「正義を貫く気概なくして国や組織は成り立たず」(平成22年10月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。10月になりました。月いちメッセージをお送りします。さてみなさんもご存じの通り、尖閣諸島付近で我が国の巡視船に衝突し逮捕された中国漁船の船長が、9月24日に処分保留のまま釈放されました。この事件は私たちに厳しい教訓を示していると思います。今日はこのことについてお話したいと思います。
みなさんは船長の釈放にどういう感想を持たれたでしょうか。マスコミ等で報道されている裏側までは私には分かりませんが、しかしアジアの中でも人権と民主主義が尊重された法治国家である我が国が、人権や民主主義が尊重されていない軍事経済大国の圧力に屈したという印象を内外に与えてしまったことに、私は心の底から悔しさを感じています。
今回の釈放は那覇地検の判断だと報道されました。しかし地検が釈放の理由に「日中関係を考慮した」という言葉を使ったことは驚きでした。これでは政治の圧力がかかったと疑われても仕方ありません。いずれにしても不可解な措置です。
事の真相がどうであれ、日本が中国の強硬姿勢に耐え切れず釈放してしまった、しかもそれを政府の判断とせずに検察の判断であるかのように仕向けた、そのように見えてしまいます。現場で命を張って任務に当たり漁船を拿捕(だほ)した海上保安庁のメンバーも憤りを感じているでしょう。
一連の事件では、中国側が終始一貫異常なまでのナショナリズムをむき出しにして強圧的な態度に出ていました。だからこそ我が国も終始一貫冷静に、しかし毅然(きぜん)と法治国家としての措置を粛々と行うことで、かえって彼の国と我が国との差を世界に知らしめ、いったいどちらが国際社会に貢献し人類の幸福をより増進させる国であるか、世界を味方につけることも出来たはずです。いずれにしても、我が国においては対中国戦略の根本的な見直しが必要でしょう。
さて、客観的にどう考えても相手の行為が不当であるのに、自分の正義を曲げて相手に屈してしまう、このような行為は組織にとって計り知れない悪影響を及ぼします。政治行政の現場では、国ばかりでなく、市役所においても、時として理不尽で不当な場面に遭遇することがあります。例えばいわゆるクレーマーがささいな事を針小棒大にあげつらい、不当な要求を突き付けてくることなどです。こういう人たちには毅然とした態度で臨まねばなりません。
恐ろしいことに、正義を貫くために戦う気概を持っていない人や組織は、そういった理不尽なクレーマーから執拗(しつよう)な攻撃を受けると、腰砕けになってしまうことが往々にしてあります。自分の要求が一つ通れば、ますますエスカレートするクレーマーがいます。戦う気概を持っていない人間や組織は、一度相手に屈してしまうと、自分のとった行動を正当化しようと、自分で自分に言い訳をしているうちに、いつしか度重なる不当要求に次々に屈してしまう、これは非常に危険なことです。国や地方自治体がこうなってしまうと、国民や市民を守る、また守ってくれる存在として信頼されるという、ガバナンスの一番の根幹、魂を喪失することとなりかねません。
組織として正義を貫く気概が在るか無いかは、判断を求められる立場の人間、つまりは大小のリーダーと、組織全体のフォローにかかっていると思います。どんな国家またどんな組織といえども、この正義を貫く気概なくしては成り立たない、と考えます。
今回の中国漁船船長の釈放は国民として実に悔しい出来事ですが、二度とこのような事が起こらぬよう、我が国は今後も不当な圧力に屈せず、毅然としてあらゆる手段を講じ、日本の姿勢は世界が納得できる道義に基づいていると内外ともに評価されるよう、政府だけでなく我々国民も出来る限りの努力をしなければならないと考えます。
市役所も、日々の業務に当たって道義を重んじ、毅然とした対応をとれるか否かは、上司、理事者、さらにはみなさん一人一人の意識にかかっています。不当な要求には屈しない姿勢、義を貫く気概を、私自身も市長として肝に銘じてまいりますので、どうぞ職員のみなさんも、ともに心して日々の仕事に取り組んでいただきたくお願いいたします。
最後になりますが、今月はスポレクフェスタ、そして本庄早稲田の杜まちびらき記念イベント等で、動員その他多くの職員のみなさんにお手伝いいただきますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

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