吉田市長2期目就任訓示(平成22年2月5日)

更新日:2020年10月01日

就任訓示を述べている吉田市長の写真

就任あいさつ

 おはようございます。本日、ロビーにおきまして、大勢の市民・職員の皆さんのお出迎えをいただきました。合併後から昨日までの1期4年間、多くの方々に支えられて仕事ができたことは、私にとって大変貴重な経験でした。新本庄市の建設のために皆さんといっしょに汗をかき、奮闘努力できたことを誇りに思っております。いろいろと多事多難でありましたが、合併後の本庄市の土台づくりに1期4年間つくせたと感じておるところです。なにより今般の市長選挙におきまして、大変多くの方々のご支援をいただけたということは、これはとりもなおさず、皆さんと共に新本庄市のまちづくりに励んだ結果が評価されたものと、心から感謝を申し上げる次第です。そして、選挙に批判票はどうしても出ます。この批判票もしっかり謙虚に受け止めて、今後のまちづくりにどう生かしていくか自分自身で考えねばなりません。皆さんにもいっしょに考えていただければと思っています。

市民の皆さんに対する公約

 皆さんのお手元に2つ資料がございます。ブルーのほうの資料は、選挙中に法定ビラとして市民の皆さんにお配りをした政策宣言・公約です。こちらに書いてあることは、主にこれまで進めてきた本庄市総合振興計画をさらに充実していくために、私なりに本庄市のまちづくりを分かりやすく、それぞれ「暮らす」・「育む」・「稼ぐ」という、3つのカテゴリーに分けたものです。まちづくりも人の生活も基本は同じということで、市民の皆さんにどうやったら分かりやすく本庄市の政策をご理解いただけるか、それを考えて作成した公約の資料です。
 そして、もう1つ白いA4判の1枚紙がございますが、これは先般1月17日に文化会館で行われましたローカルマニフェスト型公開討論会、青年会議所が主催しました公開討論会の資料として、候補者4人があらかじめ主催者から示されたカテゴリーにそって自分の公約をまとめ、提出したものです。内容はブルーの資料に比べますと全般的には網羅しておりませんが、いくつか時系列でいつまでにこういうことをやる、ということを明示したものです。 この2つのペーパーが、私の市民に対する公約としてお示しさせていただいたものですので、ぜひ皆さんにはそれぞれ担当される箇所につきまして、よくよく熟読していただき、これからの政策の充実に役立てていただき、また私の公約の実現に向けて、これは市民とのお約束でございますので、ご尽力をあらためてお願い申し上げる次第です。

本庄市を取り巻く現状

 さて、今日はこの資料の背景であるところの、私が今回の市長選挙に臨むにあたって何をどう考えてきたか、につきましてお話しをさせていただきます。原稿等は用意しておりません。この1週間の選挙戦のなかで、市民の皆さんにお訴えしてきた内容を、ここであらためて一通りお話し致します。
 私は、この本庄市のみならず、いま日本全体を取り巻く環境は非常に厳しいものがあると認識しております。これはみなさんも同感ではないかと思います。高齢化そして少子化が進んでいます。高齢化、このこと自体は決して悪いことではありません。長寿の方々が増えるということは、これは非常に喜ばしいことです。課題は、その長寿社会をどうやって支えていくかであります。そう考えますと現在の不況下で生産年齢人口にあたる方々の雇用の環境や、あるいは経済の状況は非常に厳しいものがあり、またこの高齢化を支えていくために人口が一定規模で推移して行けば良いのですが、実際は非常に極端な少子化が起きているわけです。この少子化現象は間違いなく我が国に深刻な影響をもたらすでしょう。そういった意味で高齢化・長寿社会というのは、これは大変結構なことだけれども、それを支えていくための体制づくりが実際には非常に脆弱であり、それがゆえに国民には将来に対する不安が広がっているわけです。
 昨年の政権交代もまさにそういった閉塞感を打開したいという国民の希望の表れでなかったかと思うのです。しかし、政権が代わって何がどうなったか。もちろん長い目で見ることも必要でありましょうが、国民のあいだにはチェンジをしても果たしてどうだったのか、という失望感が広がっているのも現状ではないかと思います。
 さて、そういうなかで、この本庄市に目を転じてみますと、確かに本庄市も厳しい状況には変わりません。私が非常に憂慮しておりますのは、例えば国民健康保険です。これを維持していくための一般会計からの持ち出しは、以前は1億円あるいは2億円ぐらいで済んでいました。しかし、20年度の決算を見ますとそれが7億円の持ち出しになり、たいへん増えてしまっております。

