「戦後70年を迎えて」(平成27年8月1日号)

更新日:2020年10月01日

 今年は先の大戦終結から70年です。軍人軍属民間人合わせて約300万人の国民の尊い命が短い期間の中で一度に失われたこと、そして敗戦により外国の軍隊による占領を受けたことは、我が国の長い歴史の中でも未曾有の出来事で、二度と繰り返してはならない痛恨の極みであり、今後も末永く歴史の鑑として記憶されるべきです。
 戦後、日本人は廃墟の中から見事に立ち上がり、目覚ましい経済発展を成し遂げました。また人類史上初の核攻撃による大量殺戮の惨禍と平和の尊さを世界に訴え続け、そして自由と民主主義、法による公正な社会の実現に力を注いでまいりました。
 なぜ日本は短期間に復興できたのでしょう。まず、過去から培われてきた勤勉でひたむきに努力する国民性と、その国民の幸せと、平和な世界を希求される皇室のご存在があったからでしょう。一方、米国の核の傘の下で軍事よりも経済に専念できたという現実もあるでしょう。戦後70年を振り返るとき、敗戦にもかかわらず維持された日本の美点と共に、国際情勢の冷厳な事実を改めて認識すべきと思います。
 先の大戦は、太平洋・アジア各地で敵味方、また、現地の住民も巻き込んで幾多の犠牲を出しました。近隣諸国と我が国は歴史的及び政治的理由から今も残念ながら軋轢がある一方で、台湾、東南・南アジア及び南洋の諸国などからは親日的な声も多く聞かれます。それらの諸国も地域によっては当時非常に苛烈な戦場になりました。しかし、植民地支配からの独立のきっかけをつくり、戦後一貫して国づくりの支援を継続した日本を、率直に評価される人も数多くおられます。
 今、我が国は米国の力の低下と中国の覇権的行動に直面し、あらゆる事態に対応するための安全保障体制を整備しつつあります。この動きを上記の諸国が支持しているのは、日本のこれまでの歩みへの評価と、変わりつつある国際情勢の中で自由と民主主義に基づく平和で公正な社会の維持発展のため、その果たすべき役割への期待が高まっているからであると思います。
 戦後70年を迎える今、複雑多様な歴史の諸相に光を当て今後の鑑とし、激動する世界の現実を見つめ、我が国と世界の平和と繁栄のため努力することを誓い、私の見解とさせていただきます。

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