支えあいは「と」、チャレンジは「加点法の思考回路」で(令和6年10月1日)

更新日:2024年10月01日

おはようございます。10月1日になりました。本年度も折り返しです。今月の月いちメッセージをお送りします。
さて、私の好きな言葉は「支えあいとチャレンジ」です。そのこころですが、人間は1人では生きられない、誰かの支えがあって生かされている、お互いさまということ。一方、せっかく生かされているのであれば、自分の命を、何かのために活かしたい、挑戦したい、チャレンジしたい、しなければもったいない、という意味です。
支えあい、を深掘りすると、自分の命の背景に思いをはせることになります。1人で大きくなった人はいませんし、今の自分の仕事も多くの支えがあって成り立っています。ここに感謝が生まれます。
チャレンジを深掘りします。何に挑戦、何にチャレンジするのか、これは人によって様々でしょうが、およそ人間の幸福というものは、自分だけでなく周囲にとっても喜びとなること、に見いだせるものであり、であれば自分自身のチャレンジ、挑戦も、自分のためだけでなく、何かの役にたってこそです。
この2つは相互作用です。支えられる感謝をバネにチャレンジし、自分も誰かの支えになりたい、あるいはなっていることに気付くと、人間は元気になります。実は自己肯定感とはそういうものだと思うのです。
私が市長として掲げている言葉も、支えあいとチャレンジです。あらゆる行政の事業にはこの2つの側面があると思います。例えば福祉政策は支えあいの面がクローズアップされがちですが、障害者の社会参画、高齢者の生きがいづくり、貧困からの脱却のための学習支援などはまさにチャレンジの事業そのものです。
また都市整備はチャレンジの面がクローズアップされがちですが、低所得者への市営住宅の供給や、バリアフリー化や狭あい道路の解消によって身体の不自由な方の利便性を図る、これはまさに支えあいのまちづくりです。
チャレンジの最たるものの1つは民間の企業活動ですが、経済発展は税収をもたらし、富の再分配によって支えあいを手厚くします。利益の社会還元、これはかの渋沢栄一翁も強く唱えたところです。
学校教育は、誰一人取り残さず、そして各々が志を遂げることを理想とした営みであり、まさに支えあいとチャレンジ双方の大切さを子供達が学ぶ大きな機会です。
さて、市長は何で今回こういう話をするのかな、と思っている方もいると思います。実はこの支えあいとチャレンジに関して大切なお話を、この1ヶ月の間に聴くことができたので、皆さんにお伝えしたく、前置きを申し上げました。
1つは、市と社会福祉協議会そして成年後見サポートセンターが9月29日に開催した、福祉ジャーナリスト町永俊雄氏の講演会でのお話です。
ある精神科医のところに、発達障害のお子さんを持つお母さんがそのお子さんと一緒に来ました。お母さんは今後を悲観して先生に言います。「この子に何ができるでしょうか」
先生は言います。お母さん、今の言葉のたった1つの文字を変えるだけで良いんですよ、と。それは「この子に何ができるだろうか」ではなく「この子『と』何ができるだろうか」ですよ、と。
このお話を聴いて、私自身もこれからは、認知症の方「と」、障害者の方「と」、高齢者の方「と」、困っている方「と」、そして職場の皆さん「と」、友人「と」、家族「と」、さらには嫌なあいつ「と」で行こうと思いました。町永さん曰く、共生社会とは仲良しの社会ではない。自分の意に沿わない人と過ごすのは楽しいことではない。しかしその人を1人の人間として尊重し、そうした人々「と」何ができるか。対話と試行錯誤を重ねることが大切だということです。支えあいの社会づくりに、この「と」、はキーワードだと感じました。
もう1つは映画「共鳴する魂 塙保己一伝」を制作した株式会社ユニバーサルビジョン代表取締役の吉野浩氏が、9月12日の塙保己一遺徳顕彰祭の後の講演で語られたお話です。我々の思考回路はともすれば「あれができない、これができない」との減点法に陥りやすいですが、そうではなく「今の私に何ができるか」という加点法、これが大切で、それはまさに塙保己一の精神である、と、吉野さんは語ります。
保己一は失明と母の死、しかも江戸に出てからも人生に悲観し自殺まで考えるという大きな挫折を味わいました。が、自分が進みたい学問の道に周囲の理解を得て進むことで、やがて学問の世界で自分自身最大限「できる事は何か」を追求し、ついに「群書類従」という大文献集の編纂を構想し、共感する多くの人々と共にそれを成し遂げたわけです。
まさに減点法ではなく、加点法の思考回路こそが人生を切り拓く、と言えるでしょう。人が何事かに挑戦する、チャレンジするその原動力は、「あれができない、これができない」ではなく、「世のため後のため、今の自分に何ができるか」 まさに大きな志を持った加点法の思考回路だと、私自身感じたところです。
以上、この1ヶ月に聴いた講演の中で、講師のお二方への感謝と共に、私の印象に残った何々「と」という言葉と、加点法の思考回路について、支えあいとチャレンジというキーワードから語らせていただきました。
以上で、月いちメッセージを終わります。秋本番です。澄み切った青空のような気持ちで励んで参りましょう。

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