「教育委員制度の改正にあたって」(平成27年1月1日号)

市の教育行政と市長はどのような関係にあるかご存知ですか?
問い:市の教育の内容は市長が決める、〇(マル)か×(バツ)か。答えは×(バツ)です。自治体の教育行政は教育委員会がその責任を負っています。
教育行政には「政治的中立性」や「継続性・安定性」が求められます。市長の交代で例えば先生の人事まで影響があるようではいけません。市長の権限は議会の同意を経て教育委員を任命するまでで、それから先は教育委員会に任せる、というのが現在の制度です。
とはいえ学校の工事や生涯学習の推進、児童生徒に関するさまざまな課題など、市長の各部局と教育委員会がお互いに連携しながら行う仕事もたくさんあります。にもかかわらず、市長が教育委員と共に教育行政について話し合う「公の会議」は制度としてありませんでした。ですから例えば私がこれまで教育委員のみなさんとさまざまな協議を行ったとしても、それらはすべて任意のものでした。
昨年の法改正を受けて、4月1日以降、自治体の教育委員制度は変わっていきます。教育委員長の職を廃止し「新教育長」に統合、自治体の長が「新教育長」を議会の同意により任命、総合教育会議つまり長と教育委員会の「公の会議」の設置、大綱の策定義務など、地方教育行政は大きく制度改正されます。
問い:新しい教育委員制度の下では、市の教育の内容は市長が決める、〇(マル)か×(バツ)か。答えはやはり×(バツ)です。従来通り内容は教育委員会が決定し責任を持ちます。しかしその上で、市長は総合教育会議において教育委員会と対等な立場で市の教育方針について協議し、教育の方向性を示す大綱を定める事となりました。
本市の教育行政は従来の制度の下で順調に進展しており、新制度へも支障なく移行できると考えます。特に市長と教育委員会は常に協議しながら物事を進めてきたので、やっと国の教育行政が地方の実情に合わせて制度改正をした、とも私は感じております。
教育基本法や学習指導要領を尊重し、市の総合振興計画教育文化分野の「明日を拓く人を育み、魅力ある文化が育つまち」を目指し、教育委員会とこれまで同様タッグを組んで教育行政を進めてまいります。
※なお改正法施行日である本年4月1日において在任中の教育長は、教育委員としての任期が満了するまで現行制度の教育長として在職でき、その間はこれまで同様の教育委員会の体制が継続します。
更新日:2020年10月01日