「放射能汚染について」(平成23年8月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。8月1日、今月の月いちメッセージをお送りします。今日は福島第一原発事故以来の放射能汚染について感じているところをお伝えします。
大震災の津波による原発事故によって、大変残念なことに福島県を中心に東日本の広範囲にわたって放射性物質が拡散し、その影響は空間、土壌、水、食品からごみや下水処理場の灰や汚泥といったあらゆるものに及んでいます。こうした中、住民の間では特に小さなお子さんをお持ちの保護者を中心に不安が広がっています。そしてその不安の声が、放射能について特段専門的知見を持たない自治体にも数多く寄せられ、対応する担当職員も苦しんでいる実情があります。
各自治体ともさまざまな方法で放射線量測定を始めていますが、問題は出てきた数値をどうとらえるかです。関東地方は福島県などに比べれば非常に低い数値ではありますが、それでも不安に感じる住民の声は多いようです。そういった声にどう応えるか、私もこの件についてはジレンマがありました。「数値はこうでした、あとはご自身でご判断ください。」だけでは不安の声に応えたとは言えないですし、さりとて専門的知見も踏まえない中で単純に「福島に比べれば数値が低いから安全でしょう。」などと、憶測で言い切ることもできません。
この問題は未知の領域がまだまだ広いためか、政府筋もはっきりとした安全の基準を出しかねているようです。このような中で住民の不安の声に対応するには、例えば第三者的な立場から、専門的に放射能問題に取り組んでいる機関などがあれば、そういった機関を市民に紹介することも一つの方法ではないかと、私は感じていました。
思えばかなうもので、半月ほど前に私はインターネット上で運営されている、「専門家が答える 暮らしの放射線Q&A」というウェブサイトを偶然見つけました。これは放射線の専門家で構成する「日本保健物理学会」が監修するサイトで、全国から寄せられた放射線・放射能に対する質問とその回答が、このサイトが開設された3月末から現在まで、継続的に掲載され、そのまま分厚いQ&A集になっています。
私自身が見たところでは、サイトを運営するにあたっての基本的スタンスもしっかりしていて、専門的知見からさまざまな質問に細かく適切に答えようと工夫されていると感じました。このサイトがインターネット上ではどう評価されているかもあわせて調べてみましたが、放射能問題に真摯に向き合っている姿勢が感じられるという高い評価が多いようです。
私は、このサイトが放射能問題に不安を抱く市民の判断の一助になるのでは、と考えました。しかし、専門家集団が運営しているサイトとはいえ、公的機関ではないことから、これを本庄市行政として取り上げるよりも、むしろ私自身の一つの見解として市民に紹介する方が良いのではと判断しました。そこで、本日発行の広報ほんじょうの市長コラムにおいて、このサイトの存在を市民の皆さまに紹介させていただいたところです。なお、このサイト上での専門家の見地から推測するに、現在本庄市内で計測されている空間放射線量の数値は、まず問題ないものと思われます。
このサイトで印象に残ったのは、「放射線・放射能を正しく怖がることが必要」と書いてあったことです。まさにそのとおりであると思います。私たちは、今後否応なしにこの問題と向き合っていかねばなりません。放射能問題はまだまだ未知の分野であればこそ、私たちは不確実で不安定な現実を直視しつつ、だからといって物事の判断を放棄するのではなく、何が正しいのかを常に追い求めてゆく姿勢で、今後とも事に臨んでいかねばならないのだと思います。
放射能問題に限らず、そういった物事への真摯な姿勢こそが、さまざまな危機的事態を乗り越えていく原動力になる、そう私は確信しています。
今月のメッセージは以上です。今月も体には十分気をつけてお仕事頑張ってください。

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