ファンドレイジング研修を受講して(令和7年9月1日)

更新日:2025年09月02日

皆さんおはようございます。9月になりました。暑さが続いております。体調管理には十分気をつけましょう。
さて、今日は先月25日に開催された「ファンドレイジング研修会」に参加し、感じたことをお話ししたいと思います。
この研修会は、本庄市社会福祉協議会が主催し、商工会議所の大ホールで行われました。市からも多くの部課長の皆さんが参加され、社協の会長として改めて感謝申し上げます。
講師は日本ファンドレイジング協会理事の久津摩(くづま)和弘氏でした。
これからの時代、公共的な財源が減少する可能性が高まる中で、地域福祉を継続していくには、自主財源の確保が欠かせない。そのためには、寄附やクラウドファンディングなど、様々な資金調達の手法を学び、共感を得る支援の仕組みを自ら作れる組織を目指しましょう、そんなお話でした。
私自身もこの講演を非常に興味深く感じ、その後改めてファンドレイジングについて調べてみました。
この英単語、日本語に訳せば「寄附募集」や「資金調達」ですが、企業のファイナンスなどとは異なり、非営利組織、たとえばNPOや学校、病院などが、社会課題の解決や文化・教育・福祉活動のために資金を集める、という意味で使われています。欧州各国でも言葉は違えど、同じような意味で使われているそうです。
ファンドレイジングの目的は、活動資金を確保することにとどまらず、寄附される方々が、活動への理解者、共感者としてさまざまな力になること。そして、資金集めを通じて活動の存在や意義を広く社会に知らせていくことです。こうした考え方は、ファンドレイジングという言葉を知らなくとも、近年多くの人に共感を持たれつつあると感じます。
たとえば自治体行政においても、公園やスポーツ施設、図書館、福祉や子育て事業の充実に、税収だけでなく多くの企業や団体、市民の皆さんの共感による寄附を活かす。このような動きはすでに本市においても起きています。個人・団体を問わず、市に、社協に寄附していただく方は確実に増えており、これらをどう受け止めて今後に活かすか、我々の姿勢が問われる時代になった、そう私は感じております。
さて、この言葉がファンドレイジングという外来語そのままで日本で使われる背景には、従来の資金調達ではなく、支援してくれる人々との信頼関係を築き、共感や参加を得ながら継続的に活動を支える仕組みを日本にも根付かせたいという、開拓者たちの思いがあったようです。
今回の講師・久津摩さんが理事を務める日本ファンドレイジング協会。その理事長である鵜尾(うお)雅隆さんは、元JICAまた外務省の職員時代に、欧米と日本の寄附文化の落差に衝撃を受けたそうです。米国の大学が寄附による莫大な基金で教育研究を支えていることに驚き、一方、日本では有益なNPOが「お金がないから続けられない」という現実に直面し、このような経験に基づいて平成21年に日本ファンドレイジング協会を設立しました。
今から15年以上前の当時、設立にあたって鵜尾さんは、日本の寄附文化が欧米に比べ脆弱な理由として、公共政策は行政が担うという考え方が強く、市民が社会課題に関わる意識が弱いこと。税制面の厳しさ、大口寄附や継続的な寄附が育ちにくいこと。そして、寄附を受ける側の説明責任や成果の見える化が不足していることを挙げていました。
今、このような開拓者の努力の甲斐あって、日本もだんだんと変わりつつあります。ただ、欧米のように大学や病院、美術館などがたくさんの寄附によって支えられ、また、それらを継続的に支える仕組みが出来ている社会ではありません。市民がもっと寄附を通じて社会に参加する仕組みづくりについて、私たちはさらに学んでいくべきでしょう。
実は日本にも元々、互いに支え合う資金調達の伝統がありました。皆さんは「普請」「勧進」「喜捨」「寄進」「頼母子講」という言葉を知っていますか? どんな漢字かわかりますか? 分からなかった方は、後でネットに掲示されるこの文章を確認してみてください。橋や堤防、道の建設に人と資材を持ち寄り、神社や寺や文化財をお金を出し合って守り、信仰や地域のつながりを寄り合いにより育んできた、これらの方法はまさに、現代のファンドレイジングと通じるものがあり、私たちの足元に脈々と流れる文化でもあります。
こうした日本人の相互扶助の精神にも思いを寄せ、戦後の成長期に一時的に影を潜めた、我々の社会が元々持っていた強さを、先進事例に学びつつもう一度見直すべきではないでしょうか。
単なるお金の調達でなく、市民や企業の皆さんと共に地域をつくる仕組みとして、今後ファンドレイジングを大いに研究し、その成果を活かす・・・人口減少や地域課題の複雑化が進む今こそ、前を向く自治体、本庄市として、挑戦して参りましょう。
以上で、今月のメッセージを終わります。残暑に上手に対応しながら今月も元気で仕事に励んでください。

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