参議院選挙を振り返って(令和7年8月1日)

更新日:2025年08月01日

皆さんおはようございます。8月1日になりました。今月の月いちメッセージをお送りします。今日は参議院選挙を振り返って感じることをお伝えしますが、その前段として、この8月で終戦80年です。思うところを少し申し上げます。
日本の人口約1億2400万人のうち、昭和20年8月15日以前に生まれた方でご存命の方の人口は推定約2000万人。このうち生まれは戦時下でも、記憶は戦後からという方も大勢います。先の大戦を幼児、青少年、大人として実際に体験した世代は、本当に少なくなりました。今、生きている方の証言は貴重です。同時に今は亡き人々の思いを、その証言が書かれた史料からひもとく作業や、私たちの記憶にある、彼らの言葉や姿を、私たちなりに、後世に伝承することも大切です。
そのような中、私はこの6日の広島平和記念式典に市内の中学生の皆さんと共に参列します。この6日そして9日には、原爆で非業の死を遂げざるを得なかったあまたの御霊(みたま)に哀悼の誠を捧げ、核兵器の惨禍を被る都市が三たび地上に現れないよう、非核平和を願い、さらに15日には先の大戦で亡くなられた全ての御霊に改めて頭を垂れ、80年後の今、厳しい国際情勢の中で我が国の歩むべき方向について、心静かに思いを巡らせたいと思います。
そうした終戦80年、国の行く末を占う国政選挙が、先の参議院選挙でした。まず事務に携わった選挙管理委員会はじめ、職員、ご協力いただいた地域の皆さま、全ての方々に感謝申し上げます。
今回の参院選では、改めて我が国が直面している課題の深さと広がりを感じました。中でも、外国人政策に関する国民の関心の高まりは見過ごせません。国際化の進展とともに多文化共生の模索は避けて通れない課題である一方、地域社会の治安や生活基盤への影響、制度運用の在り方について、不安や疑問を抱く声が多数存在していることが浮き彫りになりました。こうした声を簡単に「排外主義」と決めつけるのではなく、地域に根差した実感として丁寧に受け止め、一方本当に差別的な言動はこれを断固排し、また差別的と捉えかねない言動に注意し、そして日本人外国人問わず、公正なルールの適用を求め、どのような事柄に対してであれ、誠実に、勇気を持って発言し行動することが、政治にも行政にも求められていると思います。
選挙戦の中では、消費税やガソリン税(暫定税率)をめぐる議論も盛り上がりました。物価高騰や生活の苦しさの中、減税を求める国民の声は理解できます。しかし、仮に国が税制を見直し、税収が減れば、必ずその影響は地方財政に及びます。とりわけ道路や福祉、教育など、基礎的な行政サービスを担う我々自治体にとって、国の財源構造の変化は即座に住民サービスの根幹に影響します。このことを国政がどこまで本気で意識しているのか。制度設計において地方の現場の声をどれだけ反映させる気があるのか。問い続けねばなりません。
今回の選挙で注目されたのは、既成政党に対する厳しい評価と、いわゆる新興勢力への期待でした。いかなる主張であれ、新たな政治の選択肢に光を当てたいという民意の表れが、様々な場面に見られました。これまでの政治の在り方に対して、「このままではいけない」という思いが、無党派層を中心に広がっていることを、自治体行政に携わる我々も重く受け止めなければなりません。
そして、我々が置かれている現場もまた、国政と無関係ではありません。国が制度を決め、地方が執行する・・・しかしその制度がしばしば現場の実情と乖離し、地方に過大な事務負担を強いていることを、常々感じています。近年の給付制度やデジタル、マイナンバー関連の事業など、様々な国策を地方がその矛盾ごと引き受けざるを得ない場面を我々は見てきました。国の制度改正が職員に過度な負担を強いるものであれば、その実情を正しく伝え、必要な改善を求めて行かねばならない、これまでも、これからもその思いで私自身、事にあたります。
今後とも内外の情勢は不透明さを増す一方です。人口減少、地域の担い手不足、経済の先行き不透明、そして異常気象と自然災害、さらには国際環境の緊張・・・こうした時代にあって、自治体は不安を抱える住民に最も近い「顔の見える行政機関」として、信頼を裏切らないよう、その責務を果たさねばなりません。誠実さ、粘り強さ、そして現場感覚・・・そんな市政を頼りにしている市民が大勢います。
どうぞ皆さん一人ひとりが、自らの仕事に誇りを持ち、時には「おかしい」と声を上げる勇気を持って、それぞれの持ち場で力を尽くしていただきたい。そして、どんな変化の時代にも揺るがぬ「市民に一番近い行政職員としての底力」を発揮して参りましょう。今回の参院選挙を経て私が感じていることの一端をお伝えしました。
以上で月いちメッセージを終わります。酷暑が続きます。皆さんご自愛ください。

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