自利利他円満(令和6年6月3日)

更新日:2024年06月03日

おはようございます。6月3日、今月の月いちメッセージをお送りします。
先日、PTAの総会に参加しました。各学校の単位PTAの新旧の会長さん、役員さん、そして校長先生とPTA担当の先生が参加し、総会後は五州園の一番大きな部屋で盛大な懇親会となりました。本年はコロナ禍の前と同じ規模に戻り、私も皆さんのテーブルを回って懇親を深めることができました。
あるテーブルでの雑談で、役員の一人である女性の方からは、「PTAの役は面倒なことも多いし、仕事や家事のやりくりをしながら時間を作って出ています。正直自分から手を挙げて役を引き受けようとは思いませんでした。友人のお母さんから誘われて役を引き受けたけど、結構大変です」と言われました。すると隣の女性の方が「でも○○さん、結構楽しんでいるよね」と言い、言われた方も「まあね」と返し、一同笑いの渦が起きました。
そこで私から、世の中のPTA不要論について聞いてみたところ「たしかに過去からの変な伝統とか引きずっている単位PTAや連合会も世の中にはあって、あれじゃあ今の人はついて行けない、そんな『変われない』PTAには不要論も起こると思います。一方でPTAが今の時代に合わせた事業を和気藹々と行っていても、保護者の中にはとにかく会費を払いたくない、行事が面倒くさい、ということで、自分は全く参加せず、自分だけなら良いのですが周りの人にPTA不要論、行事への不参加を説いて回る人も、中にはいるようです。入ってみれば、大変だけど結構楽しいのに・・・」とのことでした。
その後、似たようなお話を子ども会育成会連合会総会の前に冨田会長からうかがいました。会長や役員が頑張っていても、会費を払いたくない等の理由で加入しない家庭が多く、子ども会加入率の低い自治会もあるようです。中には周囲にも子ども会への不参加を呼びかける人もいるとのこと。
PTAであれ、子ども会であれ、こういった団体は人の善意、ボランティア精神で成り立っているものです。皆さん自分の仕事や家事や子育てで大変忙しい毎日を送っている、その中で自分の時間を割いて、学校のためや子供達のために汗をかいている、私はそういう活動は尊いと思います。
子ども会育成会連合会総会の挨拶で、私は「会長や役員として子ども会活動に携わる皆さんの、尊いボランティア精神に敬意を表します。ただ中には『なんで私だけが』という気持ちになることもあるかも知れません。そんな時はぜひ『こういう活動は誰のためでもない、実は自分のためだ』と思って下さい。あえて日常とは違う世界に飛び込むことで、新しい人と人とのつながりが生まれるかも知れないし、にっこり笑う子供達の笑顔に感動する場面も得られるかも知れないし、そういうわくわく感を得られる、ひいては人間として成長できる機会だと思って、自分のためにこの機会を活かして下さい」と述べました。
この「自分のため」という言葉、それこそ過去の戦時下の時代はタブーとされ、また戦後にはその反動から「自分のためだと言って何が悪い」と、開き直りのように使われ、またその開き直りが不快感を持たれ、と、昔においても現代においてもこの「自分のため」はエゴイズムという悪いニュアンスでとられかねない言葉です。ですが私は、この「自分のため」という言葉は、まさに塙保己一の言葉「世のため 後のため」と共にあることで、人間にとって大事な意味を持つと思うのです。
「世のため後のため」を抜きにした単なる「自分のため」はエゴイズムであり、他人ばかりか実は自分のためにもならないでしょう。一方、「自分のため」を否定しないと「世のため後のため」にはならない、という考え、これも非常に偏っていて窮屈で、長続きしないでしょう。仏教の言葉に「自利利他円満」とあります。自分のためと、他人のため、世のため後のためが両立しそのベクトルが合ったとき、人間は周囲と共により豊かな自己実現ができるはずです。
もちろん、世の中そんなに簡単なものではなく、時として集団の論理が個人を抑圧する場合もあります。しかし集団も分解すれば個人個人です。お互いが尊重し合って、それぞれの自己実現と集団としての良き方向に向かうことの両立、良き成績を収め選手一人一人が輝くスポーツ集団のように、職場を、組織を、団体を運営することはできるはずです。冒頭紹介した「色々大変だけど、結構楽しんでPTAやっています」と話してくれた方々、まさに自分のため、と世のため後のための両立とはそういう事なんじゃないかなと思いました。
最後に、その両立に大切なのは、本年の冒頭に掲げた言葉「誠」の気持ち、やはり物事への、人への、そして自分への誠心誠意があればこそ、ということを指摘して、本日の月いちメッセージを閉じさせていただきます。うっとうしい季節ですが、体調に注意して頑張って下さい。

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