組織として考え、動こう(平成21年4月分)

更新日:2020年10月01日

市長訓示

おはようございます。新年度のスタートにあたり、市長訓示を行います。
市では本年度、総合振興計画の将来像「あなたが活かす、みんなで育む、安全と安心のまち 本庄 ~世のため、後のため~」の具現化に向け5つのキーワードを掲げました。

  • 一つ目「子育て・教育環境の充実したまちづくり」
  • 二つ目「市民との協働を推進するまちづくり」
  • 三つ目「安全安心のまちづくり」
  • 四つ目「活力を高めるまちづくり」
  • 五つ目「全国に知られるまちづくり」

この5つのキーワードに留意し、一丸となって市政の進展に努めて参りましょう。
さて、私は今年の年頭の訓示において「自ら」という言葉を掲げました。「地域社会そして行政を取り巻く環境がさまざまな面でかつてないほど厳しさを増している今、我々は様課題解決に向けて、主体的に自分から考え行動していかねばならない」という思いからであります。
不況の嵐が吹き荒れる中、本庄市内でも事態は深刻になりつつあります。こういう時代にあって、やはり行政の果たすべき役割は大変重要になってきている、そのことを改めて認識しなければなりません。
そして、目の前に立ちはだかる課題への対応もさることながら中長期的に見ても、いまや地方行政は、その存在意義自体が問われる時代になっている、このことも改めて自覚しましょう。少子化・高齢化が進み、生産年齢人口が少なくなる中、いかにして地域が持続可能なまちづくりを進めていくか、その自治体の総合力が問われる時代になりました。漫然と前例踏襲主義でいけば、その自治体は時代に取り残され、やがては住民から見捨てられる、そういう時代が確実に来ております。
我々は、まず自ら本庄市の将来を考え、そして自ら課題の把握に努め、そして自ら行動していきましょう。そして一人ひとりはもちろん、各担当自ら、各課自ら、各部局自ら、課題の解決に向け、組織として行動してまいりましょう。
さて先日私は、本庄市が積み重ねてきたこれまでの事業のうち、高い評価を受けている一つの事例についてお話を聴くことが出来ました。
皆さまは「特別支援教育グランドモデル地域事業」をご存じでしょうか。これは、昨年度から本庄市が県を通じて文科省の指定を受け進めている、いわゆる発達障害児や問題行動を起こしてしまう子どもへの対応事業です。内容としては、学校と保育園や幼稚園、そして行政が情報の共有を行い、専門家も交えて子どもたちのケアを行い、問題行動のある子どもたちの症状を少しでも緩和し、社会に適応できるようにしていく政策推進のモデル事業です。埼玉県からは、本庄市と戸田市がモデル地域として選定されました。
なぜ、本庄市がモデル地域に選定されたのか。この事業にアドバイザーとしてご尽力いただいている立教大学の大石先生が直接私にお話してくださったのですが、「本庄市が県から選定されたのは、かなり以前から子どもの発達段階に応じたさまざまな親子のために育児教室を開催しており、それによって発達障害のある子どもの早期発見とそのケアを市独自で積み重ねてきたこと、これが高く評価されたからである」ということでした。先生によると、同規模の自治体と比べて、その内容の充実度はかなり高いそうです。「表に現れないけれど、本庄市の場合は、この政策により児童虐待とか学校における傷害事件が未然に防げている例が確実にあるはずです。」このお話に私も本当にうれしくなりました。
その上で私が、「今後この事業をさらに推進するには、どういうところを改善していったら良いでしょうか」とお聞きしたところ、先生はこう話されました。「改善すべき点としては、事業の更なる明文化と情報の共有化です。この事業の積み上げてきた内容は、残念ながら充分な書類として残っていないため、忘れ去られてしまう貴重なデータやサンプルもあったはずです。そこが明文化されてくると組織としての情報の共有化がなされ、事業はもっと進化すると思います。」そのうえで先生はこう指摘されました。「自治体の事業の中には、せっかく良い成果を挙げていても、組織全体でそのことが自覚されていないものも多いのです。それは、事業を進める中で得られたさまざまなデータなどの情報はもとより、その事業の意義、何のためにやるのかということも含めて、組織として情報や問題意識の共有化がなかなか図られていないからです。結果、他の部署との連携がうまくいかない、あるいはもっと事業が進化出来たはずなのに出来なかった、あるいは人が変わるとうまく引き継がれなかったり、自分たちの成果として積極的なPRができないなど、大変もったいないことが起きてしまう。ぜひ良い事業を推進するには、組織として問題意識や情報の共有化を進めてください。」これもうなずける指摘でした。
大石先生のお話から、私は貴重な示唆をいただいたと感じました。良い事業を推進するためには、職員の努力つまり市役所の努力の積み重ねが後世に財産として残っていくよう、個人が頑張るのはもちろんですが、組織がそれをフォローし、組織として動いていくことが必要であるということです。
行政の説明責任のありかたが今まで以上に問われる現在、市政の最前線に働く人間が、組織が、自らどう考え、行動するのか、多くの市民は見ています。日々変わっていくことに躊躇(ちゅうちょ)せず、昨日より今日、今日より明日、より良き方向を目指して、自ら変わっていくことを恐れず、市民の満足度と職員のみなさんの仕事への達成感が、共に向上するようなそんな市役所を創(つく)ってまいりましょう。
以上で私の訓示といたします。本年度も頑張ってください。

注釈:今月の「市長の月いちメッセージ」は平成21年度当初にあたり行われた「市長訓示」となります。

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