではだめで、お互いの情報を突き合わせて、「それで本当に大丈夫なのか」という問いが常に発せられ、物事を突き詰めることが、危機管理の会議では重要だということを学ばせていただきました。
また、行政からの情報提供が、知らず知らずのうちに住民を誤った方向に導いてしまう場合があるという指摘も受けました。例えば、次のようなアナウンスです。「避難勧告が出たら、指定された避難場所に逃げてください」。これは一見正しい情報提供に聞こえます。しかし、「避難勧告が出たら、指定された避難場所に逃げて」という言い方は、その裏側の意味として「避難勧告が出るまでは、逃げなくても大丈夫」、あるいは「避難勧告が出たのに逃げなかったのは自己責任ですよ」という、本来の意図とは異なるメッセージを暗に伝えてしまうことになりかねません。
ではどうすればよいか。これから避難勧告が発令されるかも知れないことを想定している場合は、何になったらこうする式のメッセージではなく「皆さま、避難の準備を始めましょう。異変に気づいたらお知らせください。冷静に行動しましょう」と、心の準備を促す能動的なメッセージの出し方のほうが、いざ勧告が出た際にすばやく行動でき、犠牲者を出さないという一番の目標を達成するうえで有効であるということも教えられました。
さらに、被災者の目線で災害対応の目標を掲げることが重要であるということも教えられました。とかく行政は、「被災者の方々の安全・安心のために全力で頑張ります」とか「避難所や水・食糧の確保に全力で取り組みます」というメッセージを出しがちですが、そうではなく、例えば「24時間以内に、市民全員が安全な避難場所と水・食糧を確保できるようにします」という、「いつまでに」「だれを・どこを」「どのような状態に改善するのか」について、具体的な表現で目標設定するのが重要であるということです。
このような明確な目標を掲げることで、「被災者には今後の見通しを示すことでき、行政への信頼が向上する」、そして「組織の動きが活性化し、目標の達成手段が現場に委ねられ、臨機応変な対応が可能になる」、さらには「関係機関との連携が進み、行政の災害対応が分かりやすくなることで必要な応援も得やすくなる」などの大きなメリットがあるということを教えられました。
もちろん、私が学んだことは実体験ではなく、あくまで実践「的」訓練です。訓練は、所詮は訓練です。しかし、本庄市の責任者たる市長として、これは特に受けておくべき訓練であったと感じているところです。
さて、今年の夏は各地で集中豪雨による大きな被害が発生し、また地震も頻発するなど、日本が災害列島であることを改めて認識させられております。
また皆さまご存知の通り、新型インフルエンザが各地で流行しております。この対策については、本庄市でも健康福祉部を中心に対策会議を開催しており、今後予想される事態への対応について協議を重ねております。いずれにしても国・県との連携のもと、住民への正しい情報提供に努めることをはじめ、市行政として状況に的確に対応して参りましょう。
今後とも職員の皆さまには、危機管理についてそれぞれの部署で研さんを積んでいただきますようよろしくお願い申し上げ、防災の日の月いちメッセージを終わらせていただきます。

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