「稼ぐ、入るを計って出ずるを制す」

 そこでこれまでの間、たゆまぬ行財政改革を続けてきました。合併時の職員数600人が削減によっていま539人、1割削減され、その他いろいろ取り組んだ結果、人件費は合併時の50億円から4年間で48億円と、約2億円の削減をすることができました。また皆さんにご協力いただいて、この4月からは地域手当が全廃となります。21年度と22年度を比較しますと、これもまた人件費で3億円くらいの削減が見込まれるという試算がでております。となると合併して、5年間で人件費だけでも約5億円減らすことができることになります。
 しかし、どうでしょうか。先ほど申し上げたように、一方で国民健康保険を維持するための市からの持ち出しが非常に増えているという現状があるのです。そのほかにも、例えば生活保護の受給者等もたいへん増えています。今後とも私は、不断の行財政改革は必要であると思っておりますが、しかし歳出を削るだけでは、やはり限界があります。
 そういったなかで本庄市は、内外情勢厳しいなかではありますけれど、私は将来に向けての可能性があると考えております。この5年間の企業誘致件数を数えてみますと、本庄市は、埼玉県内市町村の中で最多の26件。これはよそから来るだけでなくて新規の拡張等も含まれるわけですが、最多の数字をあげています。去年はカインズホームの本社が2年後に本庄に来ることも決定いたしましたし、またこの2月13日には赤城乳業が児玉の地で操業を開始いたします。赤城乳業は将来的に見学コースも作るそうです。いま注目を集めている「産業観光」について、本庄にひとつの拠点ができると期待するところです。カインズは、年間の売上高が3,468億円、こうした企業が群馬県から埼玉県に移転してくるわけで、本庄市ではもちろん1番大きい企業となりますが、埼玉県内を見渡しても年商ベースで3番目に大きい企業になりそうです。1番はカルソニックカンセイ、2番はファッションセンターしまむら。これは2つともさいたま市に本社があります。県北の田舎まちといわれていた本庄に、埼玉県で3番目に大きな会社の本社が来るのです。本庄の可能性、ポテンシャルの高さが実証されたと言えるでしょう。
 これまで多くの先人の努力によって、坂東大橋が新しくなり、インターと近接するところに新幹線の駅が開業するなど、地域の交通の利便性を高め、結節点となるまちづくりがなされてきました。このような土台の上に、いま本庄市は、将来に対する可能性が大いに開かれている、この不況下にあっても企業の誘致が成功しているという事例があるわけです。
 1番新しいニュースでは、2月1日、私が選挙に当選した次の日でしたけれども、本庄駅の東側の松倉工業の跡地でキヤノン電子の独身寮の起工式が行われました。イメージ図を見させていただきましたが、5階建てでたいへん大きな建物になります。ここに80人からの独身の社員さんが入る予定とのことです。もちろんすでに本庄にアパートを借りている人もいらっしゃいますけれども、新規で数十人の方がよその土地から来て住んでいただくとのことです。これもまちづくりの大きな起爆剤にもなりえるわけで、有難いと思っております。
 このように多くの企業に注目をされている本庄市なのですから、不況が続き、いま以上に少子化・高齢化が進むことが予想されるなか、今後社会保障費を維持していくためにも、稼げるまちづくり、ここにしっかりと力を入れていくべきと、私は選挙戦のなかで大いに訴えてまいりました。「入るを計って出ずる制す」という言葉があります。「出ずるを制す」、これは大事なことです。しかし、「入るを計る」ということも大事です。本庄市は、「入るを計る」ことでは将来に向けて大きく可能性が開けていると私は確信を持っております。本庄市は稼ぎを生みだしていけるまち、これをぜひ職員の皆さんにも受け止めていただきたいと思っております。
 もちろん、我々はまだまだ耐え忍んでいかなければなりません。企業誘致の効果が現れてくるのは先のことです。すぐにその効果は現れません。社会保障費の伸び、そして税収等の落ち込み、こういったなかで現在の仕事等をどうしていくのか、これらは大変な課題でございます。不断の行財政改革が求められるでしょうし、いろいろと皆さんにも自分たちの仕事のなかで、創意工夫をしていただかなければならない場面がたくさん出てくると思います。それらをしっかりと行いつつ、将来に希望をもって本庄市の歳入を生みだしていくための工夫をぜひ考えていただきたいのです。
 企業誘致は、産業開発室が担当ですが、他にも商工課では、中小企業対策等しっかりとやっていただいております。産業開発室・商工課のみならず、全庁一丸となって本庄市がどうやったら経済をもっともっと活性化させていくことができるかを考えていただきたい。このためにはインフラ整備も必要ですし、いろんな条件整備が必要です。それをいつも念頭に置いて稼げる本庄市づくりを考えていただきたいのです。稼げる本庄市づくりは、とりもなおさず市民のみなさんの福祉・医療・介護・教育そして生活環境、こういったところにしっかりとした財源を生みだすために行うわけです。
 そして稼げるまちというのはそれ自体が目的ではありません。その先に何を見るのか、どういうまちにしていくのか、私はやはり持続可能な本庄市を作っていきたいと考えます。持続可能な本庄市、それは平たく言えば、自分たちの子どもたちに胸を張ってしっかりとバトンをタッチしていける。もっといえば、みなさんのお子さん方、大学生やあるいは都内で就職していたり、よその地域で働いている方々も大勢いると思いますが、そういう方々にこの地域に住んでいる我々が、胸を張って本庄に戻ってこい、本庄に戻って働いてみないか、本庄で住んでみないか、そう言えるようなまちをつくっていきたいのであります。

