年頭において訓示を行いました (令和7年1月6日)

新年あけましておめでとうございます。令和7年、2025年の新春をそれぞれお元気に迎えられたこととお慶び申し上げます。また粳田議長にはご出席有難うございます。本年もよろしくお願いいたします。
さて昨年、元日の能登半島地震から一年。改めて被災地に思いを寄せ、一日も早い復興をお祈りします。昨年、本市においては職員そして市民の皆さまが発災直後から被災地に心を寄せ、様々な形での支援を行いました。また昨年は多くの企業や個人からの善意が、被災地支援のみならず、市内におけるお困りの方への支援やあるいは市政に対する大口のご寄附として、沢山に寄せられた一年でした。改めて多くの皆さまに感謝いたします。
そんな昨年の年頭、私は「誠」という言葉を掲げました。甲(きのえ)辰の年は、様々に強いエネルギーが働く年回りと言われ、だからこそ振り回されずエネルギーを正しく使い、うわべでなく、誠意ある行政を推進しようと呼びかけました。一年を振り返れば、誠意とは真逆の出来事が世間では沢山起きました。そんな中にあって、市や社協に多くの善意の寄附があったことは、私は本市が信頼されていることの証であると感じます。この信頼感を裏切らないよう、引き続き誠意を持って事に当たって参りましょう。
さて、では今年の本庄市の展望と課題をお話します。21世紀も四半世紀、世界と我が国の現状と、そのなかで本市がどのような立ち位置にあり、我々は何をなすべきか、私なりの言葉でお伝えします。
我が国を取り巻く状況では、地球規模の気候変動、アメリカのトランプ次期政権の米国第一主義、中国、北朝鮮、ロシアの脅威、近年大規模化するサイバー攻撃、発生が不安視されるテロ、さらに発生確率が高まる大規模自然災害、これらにどう備えるかが問われています。
内政面、社会経済面の課題では、以前から2025年問題と言われた年を迎え、超高齢社会への対応が問われています。そして少子化。仮にこのままの速度で出生数が減少すれば社会が持続できなくなる、まことに深刻な課題です。経済面では、労働力不足、インフレ加速化への対応、そしてデジタル化を業務効率化や経済活性化、社会の進展にどうつなげるかが課題です。その社会は今や人間の記憶力を遙かに凌駕するAIとの共存時代に入り、過去と現在のあらゆる事柄に個人が瞬時にアクセスでき、一方でフィルターバブル、エコーチェンバーといった言葉に象徴されるように、人の好み、嗜好によって個人に入ってくる情報は限られ、人間関係の希薄化や相互不信と分断を招くことが懸念されています。
先行き不透明で混沌とした時代、ネット上では多くの悲観論が横行していますが、ここで私は敢えて申し上げます。世間に悲観論がまん延していればこそ、心ある人間が世を明るくしようと奮起し、知恵を絞り率先垂範汗をかき、周囲の人をして「今の自分に何ができるか」という前向きな気持ちにさせないでどうするか、ということです。特に政治そして行政に携わる我々にはその覚悟が求められています。
世界と日本の課題はそのまま本庄市政に直結し、如何に持続可能で前向きな社会を構築するか、我々は問われています。その中で本市の方向性ですが、今回は三点、少子化対策、超高齢社会への対応、そしてまちづくりについて私の考えを申し上げます。
まず深刻な課題である少子化、その対策は単に国任せにしないで我々基礎自治体としてもできる限りのことをすべきです。昨年、地元のある社長さんから、少子化対策について市長からの呼びかけを、というお声をいただきました。そこで私自身、地元の経済界に対して、行政の子育て支援や社協の結婚支援について本年、新たな施策も打ち出したいので、ぜひ各企業においても結婚支援や、男性の育児休業などを後押しし、結婚でき、第一子だけでなく第二、第三子と安心して生み育てられる環境を共に創りましょう、と呼びかけようと考えております。広く、教育も含めて子育てしやすい、しやすいだけでなく子育てのし甲斐、やり甲斐がある社会を創ること、子ども、若者の成長を大いに応援し、次世代を担う人材の育成が家庭と地域の喜びとして共有される日本社会をみんなで創ろうという、そんな気概で、閉塞感の強い現状を明るい方向に転換させたい、まずは本庄市から、だと思うのです。職員の皆さんには引き続き知恵を絞り、今後の具体的施策につなげられるよう、力を貸していただきたい。宜しくお願いします。
