空振りでいいじゃないか の危機管理(令和5年8月1日)

更新日:2023年08月01日

皆さんおはようございます。8月1日、今月の月いちメッセージをお送りします。まず私は昨日夕方、上仁手ほか利根川沿岸の一部地域において雹(ひょう)の被害に遭われた皆さまにお見舞いを申し上げます。また関係職員の皆さんには迅速な対応お疲れ様です。今後被害の状況もさらに明らかになると思います。今朝も大雨が降り心配です。適切な対応をよろしくお願いします。
本題に入ります。先日7月28日午前1時5分、危機管理課長からLOGOチャットで市長、副市長、市民生活部長、危機管理課長共通のトークルームに報告があり、本庄警察署から、同日午前0時頃、市内日の出地内において、住宅に男が侵入、バックを盗み、家主を切り付け逃走中、戸締りをしっかりして、不審者を見かけたら110番を、との防災行政無線の放送依頼があり、遅い時間ですが放送すべきと判断しました、とのことでした。この事件の顛末は皆さんご存知の通りですが、今日はこの事件に向き合った自分の心の動きについてお話しし、皆さんの今後の危機管理の参考になればと思います。
さて危機管理課長からの深夜のLOGOチャット、犯人逃走中であれば緊急事態ですから、当然課長のその判断で宜しいと、即座に了解しました。ただ真夜中ですから少し躊躇もありました。まず防災行政無線、以下防災本庄と略しますが、それを流す範囲です。頭をよぎったのは、日の出地区で起きたのであれば本庄地域限定でもいいかなという思いです。課長に聞くと、警察は市内全域で放送をお願いしたいとのこと。そこで考えましたが、本件は強盗致傷の犯人逃走中という緊急事態であり、まず優先すべきは二次被害の抑止です。市民へ警戒を呼びかけ、犯人に心理的プレッシャーを与えるためには、むしろ近隣市町も含め広範囲で流すべき内容であり、ならば市の判断で流せる市内全域には躊躇せず流すべきとの結論に至り、児玉地域での放送も了としたところです。
さて、その時間にはYahooニュースでも本件についての緊急情報が入ってきたので、自分もそれをシェアする形で自身のツイッターとFacebookに掲載しました。
まもなくして防災本庄の放送が流れました。それを聴いた時、自分の頭をよぎったのは、防災本庄は良く聞こえなかったけど一体何が起きたのか?と思った方々が、次にどういう行動を取るか、ということでした。防災本庄はメール登録が出来るので、登録している市民には配信されます。また市長のSNSを知っている人も見るでしょう。一方メール登録はしていないが、市のLINEに登録している人はLINEを見るし、またLINEもメール登録もしていないけれど、市のホームページを見る人もいるだろうなと予想しました。
しかし現在、防災本庄はメール配信とは連携されていますが、市のLINEやホームページとは連携されていません。ホームページ内には自動で格納されるものの、トップページに同様の情報を流すには別途作業が必要で、一定の時間がかかります。が、大切なのは二次被害の抑止で、市民の情報格差はできる限り少なくすべきと考えました。そこでホームページとLINEでの注意喚起について副市長に指示しました。実はここでも葛藤がありました。ホームページもLINEも、防災本庄との間にタイムラグがあり、流したら流したで今度は情報が遅いとの批判も予想されます。しかしここでも考え直し、今後改善する必要がある点は改善すれば良いことで、今は遅いと言われようが何であろうができる限りの情報提供を行おうと判断しました。
こうして危機管理課と広報課の連携で深夜に初動体制を、そして朝までに学校教育課や子育て支援課等々、関係各課が協議の上、市民、特に子供達の安全を第一に対応してもらいました。皆さん大変お疲れ様でした。
そしてご存じの通り、結果としてこの事件は、報道によれば被害者とされる人の自作自演とのこと。実はこの情報についても、警察から市にもたらされた第一報は、「捜査が進むなかで被害の事実はなかったと判明した」というものでした。第一報ですから詳細な発表ではなく、「被害者の自作自演だったようです」などという憶測の言い方もまだひかえて欲しいとのことでした。情報を受け対応を協議した副市長以下担当者も、また報告を受けた私も、もどかしさがありました。ただ、もはや心配しなくて良いという事には間違いないので、不安を抱えながら過ごしている市民の皆さまに、まずは防災本庄そして市のホームページやLINEで、警察発表をそのままお伝えしたところです。
いずれにせよ、警察、行政そして市民が虚偽に振り回された1日でした。怒りの声がSNS上に飛び交い、中には警察や行政への批判もありましたが、お褒めのご意見もいただきました。全てのご意見を謙虚に受け止めますが、警察の緊急の判断は正しかったと思いますし、行政としても二次被害の抑止のため関係者が力を尽くしました。犯人がいなかった、という空振りで良かったし、見逃しより全力で空振りして良かった、と考えるべきでしょう。同じような事件の一報がもたらされる可能性はいまこの瞬間にもあります。「虚偽」かも知れないからといって躊躇せず、これからも警察要請など、市民に向け緊急に危機をお伝えすべき事案に対しては、深夜であろうが、ためらわずできる限り早く情報発信することに、改めて皆さんと共に気を引き締めて臨んで行きたいと思います。
以上で今月の月いちメッセージを終わります。暑さが続きます。熱中症対応は水分、栄養、そして睡眠です。体調には充分気をつけて今月も頑張りましょう。

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