「全体の奉仕者」について(令和3年5月分)

更新日:2021年05月06日

皆さんおはようございます。5月6日、連休明けの月いちメッセージをお届けします。まずは新型コロナ情報についてです。先月末の1週間で埼玉県では感染者に占める変異ウイルスの割合が約半数になったと報告されました。本庄市も例外ではないことに心して下さい。感染力はこれまでより強く、若い人に感染しやすく、40代50代の重症者も多いとの報告があります。連休明けで忙しくなるとはいえ、体調が悪い方は必ず休みを取り、特に発熱や倦怠感などの症状がある場合は速やかに所属長を通じて報告をお願いします。またこれから暑くなりますがマスク着用とこまめな手洗い、そして職場のみならず、家族以外の方との会食は自粛して下さい。
なおワクチン接種については今月次第に供給量が増え、高齢者の接種も進んで来ます。引き続き全庁あげて皆さんのご協力を宜しくお願いします。
さて4月1日、私は新入職員の皆さんの入庁式で、3つのことを心して下さいと伝えました。1.全体の奉仕者であること、2.挨拶の励行、3.本庄市を知って欲しい、この3点です。今日はこの「全体の奉仕者」について、思うところをお話します。
全体の奉仕者という言葉は、憲法第15条、また国家公務員法そして地方公務員法にも記されています。国家国民そして地域社会と市民みんなのためというこの言葉は大切です。が、気を付けねばならない点もあると私は感じます。
公務員の仕事は全体の利益のためであり、特定の個人の利益のためであってはなりません。とはいえ、この世の中は個別具体的な事象で成り立っています。市役所に用事があってお越しになる市民の皆さまは、実は自分自身またご家族などの個別具体的な案件の処理や問題解決や利益を求めて来ています。簡単な案件ならともかく、中には藁にもすがる思いで来ている方もいますし、一方で自分の利益になるよう事を図りたい人もいます。
全体の利益のための仕事と言いながら、しかし寄せられる案件は個別具体的なものばかり。市の職員はつくづく大変です。ですが、国や県には住民の生の声はほとんど入って来ません。私は基礎自治体の職員は、世の人々のありようにじかに接するなかで、ある時は個別具体的な問題の解決という、リアルな人の幸せに立ち会えるかも知れないし、ある時は制度の谷間に落ちてしまった方を救えないという辛さにもがくかも知れない、またある時はおよそ人間性を疑うような人物に出会うかも知れない、敢えて言いますが、皆さんはそういう経験を通じて、自分の人間性を磨ける、うってつけの職場にいる、と感じるのです。
もう一歩踏み込んで言えば、全体の奉仕者という言葉は、実は幻想です。いや幻想だからと言って侮ることなかれ。この言葉は、みんなのためにという気高いモチベーションの原点にもなれば、一方で市民一人一人にとってとても大切な事柄であるにも関わらず、それは個別の案件だから公務員が関心を寄せなくてもよいという、残念な言い訳に使われる場合もある。この言葉を免罪符のように使っていないか、よくよくかみしめる必要があると思います。
さて、先ほど基礎自治体の職員は住民とじかに接する中で人間性が磨ける、と言いましたが、現実に一人一人の個別案件に向き合うことは、しんどいものです。全体の奉仕者、公正公平をモットーとするなかで、個別案件の解決にどう優先順位をつけ取り組むべきか、これまた悩み苦しむ職員も多いでしょう。
私は解答を持ち合わせませんが、ここで一つの問いを皆さんに投げかけたいと思います。
あなたは男性で池のほとりにいます。池では自分の母親と妻がおぼれています。あなたはどちらから助けますか、という問いです。さあ皆さんはどうしますか。時間がないので、以前に聞いてなるほどと思った答えを言います。それは「近い方から助ける」です。もちろん、これが正解だと決めつけるものではありませんが、なかなか味わい深い答えです。それまでの自分の理屈が行き詰まるなかで、何か答えを出さなければならない時の参考になればと思い、紹介致しました。
さてここまでお話して参りました。全体の奉仕者というのは口で言うのは簡単ですが、それを体現していくことは大変です。私もこのお役をいただいて早15年。多くの志ある職員が、全体の奉仕者として、しかも個別具体の案件にかかわりつつ、自分はどうすればよいのか常に問い続けながら、悩みながら、歩んでいく姿を見て来ました。そしてそれは私自身の歩みでもありました。
これからも正解はありませんが、全体の奉仕者という言葉に、みんなのために頑張ろうという気合いを入れながら、その言葉自体を冷静に見つめ、個別具体の案件も忘れず、悩みながら真摯な気持ちで、本庄市行政を去るその時まで、皆さんには昨日より今日、そして明日へ、心して進化する職員であって欲しいです。
以上で今月の月いちメッセージを終わります。今月もよろしくお願いいたします。

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