「暮らす、安全と安心」

 そのための諸政策について申し上げます。私は稼ぐということ以外に2つ掲げました。それは暮らす・育むです。様々な政策がこのなかに集約できると思います。
 まず「暮らす」。暮らしの安全・安心です。まず高齢者福祉の課題、これまでの4年間、特に介護予防に市としては力を入れてまいりました。高齢者の生涯学習の推進や、高齢者スポーツの推進もそうです。そして、筋力アップトレーニング教室などもしっかりとおこなってきました。目標値としてトレーニング教室を倍増したいと、マニフェストの中に書かせていただきました。いずれにいたしましても、高齢者福祉というのは、高齢化が進むなかで避けて通れない大きな課題でございます。いろんな政策を充実させると同時に、高齢者の方々に対して、なによりも必要なのは温かさであり優しさです。地域の方々によって自分たちがちゃんと敬われているんだなあと思っていただけるような社会づくりを進めてまいりましょう。
 実は、私はこの選挙の以前に、地域の実情を調べておきたいと思いまして、各自治会長さんとともに各地域を歩かせていただきました。まちなかであれ、農村部・山村部であれ、独居老人の方々、あるいは高齢者ご夫婦2人だけの世帯が非常に増えているということにあらためて気付かされました。大きなお屋敷でありますが、中に住んでいるのはお年寄りお1人の家もたくさんあり、また廃屋で誰も住んでいない家になってしまったところも見てまいりました。この状況はますます加速化してくるであろうと思われます。そういったときに必要なのは、これは市民の皆さんにも訴えてきましたが、やはり市民相互の見守り、地域のコミュニティの温かさ、絆というものであり、これを取り戻していかなければならない、ということです。
 私は市役所の職員という存在はまちづくりにとって、リーダー的な存在であろうと思っております。高齢社会を共に生きて行くうえで、職員の皆さんへの市民の期待は大きいものがあります。もちろん、市民が全く何もせずに課題を行政に押しつけるのはいけません。これは私も市民の皆さんに申し上げてまいりました。しかし、例えば職員の皆さんが率先して高齢者の方々をどうケアしていくのかをそれぞれが真剣に考え、またボランティア精神を発揮して地元などで何らかの活動を行うことは、非常に大事なことではないかと思うのです。地域には民生委員さんも、自治会長さんもいらっしゃいます。しかしその上で、高齢者の方々が何か困ったときに地域に住む市の職員に相談する場面というのも私は今後ひんぱんに出てくるのではないかと思います。ぜひそういう意味で、高齢化社会をみんなで支えあうなかに、職員の皆さんの力の発揮しどころもあるのではないか、ということを私から投げかけさせていただきます。
 福祉については障害者福祉も重要ですし、子どもの福祉も大事です。そして暮らしの安全・安心にとって、地域の医療の課題も大きなものがあります。平成16年以降、医療制度が変わりまして、救急病院やあるいはリスクの高いところに医師がいなくなってしまったという状況が全国的に起きています。周辺また県南などでも救急病院が激減しているなか、当地域の救急医療体制を維持するために、本庄市の2次救急病院では懸命なご努力を重ね、さらに周辺病院との連携体制をとるようにしておられます。市民の中には、救急車を呼んだのに本庄市内で診てもらえない場合が多くなっていることに対し不満があることも事実です。しかし、私は市民のみなさんに、どこの地域でも救急医療体制が脆弱になってきているので、広域的に連携をとりながらみなさんの安全・安心を確保するために頑張っていますというお話もしてまいりました。
