こどもまんなか社会の実現に向けて(令和5年9月1日)

更新日:2023年09月01日

おはようございます。9月1日、今月の月いちメッセージをお送りします。本日は防災の日、10万5千人余りの犠牲者を出した関東大震災から100年です。震災後、流言により関東各地で多くの朝鮮人が殺害されたことは今なお痛恨の極みであり、本市でも本日、長峰墓地で慰霊追悼式が執り行われます。なお慰霊追悼式に対する私のインタビュー記事が昨日の毎日新聞埼玉版に掲載されましたのでお知らせしておきます。近い将来に発生する可能性が高い首都直下地震や南海トラフ地震に備え、防災や情報発信のあり方について、関東大震災の経験から学ぶべきことは多いと思います。なお本日、関東大震災の地震が発災した午前11時58分に県下一斉のシェイクアウト訓練を行いますのでご参加をよろしくお願いします。
さて本題に入ります。8月28日よりさいたま地裁で、昨年本市で発生した5歳児死体遺棄事件の初公判が開かれ、新聞や週刊誌には何とも心が痛む記事が書かれています。改めて、事件を防げなかった悔しい思いを皆さんと共有し、このような事が二度と起きないよう、また起こさせないよう誓うものです。市では相談体制を強化し、また担当職員も日々、市内で発生する様々な事案に向き合っています。私自身、本市また全国で起きている痛ましい児童虐待の事案についての報告や報道、また全国市長会での役職で、こども家庭庁の設置に至る経緯に接するなか、今後の我が国また地域社会全体で、子どもを取り巻く環境にどう向き合うかについて、強く思うことがあります。
それはまさに、こども家庭庁設置の主旨でもある「こどもまんなか」を、国民皆で日々意識しようということです。そして我々地方自治体に働く者も、「こどもまんなか」を様々な政策や施策に反映して行こう、ということです。
私たちは無意識のうちに、子どもは親の所有物と思ってはいないでしょうか。「しつけ」に名を借りた度重なる児童虐待を防止するために、懲戒権は民法から削除されました。しかし、依然として親子の問題ではどうしても親の意見が優先され、子どもの思いは隅に追いやられていないでしょうか。幼くて意見の言えない子もいます。その子にとってどのような環境が望ましいか、第三者が考え親に意見することが、はばかられるようであれば、そのような空気を何とかせねばと思います。
児童虐待が疑われる現場は、得てして密室化した、外から見えない風通しの悪い環境に子どもがおかれている場合が多いです。近所の人が心配しても声をかけづらい、職員が聞き取りをしようにも「訴えるぞ」などと言われてしまう。このような風潮は、やはり世の中おしなべて「こどもまんなか」を日々意識し、変えて行かねばなりません。先般の事案でも「これはおかしいぞ」と気付いた飲食店の店主の読みが正しかったように、児童虐待防止には、行政の対応力強化とともに、良識ある市民の目と力の一層の活用が必要でしょう。
また家族の間で起きる問題は複雑ですが、子どもがいる夫婦間のトラブルの場合、より丁寧な対応が求められます。例えば夫のDVを訴えてきた妻がいたとします。その場合、二人の間に子どもがいるかどうか、いた場合、妻だけでなく子どもがどのような状況にあるか確認が不可欠です。一口にDVと言ってもどのような内容で、誰から誰に向けられたものなのか、暴力が妻と子ども双方に向けられたものであれば、これは親子でのシェルターへの避難も含めて対応すべきです。一方で、夫と妻がトラブルを起こしていてどちらかが相手のDVを訴えるなか、子どもにとっては父も母も大切な存在であるという場合も、これはあると思うのです。訴えてきた親の意見だけでなく、まさに「こどもまんなか」で解決方法を考えるべきだと思います。
これは離婚についても同様です。子どもにとって見れば、親の離婚は、その離婚に至る背景や過程までを含めて、大きなストレスであることは間違いありません。しかも日本は単独親権制度であり、親権を巡る争いがあると、果てしない闘争の中で子どもの気持ちは全く顧みられない場合も出てきます。現在、法務省では諸外国のような共同親権制度の導入の是非について議論が重ねられています。明らかに子どもも巻き込んだDV事案のなどのケースを除き、子どもが愛する父母それぞれとの関係が途切れないように制度面で担保することこそ、私は「こどもまんなか」であると思います。
そして現行制度の下でも、まさに離婚の届け出を受け付ける基礎自治体の我々として、「こどもまんなか」を意識し、もっとやれることがあるのではと思います。現在、本市では、子どもがいて離婚する夫婦に対して、子どもの養育費や面会交流の必要性を知ってもらう法務省のパンフレットを配布していますが、もっと以前に、離婚は仕方ないことかも知れませんが、それが子どもの育ちにできる限りマイナスの負荷をかけないよう、もっと早く親として「こどもまんなか」のためになすべきことをするよう促す機会は作れないでしょうか。
制度が変わらないと何も出来ない、ではなく、現行制度のもとでも、「こどもまんなか」を意識して、日々の業務に取り組んで参りましょう。昨年、本市で起きた事件のような、弱い立場の親子がまるで鬼のすみかのような家に転がり込んで搾取され、あげく子どもが亡くなる、といった、決して許すことのできない事件が今後絶対に起きないよう、起こさせないよう、こどもまんなか社会の構築に向けて、本庄市を挙げてできる事を考え実行に移して行きたい、市長としてそう強く願い、本日の月いちメッセージを終わります。残暑が厳しいですが、日々の業務、頑張って参りましょう。

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