「為すべきことを為す」(平成22年5月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。5月7日、連休明けの月いちメッセージをお送りします。
最近、新聞やテレビなどを見るにつけ、日本社会の閉塞感(へいそくかん)が益々強くなっていると感じるのは私だけではないと思います。一番の責任は、問題を放置してきた政治にありますが、簡単に誰かを悪者にして事態が変わるわけではありません。このような時にこそ大切なのは何であるか、私たちは思慮深くあるべきと思います。
「脚下照顧」(きゃっかしょうこ)という言葉があります。足元を照らし顧みる、つまりキチンと履物をそろえなさいという意味です。また、更に深い意味は、他人を責めたりする前にまず自分自身の立場を考えて、為すべきことを為せということです。こういう時代だからこそ、自分の足元を見つめ、自分たちの為すべきことに、勇気を持ってチャレンジ、挑戦していくことが必要であると思います。我々の足元を見つめれば、本庄市には活用すべき資源があり、同時にまた、厳しい懸案事項も横たわっています。持てる資源を最大限活かし、また現実に起きている問題から目を背けずに、勇気をもって次の世代のため、為すべきことにしっかりチャレンジしてまいりましょう。
昨日私は、早稲田大学の横山隆一教授と共に、文部科学省科学技術振興調査費の選考審査のためのヒアリングに行ってきました。横山隆一教授は、電力などのエネルギーの効率的な運用や制御の研究が専門で、現在、太陽光や風力、バイオマス発電から得た自然エネルギーを使った自立型の電力ネットワークを構築する研究を続けています。
「拡張型スマートグリッド社会インフラの構築」と題したこの研究では、まず早稲田大学の本庄キャンパス内にある大学が、これまで蓄積してきたさまざまな研究装置、例えば、バイオマス発電や水素エネルギー、燃料電池やNAS蓄電池(注1)などを活用し、自然エネルギーを効率的に活用する一つの電力ネットワークを作り、実証的な研究を行います。大学キャンパスでの自然エネルギーの効率的な活用、省エネルギーの効果が実証できれば、段階的にキャンパスから外の本庄 早稲田駅周辺地域、たとえば立地が予定されている企業の本社や商業施設、また今後開発される住宅地等にも電力ネットワークを広げていく予定だそうです。そして環境に配慮したグリーンエネルギー(注2)の効率的運用が低コストで実現できることをこの本庄地域で実証し、新たな電力ネットワークの先導的なモデルを作りあげ、全国へ普及していくことを目的としています。
本庄市と早稲田大学が連携協定を結んでから5年目になりました。ここ1~2年、「環境省のモデル調査事業である電動バスの研究」を始め、大学の研究活動もより活発化してきています。こういった新しい時代の扉を開く大きな研究が、本庄キャンパスから始まることは非常に喜ばしいことであると感じ、今回大学が申請している文科省科学技術振興調査費の選考審査のためのヒアリングに地元の市長として、この研究に賛同している旨を審査員に伝えるため参加いたしました。
これまで、早稲田大学との関係においては、多くの市職員にもさまざまなご苦労やご努力がありました。そのような積み重ねの上に、現在、このような形での未来志向の連携が始まっております。今回の横山教授のチャレンジは、いわばこれまでの長い期間大学が、本庄キャンパスの中で蓄積してきた研究と、市や関係機関との連携の上に花開こうとしている事業の一つであり、まさに積み上げてきた足元の資源を最大限に活かして、為すべきことにチャレンジしていく事業であると思います。
時代は非常に厳しいですが、本庄市は本庄市として、私たちは私たちとして、足元を見据えて為すべきことをしっかり為していくところに、時代の閉塞感を打ち破っていくヒントがあると私は信じております。
4月中は新旧の引継ぎ等の準備期間であったかと思いますが、いよいよ連休も終わりましたので、懸案事項の解決と、事業の充実のため頑張ってまいりましょう。みなさんにはぜひ、自分がこの部署に配属されているのは、自分ならではのやるべき仕事を為すためだと考えていただきたいのです。為すべきことは華々しいことだけではありません。短期的に見れば批判を浴びるかもしれないけれど、長期的に見れば、あるいは市民全体から見ればやはり為すべきであるという地道な課題もあります。こういったことを今年中にしっかりと為してまいりましょう。

  • 注1) NAS電池とは、蓄電池の一種です。コンパクトで自己放電もなく、自動車で使われている鉛蓄電池の約3倍の蓄電能力があります。
  • 注2) グリーンエネルギーとは、環境に負荷のかからないエネルギーのことを言います。太陽エネルギー、地熱、風力、水力などの自然エネルギー及び水素エネルギーなどを指します。

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