 そういったなかで、特に感じておりますのが、やはり小児救急の課題です。なかでも、夜間の小児救急は非常に脆弱になっています。この児玉郡市では、夜間の2次救急をやっていただける輪番病院、小児の病院がなくなってしまいました。深谷あるいは熊谷といった大里郡市まで含めても、毎日の夜間必ずどこかの2次救急の小児病院があるかといえば、無いのです。穴があいてしまっております。寄居こども病院がこどもという看板をはずしました。深谷日赤も6人いた小児科の医師が3人になってしまっています。群馬県と連携しながら、なんとか維持しているような状況でございます。つぶさに埼玉県北部あるいは群馬県南部の状況を鑑みつつ、医師会の先生方とも相談するなかで、昨年から埼玉県に対して、特に小児あるいは周産期の高度の医療センター的な役割を果たす拠点がこの県北に必要であり、ぜひこれは県で考えていただきたいと訴え続けております。もちろん、財政的にも非常に困難ですし、簡単にできる問題ではないことも分かっております。分かっておりますが、深谷日赤も脆弱化し、寄居こども病院がなくなってしまったなかで、この地域の小児医療・周産期医療の県北の脆弱性ということを考えたときに、やはり必要性があると考えますし、これは市長の役割として、私は県に対して訴えていきたいと考えております。その点もぜひ健康福祉部をはじめ、職員の皆さんにご理解をいただきたいと思っています。
 余談になりますが、例えば、カインズも来る。カインズの本社が来るとなると、どこに多くの収入が入るか。市にも市税が入ってまいります。しかしそれ以上に、県に法人事業税として入る額もたいへん多いのではないかと思います。つまり、企業誘致をすることは、本庄市だけでなくて、埼玉県もたいへん潤ってくるわけでございます。私は、今までのように、県北の本庄市が僻地だから県にお願いして何か持ってきてほしいというような発想をやめにしたいと思います。本庄市自身が稼げるまちになって、しっかり県にも貢献しているのだから、県もしっかりと県北のことを考えていただきたい。このような姿勢で臨んでいきたいと思っております。
 先ほど申し上げた、例えば小児高度医療センターのことも、埼玉県に対して本庄市も県に対してしっかりと貢献するまちになっていくんだから、こういったことについても考えていただきたい、そういう姿勢で臨んでいきたいと思っています。
 さて、福祉と医療についてお話をしてまいりましたが、暮らしの安全・安心はほかにもたくさんございます。
 生活環境の整備も重要です。4年間で特に児玉地域の道路や側溝の整備をすすめ、これについては一定のというよりも、大きな評価を児玉地域の皆さんからいただきました。自治会長さんはじめ多くの方が選挙における応援演説でそのことについて言及していただきました。学校建設のことについても言及していただきました。整備して本当によかったなあと思っております。
 生活環境については、旧の本庄・児玉を問わず、それぞれの地域の大きな課題として、たくさんの自治会からいろんな情報・要望が寄せられていると思います。財政的に困難な中であるとは思いますが、緊急性を考慮しつつ、今後とも必要なところからしっかりと進めていきたいと考えますし、また公園等、市民プールの跡地の課題等もあります。市民との協働に基づいて、しっかりと考えていきたいと思っております。
 そして環境です。市の環境政策もこの4年間、さまざまな挑戦、チャレンジをしてきました。この流れをさらに加速していきたいと思っております。特に私は、これは都市基盤整備の分野にも関わってくることですが、水環境の再生というものを大きく掲げました。ハードの面では、生活排水処理をしっかりと進める。これは公共下水道のみならず、合併浄化槽あるいは集落排水など本庄市の生活排水処理の全体像を考えて、その100%達成を目指すということです。下水道は下水道対策だけ、あるいは浄化槽は浄化槽対策だけ、集排は集排対策だけ、そういうバラバラのものではなくて、本庄市として水環境の再生を行うために、生活排水処理の100%を目指すという全体の目標を立てて取り組んでいくべきであります。 以上、暮らしの安全・安心についていくつか言及させていただきました。

