「勁(つよ)く! ~自分たちの底力を信じて耐え抜くとき~」(平成24年1月分)

更新日:2020年10月01日

あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いいたします。
みなさんお正月はそれぞれゆっくりお休みが取れたでしょうか。今日からまた忙しい日々が始まります。体に気を付けて、それぞれ引き続き頑張っていただきたくよろしくお願いします。
さて仕事始めにあたり3点お話しします。まずは年頭の所感として内外情勢への私なりの思いを、次にみなさんに示したい、贈りたい今年の言葉、そして最後に本庄市の今年の課題について話したいと思います。
昨年は、東日本大震災や台風による大きな被害が発生し、我が国社会にとって「危機管理」というものが改めて問われました。年は明けましたが、いずれまた必ず発生するであろう災害にどう対応するか、またこれからも長期間続くであろう放射能汚染にどう向き合うべきか、私たちは大きな課題を突き付けられています。
同時に、政治・経済・外交・社会保障など諸般にわたっても、我が国は内外共に難しい局面に立たされています。
こうしてみると、あたかも日本の前途は八方ふさがりのようにも思えます。しかし、実は私たちは、昨年の震災において、日本人の「底力」も見ることが出来ました。被災地の方々の秩序正しい行動は全世界を感動させ、原発事故の現場では、今なお日本で最も困難で重要な、地道な作業が続いています。作業中の方々に、心からの敬意を払いたいと思います。また、まだまだ未知の部分が多い放射能汚染に対しても、解決に向けたさまざまなアプローチが始まっております。どんな逆境におかれても創意工夫して乗り越えて行くのが日本人の底力と言えるでしょう。
平成24年は、国民が国民の底力を信じて耐え抜く時だと思います。まだこれからも我が国に困難は降りかかるでしょう。ですが私は、我が国が常に天災の危機にさらされながらも他に逃げるところがない島国である、という地理的条件ゆえに、日本人は元来、人と人との絆が強く、そしてどんな逆境にあっても一旦その状況を受け入れ、常に工夫をしながら前進するという、進取の精神に富んだ国民性を本来持っていると思うのです。
そして、この内憂外患という状況下にあって国民がより一層底力を発揮できるためにも、公の為の仕事をする者の責務は非常に大きいと言えるでしょう。
実際に被災地では、公務員の力がいかんなく発揮されています。
震災直後から始まった自衛隊の救助活動によって、何と1万9千人を超える方々が救出されています。もしも自衛隊の活動がなければ、大震災の死者行方不明者は4万人近いものとなった、ということになります。
さらに被災地では警察、消防、国と地方の行政職員と、数多くの企業、NPOや全国からのボランティアのみなさんが復旧復興に当たっています。作業が進むためには、やはり現場の市町村行政の役割が欠かせません。
私は昨年来日されたブータンの国王陛下の国会演説に感動しました。国王は「日本は不幸から必ず立ち上がります。日本の素晴らしさは自国の成功を世界中の人々と常に分かち合ってきたことであり、偉大な決断と業績を成し遂げつつも、静かな尊厳と謙虚さとを兼ね備えた日本国民は、他の国々の模範であり、世界は今後も日本から大きな恩恵を受けるでしょう」と演説されました。世界には日本人の絆の強さ、進取の精神、そして何より「謙虚さ」を大いに支持してくれる国があることをうれしく思いました。
私は、この日本人らしい精神を誰よりも持っているのが、日本の公務員であってほしいと願っています。
ここで、今年みなさんに示したい、贈りたい言葉を掲げたいと思います。それは「勁く」です。勁の字はケイと音読みし、有名な四字熟語では「疾風勁草」というものがあります。強風に負けないしなやかで丈夫な草のことです。この字は同じ「つよい」でも、「強」とはニュアンスが異なり、草や弓などのつよさ、抵抗力を表す言葉として用いられるので、どちらかというと強の字よりもしなやかで、しかも芯が通っている、男性だけでなく女性にもふさわしい言葉だと思います。丈夫という意味からは「健康」も意味すると思います。この言葉を今年は掲げていきます。
これは被災地の人々の姿、転じて日本人全体が疾風の中の勁草たらん、という決意の意味でもありますが、新しい時代を切り拓いて行く本庄市役所の私たち自身もそうありたいと思い、選ばせていただきました。
そこで、ここからは本庄市の課題について、です。本市はすでに平成20年度から、右肩上がりでない時代に持続可能な社会をどうつくるか、ということをテーマに総合振興計画を掲げています。縮小する時代の中で、市民との協働により、みんなの合意を形成しつつ、将来にわたって持続可能な社会をつくるという考え方は、本庄市だけでなく日本全体としてまさに正しい方向性であると今改めて確信しています。環境共生都市エコタウン本庄を目指すのも、このような考えに基づくものです。
そして総合振興計画は、不断の見直しを常に行うことが求められています。おりしも平成25年度から後期基本計画がスタートします。今年の早い段階でその仕込みを行わねばなりません。みなさんにはぜひともこの際に、時代を先駆ける心意気で、より一層の行政事業の大胆な見直しをお願いします。
もはや「今を生きる者達だけの富の分配を増大させる」ことが政治行政の役割だとする考えは全く通用しません。過去の成長モデルにこびりついた既得権益や制度は見直す必要があり、それを避けては新しい時代の扉は開きません。
そのためにも、これからの行政の事業はより一層、「公」に対して説明できるか否かを基準に考えるべきでしょう。ここでいう公とは、単に現在の世論、というだけでなく、将来に対して道理が通るかどうか、ということです。「世のため、後のため」です。力の大小で物事を決めるのではなく、道理の有無で物事を決めることです。それが行政への信頼につながり、最終的には地域全体の活力が生み出される基になると確信します。
このような姿勢で行くためにも、やはり私たちは先ほど掲げた言葉の通り、「勁く」ありたいと思うのです。どんな風が吹こうとも芯はしっかりとし、風に吹かれているようで決して折れず、飛ばされない。丈夫で黙々と、青々と天に向かって伸びて行く、そんなしなやかで勁い本庄市行政を一年通じて進めていきましょう。
みなさんにとって今年が素晴らしい年でありますように願い、以上で私の年頭の挨拶といたします。市政進展はみなさんが頼りです。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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