続いて超高齢社会への対応です。私はこの正月休み中、市民の皆さまのお宅を訪問する中で、80代、90代の一人暮らしあるいはご夫婦で、介護を受けずに身の回りのことを自分たちでやって行こうと生活している数多くの方々に会いました。人間いずれは病気にもなるし介護も必要になる、ただ自身の健康寿命をなるべく延ばそうと日々努力されている方々、その方々のおかげで社会はかなり支えられている、と感じました。ある高齢女性の方は私に「歩道の段差が無くなったので手押し車で何とか買い物に行けます」と、またある高齢のご夫妻は「自治会館でやっている体操がまた始まって本当に良かったです」と、にこやかに仰いました。引き続き介護や看護が必要な方への施策と共に、地域に住まう日常生活を過ごす方々、お元気な高齢者のみならず、フレイル状態の方、認知症の方、そして障害者の方々もいます、その方々がどうしたら健康で、安全安心に、快適に住み続ける事ができるか、このことも念頭に置き市政の様々な施策を推進すべきでしょう。
そして、まちづくりです。昨年できた市のブランドメッセージ「どこにでも行けるけど、ここにいたい。本庄」と、総合振興計画にうたわれている市の将来像「あなたと活かす みんなで育む 歴史と教育のまち 本庄 ~世のため、後のため~」この二つの言葉を年頭にあたりよくかみしめたいと思います。交通の利便性という本市の強みは、今後とも大いに強化して行くべき分野です。ヒトが定住し交流し、新たなモノが生まれ、コトが動きだす、本市はそのような力を有しています。人口減少時代にあっても、交通の要衝としての本市のポテンシャルを考えるなら、埼玉北部群馬南部、さらには首都圏をも大きく射程距離に入れて、重要なポジションにある本市の役割に磨きをかけて行くべきです。
道路整備も、JRへの要請も、まちなか再生も、道の駅も、新たな産業用地の適地選定も、俯瞰的に本市のポジションをとらえその方向性を定め尽力しましょう。過去に遷都論があった本庄市です。昨年1月からは上武連携構想にスポットが当たっています。2月には台南市との友好交流協定も結ばれます。国や県また内外に広く本市の存在価値をPRし、経済はじめ様々な面で活かす年にしたいと私は考えております。
以上三点に絞って申し上げました。個々には言及しませんでしたが、皆さんがそれぞれ携わる仕事の全てが、持続可能で前向きな地域社会づくりのためであることは言うまでもありません。
さて最後に本年皆さんと共に心がけていきたい言葉を掲げます。それは先ほどからも言葉に出ている「活」です。総合振興計画の市の将来像、あなたと活かす、の活です。活力、活用、活動、活発、活性化の活です。生きる、活かす、盛んに活動するという意味があります。本年は乙(きのと)巳の年。この年回りには、創造性と柔軟性、変化と適応、人間関係の重要性、学びと成長という傾向があるとされます。そして巳年は金運の年。世の中の傾向は不透明で混沌としており、待ったなしの課題も多いですが、引き続き本庄市としても温かい支えあいと熱いチャレンジ精神を持って、大いに飛躍を期す。このような事から、人と人とのつながりによって社会全体の成長をあまねく一人一人に及ぼし、市民みんなが活き活きと暮らせる本庄市になれるよう、そのためにも職員一人一人が前例にとらわれず、お互いの長所、持てる能力を活かし、前向きで活力ある市政を展開して欲しい、という願いを込めこの「活」を掲げます。なお活力ある仕事ができるためには、しっかりとした休息も必要であることを申し添えます。ぜひ皆さんにはこの「活」の意味を考え、自身の仕事等に活かして下さい。
皆さんのご家族そろっての健康と幸せ、良き仕事の出来る一年になることを祈念し、新年のご挨拶といたします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。
更新日:2025年01月06日