「育む、みんなで育む、市民の子育て参加率日本一のまち」

 さて、「暮らす」に続いて「育む」です。人の生活でも暮らしの安全・安心と同時に次世代を健全に育んでいくことは非常に大事な課題です。子育て・教育の充実につきましては、この4年間しっかりと皆さんにチャレンジしていただいておりますが、これからも一層充実させていきたいです。特に、いずみ保育所もでき、発達障害の対策をこれから真剣に行おうと考えております。また、地域の子育てのボランティアの皆さんの活動もたいへん盛んですので、そういった方々の活動もより活性化するように図って行きたいと思います。
  また、学校教育です。この4年間、特に耐震化工事について真剣に取り組んできましたが、引き続きお願いします。そしてこれからは、特に子どもの学力の向上ということに力を入れていただくよう、お願いします。これについては、以前から県の目標値というものがありますので、学力の向上のためにどういう政策が必要かを現場の先生方と教育委員会とで考え実行していただきたく存じます。
 そしてスポーツ振興。子どもから高齢者まで、市民のスポーツ振興にも例えば川淵三郎塾の充実という形で更に取り組んでまいりたいと考えます。
 子育て・教育の充実につきましては、「親の学習手引書」を市内のボランティアの方々が作ってくださいました。これは、地元で子育てなどに携わっているボランティアの方、あるいは幼稚園・保育園・学校関係者の皆さんが本当に手作りで作ったものです。子育て中のお父さん、お母さん方に対して、親が親として子どもに接するためにはどうすればいいかということが書かれた「親の学習手引書」・「親子手帳」。せっかく市民が手作りでしかも内容の濃いものを作成したのですから、この活用をしっかり図ってください。すでに、学校の就学時検診などの時間に、お子さんが検診を受けている傍らで、ボランティアの方々が若いお父さん、お母さん方に子育ての色々な相談事等に応じている光景が見られるようになってきました。行政が行っていたことを市民の方々がどんどん行うようになってきています。これはすばらしいことだと思います。
 私は本庄市は、多くの市民の方々が昔から地域の子育てに参加している伝統を持つまちであると思っています。一つの例がお祭りで、旧の本庄・児玉を問わず、地域の伝統的なお祭りなど、子どもたちが主役になっているものが多いのです。山車や曳山のお祭りは全国的に見ても若い男の人たちなどが主役の場合が多いですが、旧本庄でも旧児玉でも、子どもが主役です。子育てや教育については、学校や家庭はもちろんですが、地域も大きな役割を果たしていますし、果たすことが求められています。私が市民の皆さんに申し上げたのは、高齢の方で私はもう子育てなんか関係ないよ、という方も、例えば月曜日と木曜日の午後、子どもの下校時のチャイムが鳴ると外に出ていただいて、お子さん方の見守りをしていただいている。これも立派な子育て支援ですよというお話をしました。
 このような本庄市ですから、目標というか一つの大きなスローガンとして「みんなで育む、市民の子育て参加率日本一のまち」を目指したいということを、私は、去年行われた市民フォーラムの中で発表し、会場に集まった皆様方から大きな賛同の拍手をいただきました。これはみんなで地域の子育てに参加するんだ、という自覚をうながす一つの運動です。「市民の子育て参加率日本一」。私たちがやっている仕事も一見関係ないように見えるけれども、次世代の育成に何か役に立っているはずだという自覚を持つことによって、それぞれの仕事が次世代の育成ということにつながり、市民がそれぞれやりがいを持って生活を送ることにつながると考えます。そこで今後、私は「市民の子育て参加率日本一のまち」を、宣言しようと考えております。

