年頭において訓示を行いました (令和5年1月4日)

更新日:2023年01月04日

「和」という文字が書かれた半紙を掲げる本庄市長

新年あけましておめでとうございます。令和5年、2023年の新春を皆さんそれぞれお元気で迎えられたこととお慶びを申し上げます。また冨田議長にはご臨席有難うございます。
さて昨年は内外共に多事多難な年でした。世界情勢に目を向ければ、コロナ禍への対応の仕方は国によって異なり、まことに混とんとした状況が続いております。2月にはロシアによるウクライナ侵攻が起き、今もなお多くの犠牲が続いています。国内では7月に安倍元総理が銃撃により逝去という衝撃的な事件が起きました。そして本庄市においても3月に5歳児の虐待死事件が発覚、6月には降雹により大きな被害が発生するなど、辛いことが続いた年でした。世界経済はウクライナ情勢等の影響で不安定となり、我が国においても原油高と物価高は家計を直撃し、市においても水道基本料金や給食費の徴収を期間限定で免除する措置を取っております。
多事多難な一方で、明るい話題もありました。ワールドカップ2022でのサムライブルーの活躍や日本人サポーターの姿は、世界に清々しい元気を与えてくれました。北京冬季オリパラでの日本選手団の活躍、大リーグでの大谷翔平選手の活躍など、スポーツの世界ではうれしいニュースが多い年でした。村神様という流行語大賞もありました。コロナ禍はまだ収まりませんが、本庄市においてもスポレクフェスタ、そして秋の本庄まつり、こだま秋まつりが規模縮小ながらも盛大に開催でき、産業フェスタも初開催、七高祭も仮想空間で実現しました。また市の主催以外にも様々なイベントが市内各所で開催されました。そして国道17号本庄道路神流川橋が開通。明るい話題が後半になって出てきた一年だったと思います。
私が昨年、この場で掲げた標語は「信」でした。一週間前の年末28日、仕事納めの日に各課皆さんのところを回り、多事多難な一年、職員の皆さんを信じ、市民の皆さまを信じて過ごして来たことを思い起こしながら挨拶しました。それぞれの部、それぞれの課に、それぞれの苦労があったことと思います。特に様々な事件や災害等の対応に当たった部署にはお疲れ様でした。また事件事故が無くとも仕事量が増え心労が重なり、今も職員やご家族の健康状態などでご苦労のある部署も多いと思います。
そんな一年、私自身も改めて危機管理について学ぶことが出来ました。人間辛く苦しいことは誰だって避けたいものですが、しかし我々も生身ですし、世の中は有為転変、いつ何が起こるか分かりません。そして発生する危機には、予防できたものもあれば不可抗力の場合もあります。大切なのは、その危機にどう正しく対応するか、だと思うのです。正しく対応する、とは、まずは出来事をしっかり受け止めて、速やかな事実確認と応急的措置を行う、この初動の時は最も混乱しますが、その時点で得られている情報の中で遅滞なく行う。そして引き続き情報収集と更なる事実の解明、原因の究明を行い、応急的措置に不備があれば躊躇無く修正し、さらに再発防止に向けた措置や、事業の再開に向けた準備や支援、それらを法的そして道徳的にも正しい方法で、みんなで手順を踏んでやって行く、ということです。
とはいえ、言うは易く行うは難しです。実際に事故や事件に巻き込まれている当事者からすれば、そのダメージやストレスは大きいし、まじめに対応しようとしても様々な障害や時として妨害さえもありますが、それでも、正しく対応しようという強い意志のもと成すべき措置の積み重ねを行うことで、組織としても個人としても、また市全体としても、困難はやがては乗り越えて行くことができる。私は昨年一年で、その確信がより強くなりました。そして私自身が見る限り、本庄市役所の職員は物事に正しく対応しようと頑張ってきたし、頑張っている。そこにはやはり普段からの職場における「信」、信頼関係、そして「人の和」が根底にあればこそ、ということも強く感じているところです。
さて、では今申し上げてきたことを踏まえて、本年みんなで大切にしたい言葉を掲げたいと思います。それはたった今、信頼の「信」と共に申し上げた、人の和の「和」です。信頼は全ての源だと思います。そして「和」は、むつみ、なごみ、やわらぎといった穏やかな意味ではありますが、実は、みんなで物事を成し遂げて行く際の最も強固な土台でもあります。
「天の時は地の利に如かず、地の利は人の和に如かず」という孟子の言葉をご存知だと思います。天の時とはいわゆるチャンスのこと、地の利とは様々な条件がそろったということ、この天の時も地の利も、物事を成就させるためにとても大切な要素ですが、最終的にはそこに「人の和」があることで物事は初めて成就する。逆に人の和が無ければ、どんなに天の時や地の利があっても成就しない。また、天の時、地の利の若干弱いところを、人の和によってカバーできれば物事は何とかなる。あるいは天の時や地の利が危機的な状況でも、人の和によって何とか危機管理が出来る、リカバリー出来る、このように思います。
またこの「和」については、これも皆さんがご存知の言葉だと思いますが、「和を以て貴(とうと、たっと)しとなす」という言葉があります。もともと礼記の言葉ですが、聖徳太子が十七条憲法の第一条に強い意志を以て掲げて後、我が国の国柄を表す標語になりました。この十七条憲法、古代日本の役人の心得を示したものですが、第一条で「和」の大切さを説きつつ、締めの第十七条には「それ事は独断すべからず、必ず衆とともに宜しく論ずべし」とあります。大事なことはしっかり議して道理にかなった結論を出せと言っているのです。ですから十七条憲法でいう「和」とは、ただ、なあなあでいれば良いという意味ではなく、しっかり議した上で物事を決める際の態度、諍(いさか)いではなくお互いを尊重せよ、という意味で使われていることが分かります。
孔子の言葉にも「君子は和して同ぜず、小人(しょうじん)は同じて和せず」とあります。なあなあ、べったり、ではなく、主体性を持った上で人との調和をはかる、ということです。
ぜひ皆さんにはそれぞれの組織において、もちろん普段から「和」を大切にしているとは思いますが、今年は特にこの「和」の意味を意識して仕事に励んで下さい。
最後にもう一つ、「和」には平和の意味も込められています。ぜひ今年は平和な世界になって欲しいという願いも込めました。そして平和はただ願うだけでなく、主体的に作っていかねばならないことも改めて心して行きたいと思います。
以上、今年は「和」で行きます。私は常々、支えあいとチャレンジ、この双方が市政には必要と申しておりますが、改めて人と人との支えあい、和を大切にしつつ、その和を土台として、天の時、地の利を活かして大いにチャレンジする、そんな一年にして下さい。結びに、皆さんそしてご家族の健康を心から願い、新年のご挨拶とさせていただきます。本年もよろしくお願いいたします。

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