新年度の始まりにあたり訓示を行いました(令和4年4月1日)

更新日:2022年04月01日

おはようございます。新年度のスタートにあたり皆さんに申し上げます。
まずは昨日まで任にあった、今井前副市長、勝山前教育長をはじめ、退職された方々に心からお礼を申し上げます。そして本日から山下部新副市長、下野戸新教育長、数多くの新入職員、再任用職員、会計年度任用職員の皆さんを迎え、本庄市役所も新しいスタートとなります。また人事異動、昇任昇格により、それぞれ新しい部署に就く皆さん、さらには異動がなかった皆さんも職場に新しい顔を迎えます。毎年のこととはいえ、私たち全員が、昨年度と異なる職場環境のスタートを迎えるわけです。
自身も本年2月より5期目となり、選挙において市民の皆様にお約束した様々な政策を着実に進めて行かねばなりません。皆さんには改めて宜しくお願い致します。
さて、本市においては年度末に痛ましい事件が発覚し、捜査が現在進行中です。なぜこのような事件が起きてしまったか、憤りと悲しみを覚えるものです。改めてお子さんのご冥福を心からお祈りしつつ、このような事件が二度と起きないよう、また起こさないための環境づくりにしっかり努めたい、これは本庄市にとって今後の大きな課題であると認識しています。
では本日の話に入りたいと思います。年度替わりで新しい環境がスタートするなか、人と人とのコミュニケーションのあり方について、改めて皆さんに認識していただきたいことを1点だけお話します。
それは、自分の見えている世界と他人の見えている世界は異なる、ということです。なんだそんなの当たり前じゃないか、と言われると思います。しかし、改めて皆さんに問います。この当たり前のことを、私たちは普段、ついつい忘れていないだろうか、ということです。
家族間や友人関係また職場で起きる、様々なすれ違いや衝突、これについて私たちはコミュニケーション不足という言葉を使います。ではそもそもコミュニケーション不足とは何か、それを補うにはどうしたらよいのか。もっと話して理解を深めたほうが良い、話せばわかる、などとよく言われます。それも正しいと思います。しかし話してもなかなかわからない場合もあります。なんで私の言っていることを分からないのだろうと、もどかしさを感じることもあるでしょう。その場合は、そもそも相手と自分とは見えている世界が違うのだ、という原点に帰って考えることも必要です。自分がAと思っているものを、相手はBだと思っていることは多いのです。
たとえ話をします。日本酒が好きな夫と、お酒が嫌いでお花好きの妻がいます。ある日二人は骨董市にでかけ、そこで底が平らで、高さが20センチくらいの円錐形、しかも口の方が細くなっている陶器を見つけました。商品に名前がついていないので、夫はこれをお酒の徳利と思い、妻はお花の一輪挿しと思った、この時点で二人の見えている世界は違うわけです。
この夫婦がそろってこの商品が良いと思い、さほど会話もないまま買ってしまったりすると、家に帰ってから、方やお酒を入れよう、方や花を生けようとし、そこでトラブル発生となる、かもしれない。特にお酒あるいはお花にそれぞれが自分の思い入れやこだわりを持ち、逆に相手の思い入れを軽んじていた場合「こんな端正な一輪挿しを、お酒なんかを入れる道具と思うなんてセンスゼロ」とか「花なんてペットボトルにでも挿しておけ」などという文句が飛び出すかも知れません。これでは更にトラブルになります。
まあ、この二人は夫婦ですから、冷静に考えれば、それぞれ徳利あるいは一輪挿しだ、と言っていても、それは相手がお酒やお花にこだわりがあるから、そう見えるのだ、と互いに異なる世界観を持っていることを理解しているはずです。すると、例えば「今日はパパの誕生日だから、好きな日本酒をこの一輪挿しでお燗してあげましょう」とか、「今日は年度始めでママが昇格したから、たまにはこの徳利にきれいなバラでも挿して飾ってあげるか」などという思いやりも生まれるかもしれません。こうなるとそこには徳利とか一輪挿し、という言葉の表面にとらわれない信頼関係が生まれています。お互いの価値観を認め合い、相手がなぜそう認識するのかが分かる信頼関係、これが円満な人間関係またコミュニケーションの前提だろうと思うのです。
私たちの現実は残念ながらそうではなく、お互いの価値観に無理解ななか、日々の仕事や生活に追われ、様々な認識違いを起こしています。そして誤解をまねく表現を口走ったり、相手の言った言葉にとらわれすぎたり、あるいは軽くあつかったりと、背景を見ずに言葉の表面だけで誤解を重ね、後々尾を引くようなトラブルになることが多いと思います。
今年皆さんと共に掲げる言葉は、「信」です。人と人との信頼関係とは、すぐに出来るものではありません。自分と相手とが見ている世界はそもそも異なるし、それぞれ歩んで来た道のりにより、ひと言ひと言の言葉においても、受け取り方が異なる、これを前提にして、一歩下がって自分と相手の違い、ギャップを認識し、なぜ自分は、また相手は、そう考えるのか、そのような言葉を口にするのか、お互いに足りないところを反省しつつ、お互いの価値観を理解していく、なかなか出来ないことですが、心得ていただきたく、お願いします。
以上、年度初めの訓示といたします。本年度もどうぞよろしくお願いします。

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