いかに人口の定住化を図るか

 以上、「暮らす」・「育む」についてお話をしてきました。終わりにもう一度、冒頭に申し上げました「稼ぐ」のお話しを繰り返します。本庄市を稼げるまちにしていかなければならない、と申し上げました。その上で重要なのは、人の定住化です。今のこの人口減少時代に本庄市としてどう取り組んでいくかということです。特に旧市街地、これは旧の本庄も旧の児玉もたいへん空き地が目立ちます。また、新しい拠点としての本庄早稲田駅周辺のまちづくりも真剣におこなっていかなければなりません。先ほどから申し上げていますように、内外から注目され、企業進出等の打診が来ている本庄市ですので、私はやはりここにも大きなチャレンジ・挑戦が必要であろうと思います。
 旧市街地については、空き地の宅地化をどうやって図っていくか。これをぜひ皆さんといっしょに考え、チャレンジしたいのであります。開発指導から開発支援へ、という言葉を選挙の中で申し上げてまいりました。例えば、一つのいい事例として、市内の中心街にある印刷会社がお店を閉じました。これ自体は残念なことですが、地権者である印刷会社の社長さんが、自分の土地の有効活用を図ろうと考えて、いまそこに、7つの住宅が建てられるということで、現在工事が始まっております。これも、中山道と交わるところの狭隘道路を拡幅したことが功を奏している事例だと思います。空き地の有効活用ということでは、榎本不動産の跡地にもドラッグストアができるようです。市役所の西側の富士機工の跡地、これも上から見ると非常にもったいない場所です。私も、市民の皆さんに喜んでいただけるような土地利用が図られるよう、今後とも富士機工さんに要望をしてまいります。児玉についてもあの郡酪跡地をどうするのかという課題があります。いずれにいたしましても、このまちなか人口の定住化ということを一つの大きな目標として掲げ、そのための施策を皆さんといっしょに考え行動してまいります。
 そして、本庄早稲田の駅周辺のまちづくりがあります。私は、「本庄早稲田の杜づくり」と称し、これからこの本庄市全体の底上げをはかっていくまちとして、また埼玉県の北の玄関口のみならず、北関東に開けた扇の要のようなポテンシャルの高い地域として、自然環境と調和し、将来にわたって持続可能なまちをしっかり創ってまいります。これには企業誘致も大事ですし、商業施設の誘致も大事です。そして住宅着工件数が少なくなっているこの時代にあって、どうしたら良好ないい住宅ができるか、みなさんとチャレンジ、トライをしてまいります。可能性は十分あると思います。本庄早稲田の杜づくりをしっかりと行うことが、本庄市が将来にわたって持続可能なまちになると確信してやまないところです。そのためには、アクセスも必要です。県に対して、インターチェンジからのアクセスを考えていただくように、これからも強力に申し上げていこうと思っています。今の状態のままでは、残念ながら利便性がいいとは言えません。こんなにインターと駅が近接しているにもかかわらず、たいへん遠回りをしなければ駅に行けないわけです。今後埼玉県の稼ぎも生みだしていく本庄市なのだから、こういった改善も考えていただきたいということを強く申し上げていこうと思っております。深谷とのアクセスも大事です。都市計画決定もされた東西通りについては是非推進をお願いします。

