「手話体験講座を受講して」(平成24年7月分)

更新日:2020年10月01日

おはようございます。7月の月いちメッセージをお送りします。
6月1日から29日まで、毎週金曜日に中央公民館で「手話講習会・体験講座」が開催され、私も参加しました。障害福祉課と社会福祉協議会の共催で、計5回にわたる講座でした。私は第3回のみ欠席で、後は何とか出席できました。
内容は、自己紹介から始まり、家族、仕事、数の数え方、時刻の伝え方、場所の伝え方など、入門編に進む前段階の手話に親しむことを目的とした講座でした。受講して本当によかったと思っています。講師の先生、アシスタントの方も一生懸命で、受講生のみなさんもとても熱心でした。
聴覚障害をお持ちの方々とのこれまでのさまざまな交流や今回の受講を通じて、改めて多くのみなさんにこれは伝えなければと思ったことがあります。
一般的に、“耳の聞こえない方とは筆談でコミュニケーションができる"と思っている方が多いのではないでしょうか。
ご高齢の方や、病気などで現在は耳が聞こえなくとも以前は音が聞こえていた方、あるいは生まれつき難聴であっても補聴器などで音を獲得し、努力して言葉や文字を習得した方であれば、筆談は比較的スムーズでしょう。
しかし、生まれつき全く聴覚の無い先天性の聴覚障害をお持ちの方々の場合、筆談が困難な方が多いということが言えます。
音が聞こえる私たちにとって、文字はそもそも「音を伴う言葉」を表現するものであり、言葉の習得と相まって初めて文字はコミュニケーションの道具になり得ています。
一方、もともと音の無い世界に生きる先天性の聴覚障害をお持ちの方々にとって、文字を覚えるということは、その文字が表現する「音を伴う言葉」から、音を切り離したところで言葉と文字を習得しなければならないため、非常に大変な作業になります。そもそも音を認識できない方が、音と密接不可分の言葉や文字を覚えるという作業は、その出発点において大変なハンディを背負っているのです。
先天性の聴覚障害の方々にとって筆談が困難なのは当然であるということを、私たちはまず知っておかなければなりません。
そして手話とは、音のある世界の言葉の翻訳ではなく、代替物でもなく、音のない世界の「言葉、言語」であるということを認識すべきです。
一方で、文字によるコミュニケーション技術の取得という大変な作業に幼いうちから格闘し、現在、文字を使って社会で仕事をしている先天性の聴覚障害のある方々も数多くいます。むしろ、インターネットなどで積極的にコミュニケーションを図ろうとしている方などもいて、一口に先天性の聴覚障害のある方と言っても、一人ひとりの状況は千差万別です。
音のある世界にいる私たちは、自分たちの世界が「音」を伴っていることに無自覚であるがゆえに、「音」そのものが無い世界にいる方々に「音」を無理強いしていないか、配慮が必要です。また同時に、音の無い世界にいる自分を、音のある世界で活(い)かすために、大変なハンディを背負いながらも、音のある世界の文字と言葉を獲得しようと努力している人の事も忘れてはならないと思います。
さまざまな方との交流を通じて、例えば同じ先天性の聴覚障害のある方だからと言って一括りにして考えるのではなく、一人ひとりの相手の置かれた状況を理解しようと努めることが、これは障害をお持ちの方々ばかりでなくどんな場合でも、コミュニケーションの要だということに、私自身、改めて気づかされました。
今回、手話を知らない方々が気軽に手話に親しみ、手話そして聴覚障害をお持ちの方々に対する理解を深めるきっかけづくりとなる体験講座を実施していただいた関係者に感謝申し上げ、今月の月いちメッセージといたします。暑くなりますがお体に気を付けて今月もお仕事頑張ってください。

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