持続可能なまちにするためのチャレンジ・挑戦 

色々と申し上げてきました。私としては冒頭に申し上げたように、この本庄市を将来に向けて持続可能なまちにできるよう、みなさんとチャレンジしていきたい。このチャレンジ・挑戦というのは、一つ本庄市のみならず、日本という国をもっと元気に活力のある、自分たちの子どもや孫たちにしっかりと胸を張って渡せる国にしていく、そのための地方からのチャレンジ・挑戦であると、私は位置づけています。
 特に職員の皆さんには、大きな視野を持っていただき、日々の自らの仕事にがんばっていそしんでいただきたいのです。大きな視野を持つということは、本庄市のことだけではなく、よそとの比較、あるいは県の動向、国の動向など、一人ひとりの職員がそういった大きな視野を持っていただきたいと思っております。私はそのためには、職員、特に若手の方々の研修の機会というものを増やしていくべきと考えます。他流試合という言葉がありますが、外の世界を見るということは、非常に大事です。また管理職の方々にも、色々な機会をとらえて、俯瞰的に見る目を養っていただきたいですし、そうした機会をどうつくれるか、皆さんも自分自身で考えて下さい。そのうえで、小さなまちではありますが、このまちのまちづくりに一生懸命情熱を傾けていただき、また、このことが本当に尊い誇りのある仕事であるということをぜひ自覚をしていただきたいと思います。皆さんに対する期待というものは大きいものがあり、特にこれからの時代は、市の職員の果たすべき役割は、ますます大きくなってくると思います。真剣に、そして自信と誇りを持っていただきたいのであります。職員の皆さんがそういう自信と誇りを持って、がんばっていくことができれば、これは最大の行政改革であります。それが市民の皆さんに伝播し、自分たちも頑張ろうという気持ちになっていただく、こうして本当の協働のまちづくりができるのではないでしょうか。
 さて、最後になりました。私自身4年間本当に多くの方々に支えられてきましたが、またこれから4年間、皆さんの支えがあってこそ、仕事ができると思っております。引き続き、お互いの信頼関係を大事にしながら、この本庄市のまちづくりに取り組んでまいりたい。各位におかれましても、それぞれお体をご自愛のうえ、ご家族ともども健康で健全で、この本庄市のまちづくりにいそしんでいただきたいとお願い申し上げます。今後とも「世のため、後のため」まちづくりに魂をこめて、本庄市の将来に向けて、皆さんと共に頑張ってまいります。以上をもちまして、就任にあたってのごあいさつとさせていただきます。4年間どうぞよろしくお願いいたします。ありがとうございました。(39分26秒)

この記事に関するお問い合わせ先

企画財政部秘書課秘書係
〒367-8501
埼玉県本庄市本庄3丁目5番3号
電話:0495-25-1154
ファックス:0495-21-8499
メールでのお問い合わせはこちら